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23:激闘、『紫電のサングリース』!




「ギャハハハハハッ! オォラッもっと打ち込んで来いやァアアーーッ!」


「言われるまでもないッ!」


 感情を爆発させながら剣を振るうッ!


 手にした魔宝具『黒曜剣グラム』によって強化された俺の身体能力は驚異的だ。

 地面を砕くほどの力で踏み込み、当たれば岩すら真っ二つにするような剛剣を叩き込んでいく――!

 しかしッ、


「うぉおおおおおツエーッ!? だけど負けねーーーーッ!」


 宮廷魔術師サングリースは強敵だった。

 俺に匹敵するほどの膂力りょりょくを発揮し、『洗練剣ミステルテイン』により全ての攻撃を受け止めていく……!

 黒き刃と雷を纏った刃がぶつかり合い、廃墟と化したゴブリンの里に激突音が響き渡る。


「どうだぁエレンの兄ちゃんッ!? 磁力操作ですげぇパワーが出せるオレ様の鋼の手足はよぉッ! 生身捨てた甲斐があったわ~ッ!」


「なっ、欠けた手足を義肢で補っているんじゃなく、あえて捨てたっていうのかッ!?」


「おうよ! コッチのほうがバトルを楽しめるからなぁッッッ!」


 っ、本当に吐き気のする人種だ。

 今の時代、戦火に焼かれて四肢を失い、苦しんでいる者も多い。

 だというのにこのサングリースという男は、戦いを楽しむために生まれ持った手足を捨てただと……!?


「ふざけるなッ! お前みたいなヤツだけには、絶対に負けない!」


「あぁその意気だぜぇ兄ちゃんッ! さぁさぁ殺し合おうやァーーーッ!」


 殺意と闘志を滾らせながら、俺たちは同時に斬りこんだッ!

 人外の力を込めて振るわれる両刃。その二つがぶつかり合った瞬間、凄まじい衝撃波が巻き起こる。

 それによって足元の地面が砕け散り、俺たちは激しく弾かれ合った――!


「「うぉおおおおおおおおおおおーーーーーーッッッ!!!」」


 だが俺たちは止まらない。宙を舞い散る地面の断片を足場とし、相手に向かって斬り込んでいく!


 かくして巻き起こる斬撃の嵐。二撃、三撃と打ち合うたびに俺たちの戦いは加速していき、やがて剣速は人間の知覚速度を振り切るほどの領域へと突入していく。

 十撃、百撃、そして千撃。ただひたすらに「ぶっ殺してやるッ!」と叫びながら、がむしゃらに刃を振るい合う!


「ヒャハハハハッ! どうだァ兄ちゃんッ、楽しいだろ!? 相手をぶっ殺すことだけを考えて暴れまくるってのはよぉッ!?」


「ぐぅうう――!」


 相手の言葉に応える余裕などなかった。

 初めて出した全力以上の全力により、俺の体力はすさまじい勢いで消費されていく。

 だがここで攻め手を緩めたら負けだ。俺は闘志をさらに滾らせ、野獣のごとくサングリースへと襲い掛からんとした。


 だが、その刹那、



「エレン様ッ、これは罠です!」



 レイアの声が響くのと同時に、頭上から何発もの霊弾が降り注ぐ――!

 精神に直接ダメージを与えるという『ゴースト』の技だ。サングリースは「チッ」と舌打ちをしながら飛び退くが、俺のほうはそうはいかない。

 突然の味方からの攻撃を避けられるわけもなく、霊弾を何発も浴びて強制的に闘志を削り取られ、俺はその場に膝をついた。


「ッ、レイア……何を……!?」


「エレン様。今飛びかかろうとしたサングリースの足元を、よく見てください」


 そう言われ、俺はつい先ほどまでサングリースが立っていた場所に目を向けた。

 するとそこには、一体いつの間に置かれていたのか、一本のナイフが落ちていて……!


「なっ……そういうことか。もしもあのままサングリースと鍔迫り合うことになってたら、磁力操作の力を使われて……!」


「ええ。足元から跳ね上がったナイフに顎を貫かれていたでしょうね……」


 レイアの言葉に、俺はごくりと息を呑んだ。

 もしも彼女が無理やり俺を止めてくれなかったら、今ごろ死んでいたかもしれない……!

 

「気を付けてくださいエレン様。あのサングリースという男は、かつてわたくしを殺した『勇者』と同じく、殺人の才能に愛された人種です……!」


 瞳に恐怖をにじませるレイア。そんな彼女と同じく、俺も底冷えするような思いでサングリースを睨んだ。

 するとヤツは、「あちゃ~気付かれちまったかぁ」と呟きながら、腕を組んで溜め息を吐き……。


 ……ん? 腕を組んで……?


「ッ――サングリース! お前、手に持っていた剣はどこにッ!?」


「あぁ。せっかくの罠をメイドちゃんに気付かれちまって、こりゃー長期戦になると思ったからなぁ。

 ――つーわけでエレンの兄ちゃん、まずはオメェの手駒から削らせてもらうぜぇ……!」


 その瞬間、俺はハッと後ろを振り向いた!

 するとそこには、いまだに動けない黄金竜と、そんな彼女を貫かんと飛翔するサングリースの剣があって――!


「ド、ドラゴンッ!?」


『なぁっ!?』


 迫りくる死を前に、瞳を見開く黄金竜。


 ――かくして次の瞬間、戦場に血の花が咲いたのだった。





ここまでで少しでも面白いと思って頂けましたら『ブクマ』、そして下の☆☆☆☆☆での評価をして頂けますと非常にありがたいです<(_ _)>ペコ

既にブクマも評価しているよと言う方は、本当にありがとうございます!


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[良い点] 今話もありがとうございます! [気になる点] ……おい、あんまり胸糞な展開は御免だぞ? あと、サングリース見てて誰かにそっくりだと思ったんだが、 アレだ、ゴステロだ。 (ゴステロは好き好…
[一言] 読みました! ザングリース強い!! ただ強いだけじゃなくて策士!! 一本筋通った戦闘狂キャラは大好きです。続きが気になります.......!!«٩(*´ ꒳ `*)۶»ワクワク
[良い点] >『勇者』と同じく、殺人の才能に愛された人種です……!」 勇者相手にすごい表現ですね。爆笑しました
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