14:新たなる仲間!
朝日が大地を照らす中、俺たちは太陽よりも明るい黄金のドラゴンに呆れかえっていた。
「……ま、まさかコイツ、持ってきた食料の八割を平らげやがるとは……!」
『ぬふふふふっ、我は満足ぞっ!』
――スヴァルトヘイム大陸にやってきてから一晩。
朝ごはんまでガッツリといただいていったドラゴンは、そう言って幸せそうに笑うのだった。
「……ま、いいけどな。転移機能【天翔陣】の使える場所は近いから、いざとなったら食料補充に戻ればいいし」
『おぉっ、つまり食べ放題ということか!? 我、感激ッ!』
「んなわけあるか、もう一回ボコるぞ」
『ひえっ!?』
……あまりにもアッパラパーな大食いドラゴンを前に、俺はついつい脅すようなことを言ってしまうのだった。
まぁそれはともかく、
「俺たちがこの大陸にやってきた理由は、『ゴブリンの里』ってところに向かうためなんだ。
俺たちは今戦力が欲しい。そのために、たくさんのゴブリンたちを仲間に引き入れようと思ってるんだ」
そう。それゆえにこの黄金竜が追いかけまわしていたゴブリンに里のことを聞いてみようと思ったのだが、コイツと戦っている間に消えちゃったんだよなぁ。
ま、あのゴブリンからすれば凶暴なドラゴンと大嫌いな人間がいきなりドンパチし始めたんだ。そりゃその場に残るわけないか。
「というわけで、里を探すのを手伝ってほしいんだが……」
『えぇ、ぶっちゃけめんどいんだが~……』
ドラゴンがそう渋った瞬間、シルバーウルフのシルとサラマンダーのサラが同時にドラゴンの眼球に頭突きをかます――!
『ってワギャァアアアアアーーーッ!? め、目はやめろォ! そこは鱗ないからッ!?』
『黙れ大飯食らいめっ! 食うだけ食ってそれはないだろうが!?』『そうよッ! 私の大好物のベリーを全部食べちゃってっ、このまま逃げるなんて許さないんだからねっ!』
『ひゃー!?』
……うぅむ、なんとも頼もしい限りだ。
魔物の中でも最強の種族とされるドラゴンに怯まないとは、ウチの女の子たちは流石だなぁ。
俺がそう感心していると、黄金竜は『わかったわかった!』と叫んだ後、どこか寂しげな表情を浮かべる。
『いやなぁ……我だってそこまで恩知らずではない。貴様たちになら、鱗の数枚くらいはやってもいいと思っているくらいだ。だが、我と一緒に行動を共にするということはだな……』
――ドラゴンがそう呟いた刹那、突如として何本もの弓矢が降り注いできた!
俺はとっさに剣を抜き、迫るそれらを打ち払う――!
「っ、何なんだ一体!?」
突然の事態に困惑しながら、俺たちが矢の飛んできたほうを睨むと、
「――チッ! 黒髪の野郎が邪魔してんじゃねぇよッ!」
「オラッ、奴隷の魔物たち連れてどっかいけや!」
「そのドラゴンはオレたちの獲物なんだからなぁッ!」
……そこには、何十人もの荒くれ者たちが『呪縛の魔法紋』の刻まれた魔物たちと共に立っていたのだった。
ああ、なるほどな……黄金竜が俺たちとの同行を拒んだのはこういうことか。
『ふははっ、言っただろうエレンよ……我はこの鱗のせいで狙われている身なのだと』
「ドラゴン……」
『我と行動を共にすれば、常に襲撃に怯えることになる。……さぁいけ、奴らの狙いはあくまでも我だ。目的を果たす前に他国の者といらんトラブルを起こすこともあるまい』
そう言って黄金竜は、まるで俺たちを庇うようにして自ら襲撃者たちのほうに向かっていくのだった。
「……って、何言ってんだよこの馬鹿野郎は」
敵と睨み合うドラゴンをさらに庇うように、俺は彼女の前へと立った
さらにレイアをはじめとした仲間たちまでもが、俺に続いてドラゴンを守る――!
『なっ、貴様たち何をやっているのだ!?』
「うふふっ、シルさんやサラさんが言っていたでしょう? 『食い逃げは許さない』って。
食べた分だけ働いてもらうまで、わたくしたちに付いてきてもらいますよっ!」
『え〜!?』
幽霊メイドの一方的な通告に戸惑うドラゴン。
なんやかんやでウチの女子たちは全員気が強いようだ。
頼もしい限りだよ、本当に。
「……なぁドラゴン。お前の言うとおり、目的を果たす前にトラブルを起こすようなやつは馬鹿野郎だ。だが、『仲間』を守るために無茶をする馬鹿は嫌いか?」
『っ、貴様……!』
俺の言葉に彼女は大きく目を見開く。
……そして、
『――いいやっ、大好きに決まっているだろうが! いいだろうっ、そこまで言うなら貴様たちの仲間になってやろうではないかーっ!』
咆哮と共に、ドラゴンは高らかに翼を広げるのだった!
よっしゃあっ、行こうぜ新入りーッ!
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