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12:黄金竜、遭遇!




「――よし、旅に出る準備はいいかー!?」


『おーっ!』


 城の一室に敷かれた陣の上に、俺はシルバーウルフのシルやサラマンダーのサラ、そして幽霊メイドのレイアに加え、ゴブリンのゴブゾーを始めとした二十体ほどのゴブリン軍団と共に集まっていた。

 ひとまず連れて行くのはこれだけだ。あとの者は、俺たちの旅立ちを見守ってくれている。


「悪いなみんな、おみやげとか持ってくるからさ」


『そんなのいいから無事に帰ってきてね~~っ!』


 スライムのラミィが触手を伸ばして手を振ってくれる。


 ――最初はみんな『私たちもつれてって!』ってせがんでいたなぁ。

 ラミィを始めとしたテイマーギルドで共に過ごした仲間たちに、シルバーウルフの女の子たち。彼女たちも頼れる仲間なんだが、今回のところは城でお休みだ。

 なにせ前者の多くは俺を探すためにギルドを脱走する際に負傷し、後者の中にもケイズとの戦いで少々の火傷を負った者もいるからなぁ。

 無事な者も多いが、そんな者たちにはこの城と負傷者の警護を任せた。

 

「この地の調査が始まるまで半月はかかるだろうってのは、あくまでも俺の予想だ。もしかしたらもっと早く調査隊が組まれて、城に攻め込んでくる可能性もある。そして転移機能【天翔陣】を起動できる者は『魔の紋章』を持つ俺だけな以上、この地から脱出することも難しい。

 ――だからラミィを始めとした戦える者たちは、怪我をした者たちのことを守ってくれ」

 

『まかせてーっ!』


 よし、いい返事だ。どうか俺たちが帰るまで無事でいてくれよな、みんな。


「ではエレン様、そろそろ向かいましょうか」


「ああ。……ていうかレイアって城から離れることが出来るんだな。『ゴースト』って魔物は、その場から離れられない者がほとんどって聞いたが」


「ふふ、わたくしは色々と特別ですから。ちょっと気合を込めれば、実体を持つことも出来るんですよ? たとえばこんなふうに……」


 そう言ってレイアは俺の手を取ってきた。すると、体温はあまり感じないものの、たしかな女の子の柔らかな感触が――!


『って何してんのよーっ!?』


「ひゃっ!?」


 とそこで、サラがレイアのお尻に頭突きを食らわせて無理やり俺から引き離すのだった。

 さらにシルが彼女に握られていた手をペロペロ舐め始める。

 な、なにをやってるんですかシル子さん……?


『除菌をしているのだっ! レイアは幽霊だからな、もしかしたら呪い的なモノがちょっと手から出てるかもしれないだろう!』


「そ、そんなの出てませんよぉ~~!?」


 サラからのケツアタックとシルの発言を受け、レイアは涙目でへたれこむのだった。

 ……出発前からなんともグダグダな様相である。

 こんなチームで大丈夫なんだろうか、ゴブリンの里の者たちに舐められないだろうかと思っていると、ゴブゾーが『ナイス選択ゴブ、アニキッ!』と親指を立ててきた。


『アニキにすっかり惚れてそうなレイアの姐さんに、特に嫉妬深そうな二人をチームに選ぶとはさすがゴブねぇ!

 ゴブリンにとって男の価値はどれだけ女にモテるかゴブッ! 自分を巡った女三人のギスギスなんて見せつけたら、きっとどんなゴブリンも“アイツすげーぞッ!”って評価してくれるゴブよっ!』


「ってどうなってんだよゴブリンの価値観……」


 目の前で泥沼の戦いなんてされたらドン引きだろ……人間とは微妙に価値観がずれてやがる。


 ああ、里のゴブリン連中とちゃんと仲良くなれるかなぁと、俺は出立直前に不安になるのだった。



 ◆ ◇ ◆



「――よし、ついたな。ここがスヴァルトヘイム大陸であっているのか……?」


 気が付くと俺たちは、小高い丘の上に立っていた。そこから周囲を見渡すと、木の一本もない土色の荒野が広がっていた。


「……にしても、空間転移っていうのは不思議な感じだったなぁ。『【天翔陣】、起動』って唱えた瞬間、全部の感覚があやふやになって、気付いたら別の場所に移動しててさぁ。みんな、酔ったりしてないか?」


『わたしは平気だぞ』『私もよ』『オイラたちも平気ゴブゥ~』


「うぅっ、わたくしはちょっとダメそうです……!」


「ってなんでレイアが一番ダメージ受けてんだよ……。魔王の側仕えだったんだから、【天翔陣】の使用経験あるんじゃないのか?」


 そう言うと、「ありますけどぉ、昔から苦手なんですよコレェ……」と青白い顔で寄りかかってくるのだった。

 っておーいレイアさん、またシルとサラが嫉妬の炎を燃やしてるぞ~?


「……とにかくみんな、さっそく『ゴブリンの里』を探すことにしよう。なぁゴブゾーたち、里の場所について何か心当たりはないか?」


『うぅ、ちょっと思い至らないゴブねぇ。オイラたち、里で生まれたわけじゃないゴブから……』


「あ~そうだよなぁ……」


 どのゴブリンもお手上げって感じだ。

 まぁコイツらは人間の奴隷として繁殖された身だからな。あくまでも祖先が里の出身者ってだけで、そりゃわからないか。


「となると、手探りであちこち探していくしかないか。よしみんな、気分を切り替えていこうっ!」


 見知らぬ土地で不安はあるが、仲間もいるし大丈夫だろう。

 そう自分に言い聞かせ、あたりを探索することにする。


「さぁ、どんなトラブルでもかかってこい!」


 そう言って、スヴァルトヘイムの地を歩み出さんとした――その時、


『うぎゃぁああああああああああああああ助けてくれだっぺゴブゥウウウウウウウーーーーッ!』


「えっ?」


 遠くのほうから、ゴブゾーたちとは違うゴブリンらしき声が聞こえてきた。

 いきなりなんだと、声のしたほうを見ると……、


『ガァアアアアアアッ! 食い殺すゥウウウーーーーーーーーッ!』


 ……巨大な黄金のドラゴンが、ゴブリンの群れを追いかけていたのである――!


「って、いきなりどういう状況だよコレーッ!?」


 初手で遭遇するにはあまりにもビッグすぎるトラブルに、俺は思わず叫んでしまったのだった――!


 


 



『更新早くしろ』『ホント更新早くしろ』『止まるじゃねぇぞ』『毎秒更新しろ』

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