5話 エリーゼのために②
前話のあらすじ:魔王は調教済みでした。
「あのー…。そろそろ機嫌を直してくれない?様々な観点から考察した上で、貴方の心が折れたままじゃ色んな人達に迷惑がかかるんだよ?」
「…そんなことは知ったこっちゃない。【見知らぬ展開】に翼を折られた愚かな男がここでヒザを抱えながら存在しているだけで…」
「あなたバカなの?知らない外国語なんて理解出来なくてもしょうがないじゃない!でもわからない癖に知ったかぶって「「グーテンモーゲン」」とか言っちゃったのはアレの影響でしょ?わかるわよ?」
「心遣いの槍が逆に俺の心臓をえぐって来る」
さて、気分はどん底だがこれからのことをちょっとは考えよう。
大事なことは魔王は魔神を嫌っているどころかむしろLOVEだ。これを崩すもしくは違うベクトルから攻めないと魔王との戦いは避けられないだろ…。
「創造神。私が面倒事が嫌いなのは知ってるよねー?早速始めましょう」
「…結局こうなるのはわかってたんだけど…でも彼は一味違うわよ?」
ユリアの言葉を無視して、いきなり魔王エリーゼが詠唱を始める!
「あまねく精霊たちよ、我が…」
「核撃っちゃって」
「え?」
「だから、【核ミサイル】を撃っちゃって」
「いや、ドラゴンをコロリするようなトンデモロボットの核でしょ!?あの子を殺しちゃったらどうするの!?」
「とりあえずやってください、ゴタゴタ言うならもうシてあげませんよ?」
「早速取り掛かります」
これから待ち受ける色んなお楽しみを無駄にはしたくないので、もちろん了承しました。
「ということで発射」
もはや展開が早すぎて頭が追い付かない俺は、【相手は魔王なんだし核ミサイルぶち込んどけ】と安易に考えていた。本当にバカだった。
そして着弾する。
…ズドドドドドドドバカーーーーン!!!
「ところでこのトラクターのNBC防御は大丈夫なんだよね?」
「なにそれ?NBCとかの略?」
あ、ダメだこの人理解していないのに実装していたのか。
ガイガーカウンターが鳴り響く。
「ちょっと!?NBC防御のくだりがわからないのに、何で警告音が鳴り響いてるの!?」
「だって、有害物質ぐらい検知しないとヤバいでしょ?」
「それの防御が出来てない件についてー!?」
どうしよう。NBC防御が出来ていないということは、機体の気密性に大きな問題を抱えているということであり、水中での行動時間や成層圏などでの気圧低下が大きな問題になる可能性がある。何より炎や水や風や雷や土などの各属性の魔法への抵抗力も大変心配であり、可及的速やかに対処すべき問題だ。そして水や毒がしみ込んで来る危険性がある以上はユリアと同乗するのも危険だろう。しかもトラクターは俺もよく知っている通りキャビンがあるのに屋外に置いておいたら雨漏りすることもあるような、何百万円もするとはとても思えないような製品だ。ク〇タやヤ〇マーやイ〇キはマジで屋外に放置しても壊れないトラクターを作ってくれ。あ、話がズレた。核爆発を起こしちゃったけど、キノコ雲マジでやばいんですが。俺はなんてことをしてしまったんだ…。そしてユリアは【創造神】とはいえども女の子だ、俺が守らなきゃ。トラクターの弱点がわかったとこ…。
「思考が長すぎるわよ!全部防ぐに決まってるでしょ!?というか何その知識!?あなたの世界ってそんなに危険でいっぱいなの!?!?」
あれ?元の世界の方が危険だったようです。
いつも私の小説をご覧くださり、ありがとうございます!
文字数がいつも少ないのは展開も速いので、区切りのいい所でさっさと投稿してるからです。
今後もお楽しみいただければ幸いです。
ぺこり。