2話 ドラゴン一撃
前話のあらすじ:なにかを卒業しました。すごかったです。
変形した元トラクター…いや、今も一応トラクターだよね?俺の愛機だよね?
そのトラクターの座席部分は特に何も変化していない。変形しているのは外部のみであり、トラクターのでかいエンジン部分がどこをどう変形したらそうなるのか、理解に苦しむレベルの変形によりボディーの内部に取り込まれている。
「…どこをどう変形させたら、この形に収まるんだ?」
「そこは気にしなくてもいいの。異世界7不思議の1つだとでも思ってくれたらいいわ」
「7不思議の1つって結構大ごとなんじゃないのか…?」
すんげぇ不安になるのだが、ユリアにこのトラクターの機能を説明してもらわないと、ユリアがやりたいことを達成できないだろう。ついさきほど男女のあれこれはすでに済ませてしまっているし、ユリアの為になることであれば、やり遂げる所存である。
「とりあえずあっちに物騒なモノも見えることだし、コイツの操作を教えて欲しい」
「別に操作する必要はないわよ?あなたの思った通りに動くから。一応あなたの愛着もあると思って操縦席はそのままの形にしてあるけれど、完全に思考操作よ」
なにそのハイテクロボット。俺のトラクターどうなっちゃったの?ほのぼの農業生活もすっ飛んだやん。
「とりあえずあそこにいるドラゴンを倒しましょう。このトラクター、ビームとかマシンガンとか、着弾したら核爆発を起こすミサイルとかが搭載してあるから」
「ユリアお前何がやりたいの…!?!?世界を滅ぼすつもりですか!?核爆発とか、この世界には存在しないよね!?」
「そんなことは気にしていられない。私はこの世界の創造神なの!ずーっと世界を放っておいたら、魔物が闊歩しまわる危険な世界になっちゃったから、神様の世界で私が…」
「ちょっと待てやコラー!だから展開が速すぎてまったく着いていけないんだが!?神様の世界以前にお前がこの世界の創造神!?俺って創造神と致しちゃったの!?これからどうすんのよー!?」
「その為のあなたのトラクターよ!この世界に存在しない要素を取り込んで、この世界を再構築するの」
「…それとも、私と一緒に楽しく生活したり、夜はイチャイチャしてラブラブするのは嫌…?」
「喜んで引き受けよう!」
下半身は素直だし、ユリアはトンデモ美人&トンデモスタイルなので、俺の脳内はゲスい事でいっぱいいっぱいである。世界よりもユリアである。でもドラゴン怖い。
「エロい事考えてる暇はないわ!とりあえずトラクターの武装を撃ってみて!」
「ん、ああ、右手でマシンガンのトリガーを引くと」
ドドドドドド!!!
曳光弾が混ざっているのか、たまに赤い光線を描きながらドラゴンを攻撃するトラクター。マシンガンの弾丸がドラゴンをミンチにしていく。
…え?ドラゴンをあっさり倒すマシンガン?ちょ、ちょっと待ったー!
マシンガンの斉射が止む。
「…ドラゴンが穴だらけになったので、命の危機を脱した件について」
「言い回しが意味不明だけど、このマシンはそれくらいのポテンシャルを余裕で秘めているわ。このトラクターを使って、この世界の【魔王】を倒して欲しいの」
「トラクターっていうよりも、ただの二足歩行ロボットになってるんだけど、その辺色んな事情を考慮した上で大丈夫なの?」
「オールグリーン。問題ないわ」
周りを見渡すと、ヤバそうなドラゴン以外は不穏なキノコぐらいしか見当たらなかった。不穏なキノコも異世界に飛ばされた苛立ちからマシンガンで吹き飛ばしておいた。
…吹き飛ばしても、うにょうにょ動いていて気持ち悪い。トラクターの灯油式草焼きバーナーであやつらを燃やし尽くしておいた。
「汚物は消毒するに限るね♪」
「…あなたキャラ変わってない?」
俺は吹っ切れていた。テンションがおかしくなっているので、変なことを口走った!
「何言ってんだい!【僕】ほどのナイスガイはそうそういないぜ?マイハニー!」
「キモイからちょっと離れて」
…契を交わしたとはいえども、創造神さまはツンデレのようだ。俺としては早速2度目の素敵体験をと思っていたが、先は長いようだ。
どうなっていくのこの世界…。
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ぺこり。