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GAME  作者: 普久原 なみ
20/24

第17章 廃村

「ん・・・ん~・・・」





私は、目が覚めると見慣れない、木造の家にいた。





「・・・?・・・・・?」





しばらく辺りを見回したが、ここがどこだかわからない。





“パカッ・・・”






とりあえず携帯を開いた。





「10月7日(土)・・・13時12分・・・電池残量2・・・圏外」





ディスプレイには、そう表記されてある。






「嘘ッ!圏外なの!?」






私は、立ち上がり、同僚の名前を呼んだ。





「石川く~ん!!加藤く~ん!!」






しかし、返事は聞えてこない。






「たくっ、どこ行ったのよアイツら・・・」





私は、そのままこの家の出口へ向った。






ドアをゆっくりと開ける。






“ギィィィィイ・・・”






腐りかけた扉が、耳障りな音を発しながら開いていく。





“ザッザッ・・・”






私は、外へ出た。






「ここって・・・村?・・・だよね・・・」




目の前に広がった光景は、人気を感じさせないほど、静かで、今にも崩れかけそうな木造や、わらなんかでできた家が、建ち並んでいた。


「あっそうか!これは、私の夢だわ・・・」






時々、夢の中で、今自分が夢を見ているという自覚ができた私は、すぐにそう思った。




しかし それも・・・後々、現実だと思い知らされる。






“ザッ、ザッ、ザッ―”






私は村の中を歩き始めた。






「しっかし、リアルな夢だねぇ~・・・こりゃ私、昨日相当飲んだわね・・・」






思わず、言葉が出る。






「それにしても、ここまでリアルだと、逆に気味が悪いわ・・・」






リアル過ぎたのもそうだけど、人気の無い廃村が夢の舞台だったのも、この何とも言えない気味の悪さに繋がっているのだとわかった。






「でも待てよ・・"?・・・人間が睡眠中に見る夢って、確か記憶の整理だとかなんとか聞いた事あるけど・・・私、こんな村、来たことなんかないわよ・・・」






かすかに疑問もあったけど、夢だと思い込んでいた私には、ここがどこだとかいうよりは、早く夢から覚めないかなぁって考えてた・・・


“・・・ガシャーン!!”






すぐ後ろの家から、何かが割れるような音がした。






「ッ!?・・・何?今の音・・・」







目が覚めてから、今までの異様な静けさが、その音によって、さらに不気味差を増す・・・





「・・・猫?・・・これって夢なんだよね・・・」






あまりのリアルさに、少しこの夢の世界を疑う。







とりあえず、その音がした家へと足を向ける。






「・・・ホラー映画だったら、私って結構ヤバいポジションよね・・・」






そう言いながらも、一歩一歩その家に近づくと、その時・・・





“ギィィィィイ・・”






その家の出口が開いた。






私は、とっさに物陰に隠れた。






“ザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・”






だんだんと足音が近付いて来る。






私はいつものように、上着のポケットから、銃を取り出す。





“ガチャッ”







「・・・ッ!?・・・誰だ!!」






「(ヤバい!気付かれた!・・・ってこの声・・・)・・・・加藤君?」







私は、物陰から出て、そいつの前に出た。



「え?黒柳(くろやなぎ)先輩?」






「なんだぁ~、加藤君かぁ~、脅かさないでよねもう~」






その家から出て来たのは、私の仕事仲間の後輩、加藤(かとう) 英二(えいじ)

若干、二十歳で一課の私達の仲間に入ってから、5年。





普段はあんまり頼りないんだけど、コンピューターにかけては天才的でうちの署内なら、間違いなくNo.1・・・






「てゆーかさぁ、その“黒柳先輩”ってダッサイ名前で呼ぶのやめてくんない?私には、麗子(れいこ)ってゆう名前があるんだから・・・」






「すいません・・・つい、いつものくせで・・・」






「まぁいいわ。で、石川君は?一緒じゃないの?」






「いえ、僕もついさっき起きたばっかで、何もわかんないすよ・・・一体ここドコなんすかね?」






「さぁ・・・私も知らないわよ。ただ一つ言えるとしたら・・・ここは間違いなく現実の世界ね・・・」






麗子は、今いるこの世界が夢の世界じゃなく現実の世界だと、考え始めた。


「あっそうだ!・・・黒柳先輩!」






加藤は、何かを思い出したように、麗子に話しかける。





「だから、その呼び方は辞めなさいって言ったでしょ!」





「あぁ・・・すいません・・・」





「で?どうしたのよ?」






「実はですね、さっき僕が寝てた場所で、こんな物があったんスけど・・・」






“ガサッガサッ・・・”






加藤は、腰につけていた、ウエストポーチから、大きさはお弁当箱だいの、鉄でできた箱を取り出した。







「一体、何なんスかね?これ・・・」






「さぁね・・・とりあえず開けてみたら?」






「それがこれ、鍵がかかってて開かないんスよ・・・ほらここ・・・」






その箱には、1~3までのダイヤルが6個ついていて、さらに箱の上には、この鉄の箱を開ける鍵であろう、暗号が刻まれていた。





その暗号とは・・・





【・・・冥界ニ迷イシ、死人ノ魂ヨ・・・コノ箱ヲ開ケタクバ、我ガ名ヲ答エヨ・・・サスレバ地獄ノ道、開カン・・・】


「なんじゃこりゃ?・・・私には、さっぱりだわ・・・」






「あと・・・このメモ用紙も」






“カサカサッ”





紙を広げて麗子に見せる。






「何々・・・【この箱を守り、鍵人(キーマン)を探せ!】・・・ん~・・・これも、なんのこっちゃ・・・」





「・・・く・・・麗子先輩の所には、なんかなかったスか?」






「私のとこ?・&&そうね、あんまり周りを確認しなかったわ・・・」






“ザッ・・・”






そうゆうと、麗子は自分の目覚めた家に向った。






“ガサッガサッガサ・・・”






かなり荒れた家の中を、手探りで探す。






「・・・あっ!あった、これじゃないの?」






「なんすか?それ」






「・・・ん~なんか、島の地図みたいねぇ・・・あっ、メモもついてる!」





「読んでみて下さいよ」





「え~っと、【鍵人(キーマン)を探せ!】・・・また鍵人・・・なんなんだろうね、鍵人って・・・」






新たな謎が、2人を襲った。



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