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GAME  作者: 普久原 なみ
17/24

第15章 過去

「うぉ~すっげぇ!」






「おいしそう~」






「なんかあったの父さん?」





「会社で、昇進したのよ」






「昇進?」






「会社で、偉い人になる事だよ」





「へぇ~、じゃあパパもお偉いさんになったんだぁ」






「ねぇ?何になったの?」






「フフフッ、聞きたいかぁ~?」





「うん!」






「フフフフフッそんなに聞きたいかぁ~?」







「聞きた~い!聞きた~い!」






「オッホンッ・・・パパ、専務になったんだ!」






「すっげぇ!」






「だろ?(笑)」






「ねぇお兄ちゃん・・・専務って何?」






「ん~、そうだな、専務って言ったら、学校で例えると、教頭先生ぐらいかなぁ」






「すご~い!パパすご~い!」






「ハハハッ(笑)、そして今度の火曜、久しぶりに休みがとれた。そこでだ、その火曜日に、家族4人でどっか行くかぁ!」






「やったぁ~!」






「で?どこに行きたい?」





「俺、USJに行きたい!」





「私も!」



父「わかった!じゃあ次の火曜、USJに行くぞ!」






「やったぁ!」






「さ、早く食べちゃいなさい。冷めたら、おいしくなくなるわよ」






最後のおかずをテーブルに並べ、母がテーブルに座った。






「いただきます!」





「いただきま~す!」





「いただきますっ!」






「ウフフッ・・・どおぞ、めしあがれ」






「うぉ!うまいなぁ~これ!さすがママだ!(笑)」






「おいしい~!」






午前1時・・・食事も終わり、子供達は自分の部屋で眠りにつく。






その頃、父親と母親はリビングでお酒を飲んでいた。






「乾杯~。」






「ふーぅ、うまいなぁ」






「お疲れ様。専務。」






「フッ、ありがとう(笑)」






「それにしてもいいの?子供達にあんな約束して・・・」






「あぁ、久しぶりの休みなんだ、今まであんまりかまってやれなかったからな。やっとデカい仕事終わらせて、昇進もしたんだ、たまには家族水入らずもいいんじゃないかぁ」




「そうじゃなくて、またゴルフなんて言わないわよねぇ?」





「大丈夫だってっ(汗)」






「そう?じゃあ、あたしも楽しみにしておくわ、USJ(笑)」





「任せとけって!」


そして、運命の日がやって来た。






「お前ら、忘れ物はないかぁ?」






「うん!」





「早く行こうよ!」





「おぅし!出発進行!」





「お~!」







僕達は車に乗って、目的地に向った。







「ねぇパパ、ちょっと桜川銀行に寄ってくれない?」






「銀行?わかった」






「ごめんね・・・」






「え~!直で行かないの?」





「まぁ少しぐらい良いだろ?USJは、逃げないぞ!」






「わかったぁ・・・」






そして、僕達は銀行に到着した






「じゃあ、あたし行ってくるわね」






「じゃあ俺もついて行くよ、もうちょっと財布に入れときたいしね」






「え?でも、子供達が・・・」






「大丈夫だろ?2人共もう中学生だ、ここで待ってられるよな?」






「オッケェ!」






「な?子供達もこうして言ってる事だし」






「えぇそうね、一緒に行きましょ」






「じゃあ、麻美を頼んだぞ!京介!」






「おぅ!」






「私、そんなに子供じゃないよ!」






「あぁ、ごめんっごめん!」





「じゃあすぐに戻ってくるからね」
















それが、父と母の最後の言葉でした。


後午4時20分





“キーンコーンカーンコーン”






「ふーぅ・・・やっと終わったぁ~!」






6限目の終わりの合図と共に、1人の女の子が叫んだ







「ねぇ、晴奈!今日、“あの場所”に行かない?」






「え?あの場所?」





すぐには、思い出せなかった。





「ほらっ、私達の思い出の場所・・・」






「あ!あそこか!・・・いいけど、美帆、今日部活どうすんのょ?」






「大丈夫だって!顧問の武田、今日出張でいないから、部活自主練にするらしいし、それに部長のアタシもエースの晴奈も、たまには羽のばさないと!ぶっ倒れちゃうよ(笑)」






「ん~どうしよっかなぁ~?(笑)」






気持ちは半分半分ぐらいだったんだけど






「私、マック奢っちゃうからさぁ~、ねぇ?サボっちゃおーよ♪」





この言葉が決め手かな。






「うん!わかった♪」





ダイエット中だけど、今日は特別!なんか単純な私・・・







そうゆう訳で、私は美帆の提案に乗った


“ガラガラッ!”






突然、教室のドアが勢いよく開いた






七瀬(ななせ)!七瀬は、いるかぁ~?」






それはこのクラスの担任の先生だった





どうやら、美帆の事を呼びに来たらしい・・・






「ここだよ。先生」






「おぉ、そこにいたのか」






「で、なんかようなの先生?」






「なんかようって、今日お前、来月の陸上競技大会の生徒会会議だろうが」






「へ?」






「もしかして、忘れてたのか?お前、陸上部の部長だからって、このクラスの代表買って出ただろうが」






「あっ!そうだった!完璧に忘れてたわ」






「まったく・・・ほれっ!早く行け!もう会議は、始まっとるぞ!」






「ごめ~ん!晴奈・・・」





「いいよ、待っててあげるから!」





「本当に!じゃあ、ちゃっちゃと済ませて来る!」





「はいよ(笑)」






美帆は、教室を飛び出して行った。






でも数秒後、また教室に戻って来た。






「ねぇ先生!会議場所ってどこだっけ?」




「体育館だ!急げよ!」






「サンキュ(笑)」





そしてまた飛び出して行った。






「まったく・・・あいつって奴は・・・」






先生も、なにやらブツブツ言いながら、教室を後にした。


それから2時間がたった。






“タッタッタッタッタッタッ”





向こうの方から誰かが、ものすごい勢いで走って来る





美帆が、体育館から戻って来た






「ごめ~ん、晴奈!まさか、こんなに時間かかるなんて思ってなかったわ」





「いいよ全然。じゃあ行こっか!」






普通なら、少しくらい怒るかもしれないけど、美帆はなんか憎めない






美帆とは、幼稚園の頃から幼馴染み。高校生になった今でも、ずっと一緒・・・





でも、ほんとは、3人だったんだ。5年前まで・・・





「・・・ぇ・・・ねぇ?聞いてる?」






「あっ!ごめん!何の話しだっけ?」






「だから、陸上競技の話しだよ!晴奈、短距離出るんでしょ?」






「もちろんよ!」






「だよね!そうゆうと思って、もうエントリーさせちゃった(笑)」







「嘘!?サンキュー(笑)でもさぁ、もし私が出ないって言ったらどうすんの?(笑)」





「大丈夫!私、信じてたから(笑)」





「何よそれ(笑)」






私達は、そんないつもと変わらない話しをしながら、途中、買い物をして、“あの場所”に向った。





「ふーぅ!着いたねぇ~(笑)」




「懐かしいなぁ~、この潮の匂い(笑)」





「何年ぶりだっけ?」





千鶴(ちづる)が居なくなってから、来なくなったから、5年ぶりかなぁ・・・」





「5年ぶりかぁ・・・もうそんなにたつんだね」





ここは、私達の思い出の場所(?)というよりかは、私も美帆もあの日を境に忙しくなって、ここに来る暇がなかったって方が正しいかな。





まぁでも、やっぱり思い出の場所にはかわらない。私と美帆と千鶴の・・・













―5年前―





「ねぇ?早く教えなさいよ!(笑)」





「イヤよ(笑)」





「うわぁ~、なんか距離感じちゃうなぁ」





「せめて、名前とか歳ぐらい教えてくれたって、いいじゃないよ(笑)」





「私、マックおごるからさ!(笑)」




「アタシも!(笑)」



晴奈と美帆は千鶴を説得する。


「ダァメ(笑)だって、私、今、ダイエット中だし(笑)」





「そんな事、言わないでさぁ~ねぇ?(笑)」





「しょうがないなぁ~(笑)、じゃあ言うね?」


「名前は(はじめ)さん、歳は21・・・」





「ふ~ん、21ねぇ~って、21って私達と8も離れてるじゃん!」





「13と21は、犯罪でしょ!」




「そんな事ないわよ!とっても優しくて、いい人なんだから!」





「ん~・・・まいっか!千鶴の事だし!(笑)」





「で?いつ知り合ったのよ、その肇っていう人とは?」




「もう!それ以上聞かない約束でしょ。あっ!いっけない、もうこんな時間だ、私行かなくっちゃ」






「ほんとだ!私も帰んないと」





「そうだね、じゃあそろそろ帰ろっか」






“ププッー”






3人が帰ろうとした時、急に車のクラクションが鳴った。





「ごめ~ん、迎えが来たからもう行くね!」





「え?迎えって、例の彼氏?」





“タッタッタッタッタッタッ”





千鶴は、走ってその車に向う・・・途中、こっちに振り返り、叫んだ






「晴ぅ~!美帆~!落ち着いたらちゃんと話すからぁ!」





「オッケェ~!」





美帆も大声で応えた





千鶴はその車に乗り込み、しばらくしてから走り出した。





それが千鶴を見た最後の姿だった。





そのまま千鶴は行方不明になって、その事に気付いたのはその3日後だった。






千鶴の両親も、1週間後にはどっかに引越ししちゃって、結局その後、千鶴がどうなったのかは、分からずじまい





そのまま5年の月日が経ったてた。


「ねぇ?今日は、なんでここなの?5年ぶりだし・・・」






「実は…私、彼氏出来たんだ!(笑)」





「嘘!?良かったじゃない!おめでとう!」





「ありがとう(笑)」





「で?相手はやっぱりあいつ?」





「うん!昨日メールで告ったらOK貰ってさ」





「で、思い出のこの場所で、発表てわけか」





「うん。千鶴がいたら、多分ここで、言ってたと思うし、千鶴にも届くかなぁ~なんて・・・」





「何言ってんの!千鶴はまだ死んでないわよ」





「そうだよね・・・」






「でも、美帆にも彼氏が出来たのかぁ~」





「晴奈もがんばりなよ!」





「ねぇ・・・」





「どうしたのよ?」





「美帆は、どこにも行ったりしないよね?」





「何言ってんのよ!そんなの当たり前じゃない!私達ずっと一緒だよ」





「だよね!ずっと一緒・・・」








そんな約束をしたのに。







私から約束したのに・・・







私は今・・・







地獄にいます。





誰か助けて・・・


薄暗い工場の様な場所だった





「さぁ目を覚ましたまえ!肇君」






スピーカーからした声で俺は目を覚ました。






「・・・ん・・・ここは・・・」






「ふんっまだ寝ぼけているのか?」







「・・・ハッ!?・・・」





俺は、両手両足に鎖が繋がってるのを見て、全てを思い出した。






ここがどこなのか。






今、喋ってる奴が誰なのか。





「・・・で?・・・今日は俺に何のようだ?」






「何のようだと?ここにいるのならその答えは、既に出ているはずだが」






「何?」






「それに、私達組織は君に用は無い・・・“君の中”にいる奴と話しがしたい」






「ちょっと待てよ・・・約束が違うぞ!」






「約束?」






「あぁ・・・この前の医者で最後の仕事だったはずだ!」


「あぁ・・・そうだったな」






「そうだったじゃねぇ!じゃあなんで俺はここにいる!」





「だから、もう答えは出ているはずだ・・・」






「また・・・仕事をしろって事か・・・」






「フフフ・・そうゆう事だ。さぁ、早くキミの中の―』




「ふざけるな!!」






間髪入れず、肇が叫ぶ





「・・・・」





「もう一度、仕事をしろだと!?もうお前達組織には、借りなんか残ってねぇ!金も全部渡した。もう関係ねぇだろ!?」






「関係ないだと?組織の情報を握っている人間を、簡単に外へ出すわけには行かないのだよ。それに、必要なのはキミではない・・・」






「あくまで、俺達に仕事をさせたいようだが、前にも言ったように、この前の仕事で最後だ。もう仕事はしない・・・」






「果たして・・・そんな事がいえるのかな」






「どうゆう事だ!」






「肇君、キミには最近、恋人が出来たようですね。まだ少女じゃありませんか・・・」


「まさか!?・・・千鶴?・・・ちょっと待てあいつは関係ねぇ!」






「関係ない?そんな事はありませんよ。組織の情報を握ってるキミの恋人ですよ・・・関係なくはないでしょう」






「・・・千鶴・・・・千鶴は?あいつはどこにいる!」






「彼女は今、別室でぐっすり眠ってますよ・・・」






「貴様ら・・・卑怯だぞ!」






「卑怯?・・・人聞きの悪い、これはあくまでビジネスです。組織の秘密を守る為にしている事なんですよ」






「わかった・・・次が最後だ・・・その代わり、次の仕事が無事に終われば・・・あいつを・・・千鶴を解放しろ・・・」






「わかりました・・・その約束は守りましょう。ただし無事に完了出来ればの話しですがね・・・」






スピーカーから、声がして表情はわからなかったけど、こいつが笑っているように思えた。


「わかったよ。やってやるよ」






「では、交渉は成立ですね。それでは早く呼んで貰いましょうか。仁様を』






肇は静かに目をつぶった。







「パチッ・・・」






そして、大きく目を開けた。




「ふーぅ、やっと出てこられたぜ・・・」





肇と、仁の人格が入れ替わった






「おーい・・・なんだこの鎖は早く外しやがれ!」






その言葉を聞くと左右にあった扉から黒服の男2人が仁の手足についていた鎖を外しにやって来た。






“ゴキッ!バキッ!”





鈍い音が部屋に響く。





“ドサッ・・・”






2人の男が倒れた。





仁は、一瞬のうちに2人の男の首を折った。





「ありがとよ、そいつは俺様からの礼だ・・・あっ、もう聞こえねぇか・・・・・んで?おっさん!次の仕事はなんだ?」






「えぇ次の指令は銀行強盗です・・・」







「銀行強盗だぁ?殺しじゃねぇのかよ?」






「はい、確かに殺人が主体ではありませんが、邪魔になる人間は殺して貰っても構いません。その代わりと言ってはなんですが、私達組織の人間を今回の任務に参加させて頂きます・・・」


「フンッ・・・構わねぇが、足手まといになるなら俺様が片付けるが・・・構わねぇか?」






「いいでしょう・・・」






「じゃあ決まりだな」







「はい、それでは、任務は明日、場所は桜川銀行、こちらからはうちの組織の者3人をつけさせて頂きます。それでは、いつものように隣りの部屋で装備を整え下さい・・・」






“タッ、タッ、タッ・・・”






仁は無言のまま、隣りの部屋に向った。








―そして、翌日―






“バンッ!!”






勢い良くドアを突き破り銀行に侵入した。






「いいか!ここに金を入れろ!!」






近くにいた店員にバッグを投げ付ける。






銀行員は、言われるままバッグにお金をつめ始める。







その行程を見ていた仁に思いも寄らない出来事が降りかかる。


それは、仁が銀行員からバッグを受け取った瞬間に訪れた。






“ドォォォン!!”






仁の足に激痛が走る。






一瞬の出来事に、仁の思考が一時停止する。






組織の人間に足を撃たれたのだ。





その時、仁はさとった“裏切られた”と・・・





組織の人間は、俺様から銃を奪い、周りにいた銀行員と客を次々に撃って行く。





「・・・貴様ッ!・・・一体・・・何を・・・」





「上からの命令でね、あなたはここで終わりです」





「・・・なん・・・だと?」





男は電話をかける。





「もしもし・・"はい、任務は完了です。はい・・・それでは・・・」




男は電話を切り、すぐに他の場所へかけ始める





「もしもし!大変です!桜川銀行に強盗が!早く来て下さい!さっきから銃声もして、とにかく早く!」





「何を!?」





「言ったでしょ・・・あなたはここで終わりです。いいですか、警察に組織の事を話せば、あなたの・・・いや肇様の恋人がどうなるか・・・わかっていますね・・・」





男は俺様からバッグを奪い、銀行をあとにした。





その数分後、警察が到着し、俺様の刑務所暮らしが始まる事となった・・・と同時に、組織への復讐計画も俺様の中で生まれた。



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