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GAME  作者: 普久原 なみ
14/24

第13章 希望

「ちょっと待ってよ、でもそいつ攻略人(ヒントマン)なんでしょ?じゃあ安全なんじゃ・・・」



麻美は言った。



「いや・・そうとは限らない・・・」



それに対して優は否定した。


「なんでよ?」






「じゃあ、仮に麻美ちゃんが攻略人(ヒントマン)だとして、ブックを置いていったりするか?」





「しないわ・・・」






「こんだけ厚くて重い本だし、落とすって事も考えられない。だから、これは意図的に置かれていたんだと思う。大切なこのゲームのルール、どんな奴がまわりにいるかわからない状況で、狩人(ハントマン)みたいな危ないキャラにわざわざ伝えるような真似、俺なら絶対にしない」





「でも、どうして攻略人(ヒントマン)はそんな事を・・・」






「これも、あくまで俺の推理だけど、多分、理由はひとつ。さっき言ったように、麻美ちゃんはブックを置いては行かないと言ったよね?じゃあ、こんどは、この建物の中にいる人間の中に、狩人(ハントマン)がいないって、わかっていたら どうする?」





「っえっ?それでも、私は置いては行かないわ」





「そうかぁ」





「えっちょっと待って。じゃあ、優ならどうするの?」




「俺なら・・・置いて行く!」


「なんでよ?持ってた方がいいんじゃないの?どうしてよ?」






「確かに、麻美ちゃんが言うように持ってたほうが役にたつ。でも、俺ならあえて狩人(ハントマン)がいないとわかったら、他のプレイヤーに教える為に、ブックを置いて行く・・・もちろん、ある程度のルールは把握するけどね」






「待って!・・・わからない事が2つあるの・・・」






「なんだい?」






「ひとつは、どうしてこの中に狩人(ハントマン)がいないって、分かるのか。もうひとつは、どうして直接会って教えないのか」






「あぁ、それか それなら簡単だ。ひとつ目の方は、俺達よりかなり早く起きておけば確認出来る」






「そうかぁ」





「もうひとつの方は、どんな人間かわからないから。いくら相手が眠っていてもいつかは目が覚める。それに、どんな性格かも寝ているだけじゃ分らないから、あるいは・・・」






「あるいは何?」






「俺を知っているかだ」






「っ!?

どうゆー事?俺を知っているかって?」





「話せば長くなるから機会があれば話すよ。だけど、もし、俺を知っている奴だったら、そいつは俺達をつけてきていると思う・・・」





「えっ!?」






「多分、この会話も近くで聞いてるだろうぜ」






その時だった、







「その通り!さすがだねぇ~、やっぱその天才頭脳は落ちてないか」






「!?」






突然した後ろからの声に2人は驚いた。





だが、優はすぐにその聞き覚えのある声に不安は吹き飛んだ。







「久しぶりやなぁ!優!」






「お、お前!?啓悟(けいご)か!?」






「おっ?覚えててくれっとんかぁ~、嬉しいやん!」






「バ、バカ!忘れるわけないだろ同じ学校の親友を」






「ちょっと待ってよ!2人とも知り合い?」






「あぁ、こいつは昔、俺と同じ学校にいた友達。名前は・・・」






吉永(よしなが) 啓悟(けいご)いいます。よろしくな!」





「私、門垣 麻美です。よろしく」


「でも、どうしてお前もここに?」





「そんなん、俺が知りたいわ・・・」






「そうかぁ、お前もか・・・」






「とりあえず、例のポイントに行ってみない?ここで話しててもしょうがないわ」






「そうだな。あともう少しだし行くか!」






「なんや?例のポイントって?」





「あぁ、それは歩きながら話すよ。ってゆーかお前、俺達をつけてたんだったら知ってるんじゃないのか?」






「つけるって人聞きの悪い・・・尾行って言うてんか!まっ、どっちでもええけど、確かに尾行はしとったけど 会話のすみずみまで聞こえるかいなぁ」






3人は歩き始めた。






“コツッコツッコツッコツッ”






「へぇ~、天井かぁそら気付かんかったわぁ。やるなぁ麻美ちゃん」






「・・・・・」


麻美は啓悟をじーっと見ながら考えていた。




「どうした?」






「えっ?いやっ、なんか啓悟君、兄に似てるかなぁって・・・」


「へぇ~、麻美ちゃんの兄貴も、鼻が高いんちゃうかぁ~、こんなイケメンに似とるなんてな!(笑)」






「どこがイケメンだよ!麻美ちゃんの兄貴も大阪にいるんだったよな?」






「えぇ、だからなんか雰囲気がね」






「な?言っただろ?」






「なんや、そうかぁ、まっなんか会ってみたいなぁ~麻美ちゃんの兄貴・・・気ぃ合いそうや」






「こんど連れてってよ。大阪・・・なんか今、無性に兄に会いたい」






「えぇで!大阪なら知らん所なんかないからな!」






「じゃあ俺も行こうかな?お前に貸したCDそろそろ返してもらはねぇと」






「ギクッ!まだ覚えてたんかいな」






「あたりめぇだろ?忘れるかよっ!」






「いやぁ~、な?、あれな?、どこやったかいなぁ(汗)」






優まさかお前、なくしたんじゃ・・・」





「冗談や、冗談!絶対にどっかにあるって!多分・・・」






「お前なぁ・・・」





「あっ!そうや!すっかり忘れとった。お前に渡そうと思っとったんや」




ガサッガサッ”






啓悟はふところからあるものを取り出した。



「お前それっ!拳銃じゃねぇか!どこでそれを!?」






「これかぁ?俺が起きてからこの建物んなか探索しとう最中に、こんくらいの坊主がリュックん中にぎょうさん入れてぐっすり眠ってたさかいに、2丁だけ拝借したんや。おそらくそいつ、武器人(ウェポンマン)やで」






「この悪党・・・」






「まぁそない言いなや。ほれっ、1丁わけたるさかいに」





「いや、銃ならもう持ってる」






優も、自分の持っている銃を見せた。






「なんやそれ、せっかく2丁盗って・・・いや、貰ってきたのに」






「黙ってだろ?」






「いちいち、うるさいやっちゃな~。どや?麻美ちゃん使うか?」






「いいえ、私も遠慮しておくわ」






「さよか。なんや人がせっかく心配して・・/ブツブツブツブツ・・・」






「はいはい。ん?!・・・」






優は天井を確認した。






「そろそろ例のポイントだな」





「えぇ、そうね」






「なんや2人とも無視かいなぁ~」






「はいはい」



コツッコツッコツッコツッ”





3人は、例のポイントの【A/Z・・・001/100】の目の前まできていた。






“サッ・・・”






優は天井を確認する。






「やっと着いたぜ」






「なぁ、あれって・・・あれやろ?」





“スッ・・・”





啓悟はゆっくりと目の前を指さす






「えぇ、そうね」





麻美は少し、呆れた感じで言った






「宝箱・・・」





「ベタやなぁ~(笑)」





「まぁでも、これで少しはゲームっぽくなったじゃねぇかよ(笑)」






そこには、腰ぐらいの高さの台の上に乗った、20型テレビぐらいの大きさの宝箱が置いてあった。






「しっかし、たいそうな宝箱やなぁ」






「早く開けましょうよ」





「ちょっと、待ちぃな。ココ見てみ!ごっつい鍵付いとるで、俺、こんな鍵持ってへんし・・・」






「それなら大丈夫だ」






「そうか!優、鍵持っとったわぁ」


「なんだお前!?俺のポケットまで調べてたのか?」






「当たり前やろぅ?誰がなにもってるんかは、ちゃんと調べとかんと」






「お前って、怖ぇな・・・」






「まぁそー言いなや。(そん時、優が目ぇ覚めて、びっくりして頭どついて気絶さしたんなんか。言えへんよな・・・)・・・優・・・頭の調子どないや?・・・」





「ん?」





啓悟の問い掛けに疑問をいだきながらも鍵を探す。





“ガサッゴソッ”





「あった!これだ!」





「それで開ける事が出来るのね?」





「多分な」





“スッ・・・”





優は持っている鍵をゆっくりと鍵穴に差し込む





“・・・カチッ・・・”






「ヨッシャ!ビンゴや!」





そのまま鍵を回す。





“カチンッ・・・”






「さぁ~中から何が出て来るか楽しみやなぁ」





「えぇ」





「んじゃ、開けるぞ」






優は宝箱のフタに手を掛ける。





そしてゆっくりと開ける。






“ギィィィィィィ・・・ガチャ”


「これは・・・!?」





中に入っていたのは【メッセージの書かれたメモ用紙・2枚の地図・2本の鍵・2個の無線機】





「なんやぎょうさん入っとるで」






優は、中に入っているメモ用紙を取り出し、そこに書かれた文章を懐中電灯で照らし読み上げる。






「【鍵人様、おめでとうございます。よくぞココまで辿り着きました。まずは第一の関門(かんもん)突破です。今あなたのまわりに何人の仲間がいるかはわかりませんが、次にやって頂く事はこの建物からの脱出です。それには最低でも、もう1人の仲間が必要です。でも安心して下さいこの建物内にはあなたを含め4人います。まずは仲間を見つけてきて下さい。仲間が見つかれば裏面を確認下さい】」






「仲間やったら、3人やお釣がくるで!」






「早く裏を見ましょ!」






「そうだな」





“パサッ・・・”






優は、裏面を読み始めた。


「【仲間は、お集まりになりましたか?それでは、次のルールをご説明いたします。まず、箱の中にある2つの鍵についてですが、鍵にはそれぞれあるポイントが書かれています。そこには出口に繋がるドアがあります。そこに行き、箱の中にある無線機を使って そのポイントで同時に鍵を回して下さい。そのポイントに行くには、箱の中に地図を2枚用意しておりますので、お役立て下さい。】」






「と言うことは、二手に別れて行動するって事ね?」






「あぁ、そうみたいやなぁ」






「あれ?まだ なんか書いてあるぜ」






「読んでみてよ」






「え~と、【最後になりますが、この箱をお開けになってから、40分以内に出口のドアを開けないとロックがかかり2度と、この建物内から出る事が出来なくなります。さらにその1時間後に、この建物内に仕掛けてある7つの爆弾が爆発する仕掛けになっております。くれぐれも、鍵を回すタイミングには失敗なさらないように・・"誤差0.3秒以上でアウトです】って!?爆弾!?」




「なんやて!?」





「ちょっとそれって・・・」






“パカッ・・・”






優は携帯を開く






「やばいなぁ、後、30分弱しかねぇ」


優は、箱の中にある鍵を取った。






「とりあえず、時間がねぇ!早くドアを開けねぇと・・・」





「えぇ、急ぎましょ!」






「え~と、

こっちの鍵は【A/Z・・・100/100】で、こっちは、【Z/Z・・・001/100】・・・文字の並びからみて、2つとも、正反対だな」






「確かに、失敗はでけへんな」






「俺は、こっちを行く」






そう言うと、優は片方の鍵を啓悟に渡した。






そして、箱の中から、地図と無線機を取り出した。






「そっちは麻美ちゃんと2人で頼む!俺は少し考えたい事があるから・・・」






「わかったわ」






「それじゃ、急ごう、一秒も、俺達は無駄には出来ねぇ」






「そやな!」





そう言うと、啓悟も、地図と無線機を手にした。






「それと啓悟、無線機の周波数は、1Chだ」






「オゥよ!」





“カチッ・・・カチカチカチ”





2人とも無線機の電源を入れ、周波数を合わした。






「それじゃ、今度は、外で会いましょ」






「あぁ。じゃあ、また後で」





「っあ!優!いつでも【蒼【と【赤】、忘れたあかんでぇ~」





「分かってるって!」





3人は目的のポイントヘ向い始めた。






残り時間・・・32分9秒・・・

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