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GAME  作者: 普久原 なみ
12/24

第11章 復讐

辺りはだいぶ暗くなっていた。




“ザッザッザッザッ”





「あった。あそこや!」






京介の目の前には、古びたボロ小屋があった。






「えっ?あの中に、入るの??」






「贅沢言うたらアカンでぇ~、はよ治療せんと、悪いばい菌でも入ったら大変やからなぁ」






「いやぁ、でも虫とか出そうだし・・・」






「なにちっちゃい事、言うてんねん!虫なんか出てこーへんて!仮に出て来ても俺らが虫やったら人間なんか、東京タワーぐらいあるそうやで!虫の方がビビるっちゅうねん!」






「でも、やっぱ苦手なものは苦手で・・・」






「さぁっ!つべこべ言わんと、さっさ入るでぇ~(笑)」






「ちょっ、待っ、心の準備がっ・・・」






“ガラガラ・・・・・”






京介は小屋のドアを開けた。





中は外観(がいかん)とは違って、全然荒れた様子はなかった。


「へぇ~、中は結構普通なんだぁ」






「だから、言うたやろぅ?虫なんか出てこーへんて!」





「まだ安心出来ないわよ!」





「はいはい・・・」






「よいしょっと・・・」





京介は、晴奈を床に座らせた。






“ガサッガサッ・・・”






「え~っと、確かこのへんに・・・」






“ガサッガサッ・・・”






「あった、あった!」






京介は、棚から救急治療箱を取り出した。






「え~っと、まずは消毒やな。ちょっとしみるけど我慢しぃな」






「・・・痛っ・・・」






「ヨッシャ、後はガーゼあてて包帯を巻いてっと」






“サッサッ・・・”






「おしっ!これで、OKや!」






「アリガト・・・」






「どう致しまして(笑)せやけど、さっきの奴、一体何者なんや?」






「わかんない。ゲームや武器人(ウェポンマン)がどうとかって・・・」






「・・・なんやそれ・・・わけ分からんなぁ・・・」






「あぁ、それからあいつ、自分の事、名乗ってたわ」





「なんて?」






「えぇっと、確か・・・風戸 仁って・・・」






「なんやて!!」






京介の顔色が変わった。


「それほんまか!?」






「うん・・・」






「クソッ・・・刑務所におったんと違うんか!?」






「ちょっと、どうしたのよ?」






「いやぁ、あいつにはちょっと、借りがあるんや。スマンけど、すぐ戻って来るさかいちょっとここで、待っといてくれへんか?」






「私は、全然構わないけど、どこ行くのよ?」






「さっきんとこや、あいつにはちょっと用があんねや」






“ガラッ・・・”






「そや!これ持っとき」






“ガサッ”






京介は、晴奈に持っていた銃を渡した。






「使い方は、大体わかるな?俺が戻って来る前に、変な奴が来たら、それ使え!えぇか、無駄撃ちしたあかんで!ほなっ俺行くで!」






「ちょっと、待って!京の銃は?」






「心配せんでええ、ちゃんとあるから。ほな!」






“ガラガラッ・・・バシッ”





京介は小屋から飛び出して行った。



“ザッザッザッザッ”




京介は、森の中を走っていた。






「クソッ・・・クソッ・・・、ハァ・・・あいつが・・・あいつが・・・ハァ・・・

あん時、あいつが仁って知ってたら・・・とどめをさしとったんや。クソッ・・・変な情けをかけるんやなかったわぁ」



京介は、自分の親のかたきである仁を、助けた事を、後悔していた。






“ザッザッザッザッ”






京介は、さっきいた所に戻って来た。






「!?

なんでや!?あいつがおらへん?・・・確かにここやった・・・

クソッ・・・逃がしたか・・・・ん?」






京介は、足下を見た。






そこには、血の付いた枯れ葉が、そこら中にあった。






たどって行くと、その血が一本の道しるべのようにつらなって、続いているのがわかった。






「フッ・・・逃がさへんでぇ・・・」






京介は、薄く微笑を浮かべて、その血の跡をたどって行った。


「はぁ・・・また独りぼっちかぁ」






翔太や京介と一緒だったので、しばらく感じなかった孤独感に晴奈は不安になっていた。






“カチンッ”






晴奈は念の為に、銃のロックを外した。






“・・・・・・ ”





「!」





小屋の外で、かすかだが声がする。






「(・・・誰か来る・・・・!?)」






“ガチャッ・・・”






晴奈は、ドアに向って銃をかまえた。

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