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3 エイシャのドナドナ

キャラ掘るのとか風景描写めんどくさくて止めたくなりますよね。妄想備忘録だから別に良いか!って止めてるときありますよ。

 王宮に招待される事になったエイシャ達は王子達とは別の馬車に揺られている最中であった。


 王子の馬車は何台か前を走っている。

 恐らく道中の世話係など、使用人らの乗る馬車に挟まれているのだろう。

 騎乗している兵士の密度が高い辺りかと予想される。


 侍女に扇子を扇がせながらミカエルが口を開く。


「リズ、お父様に連絡はしたのでしょうね」


「はい、簡単ではありますが、書を出しております」


 リズと呼ばれた侍女は肩上で揃えた栗色の髪を揺らしながら微笑み、答えた。

 扇子を扇ぐ手が少し緩んでいる。


「ちょっと、しっかり扇いで頂戴! 貧民の臭いが耐えられないのよ!!」


(あーそういう。暑いとかじゃないんだ……)


 馬車はキリミードに差し掛かる。


 キリミードはヴェルト小国の西側に位置するこの国の首都だ。

 中心地には城下町があり、王宮に近い位置には、高級店や王宮に勤める貴族達の別荘や本宅も点在している。

 王宮から離れるにつれ庶民の姿もちらほら見えてくる。それでも首都に住まう事が出来るレベルの民であり、その職は王宮や貴族の屋敷で働く使用人、兵士の家族、高級店を抱える商会の幹部などが殆どだ。


 どう足掻いてもエイシャが来れるような場所ではない。


(転生したのがお嬢様でなくても、聖女の生まれ変わりでしたー! ヒロインですー! とかならアリかも知れないけど、そうじゃないしね……多分……)


 エイシャの前世で言えば、田舎の中高生が体操服で銀座や六本木に来るような光景だろう。


(ないね……それはない。……えっ、待って、今ありえてる。今まさにそうよね!)


「恥さらしじゃない……」


 馬車が進むごとに風景はきらびやかになっていく。

 頭の中で考えたことが口をついて出て来てしまう程度には焦りを感じていた。


「あら、ご自分の事かしら。貧民なりに自覚があるのはとても良い事ですわよ」


 ミカエラがいちいち反応をくれる。

 投げっぱなしのボールを拾ってくれる優しさはあるようだ。


「お……恐れ入ります……」


「気安く返事しないでくださる?」


 しかし、まさかの大暴投でボールが返って来るとは思っていなかった。


(どうしよう、キャッチどころか打ち返そうにも三振しそう……)


「こちらの娘を見習ってくださらない?ずっと黙っているじゃない」


 ミカエラがずっと黙ったままの少女を目で指した。


 王子と話をしたとき、おずおずと人生が変わることについて質問した少女だ。


「あなた、名前ぐらいは聞いて差し上げますわ。名前が分からないと不便でしょう?」


 ミカエラが声を掛けたのはエイシャではない。


(私の名前要らないんだ! そうね、貧民って呼べば大丈夫だもんね、凄く自然に傷ついたわ)


 傷つくエイシャの隣で少女が名乗る。


「マリエ……でございます」


 マリエは黒く艶やかな髪を三つ編みにし、背中に垂らしている。子猫のような丸い目は澄んだ緑。シンプルだが可愛らしい薄紫のワンピースを纏っており、それなりに不自由なく暮らせている事は想像に難しくない。


(何というか、こんなに浮き彫りにしなくても……いや、そうね、私が巻き込んだんだから恥さらしも自業自得……)


 揺れる馬車の中で沈みゆくエイシャの気分をよそに、ミカエラはマリエと話始めた。


「悪くない名前でしてよ。あなた、キリミードには来たことがあって?」


「あ、ありがとうございます。こちらへは父に連れられて何度か……」


 マリエがおずおずと返答する。


「そう。あなたのお父上はこちらで仕事を?」


「……地元で商いをしておりまして、品物の買い付けに」


 ミカエラの質問はマリエの身の上を調べる為だとわかる。

 そうなるとマリエの返答は答えすぎだ。


「こちらでの買い付けは容易ではないでしょう。あなたのお父上は優秀な商人ですのね」


「あ……ありがとうございます……」


 マリエは少し俯いて気恥ずかしそうにした。


 ミカエラは素直に褒めた……訳がないのだ。

 階級は分からないが彼女は貴族だ。


 ミカエラには、マリエへの質問を続けるかどうかの選択肢がある。

 あまり不躾に質問しすぎるのは良くない。間に褒め言葉や共感を入れ、相手の反応を伺いながら会話を続けるか否かを判断するのが基本だ。


 マリエの反応であれば、恐らく身分が違うことも手伝って更に質問を続けることは出来る。


 しかしミカエラはそこで止めておいた。


「誇ってよろしくてよ。私が言うのですから」


 適当に会話を切り上げる。


 こんな町娘を探ったところで仕方がない、ミカエラの方が冷めてしまったからだった。


 これから王宮で起こることが気掛かりで仕方ない。


 国宝がどのようになったのかは分からないが、無事では無いのは確かだ。


 フラウム王子やアルジェルの様子からしてミカエラが責められる訳ではないだろうが、それでも気持ち良くはない。


 誰もが憧れるフラウム王子よりの招待がこのような形とは思わず、内心歯噛みする。


 町で急遽調達された馬車の中は質素ではないものの決して快適ではなく、先立つ不安と合わさって車内の空気を悪くする。


 事件のあった町から3時間ほどで王宮が見えてきた。


 ここまでの道中で、キリミードを行き交う人々は予定よりもかなり早く帰ってきた王子に驚き、不安な顔をする者も居た。


 エイシャ達が乗る馬車を指差す子どもや、こちらを見ながら寄り合って話す婦人も見受けられた。


 エイシャは俯き、なるべく顔を上げないようにした。


 フラウム王子達はエイシャが悪いとは言っていなかった。しかし今は自分の身の上と場所の差異が酷すぎて自分の存在自体が罪のようだ。


(運ばれる牛みたい。どうしてこう……いつも……)


 不幸の元凶はいつも自分自身。




一人称で書くとその時は楽しいんですけど、主体になるキャラ変えたときに「私は○○」みたいな始まり方したり文体変えたりしなくちゃいけなくて、いつか混ざりそうだなって思ったので諦めました。でもこっちはこっちでイバラ。


長く続けられて外伝みたいなセルフ2次創作とかする事あったらやってみたい

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ネタバレ絵垢:ノーラン城の書庫 ※鍵となります。基本フォロバはさせて頂きますが、ネタバレ話や願望を中心とした自我も出ますのでご注意を。
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