河崎爆発ッ!その6
優里奈の水の噴出攻撃をもろに受けた俺は、快適だった。いやあ気持ち良いね!熱い砂漠での水浴びは最高!
「遥君、私の攻撃効かないの!?今すごいスピードで水を放出してるのに!」
「さあて、こっちのターンだ!」
左手に魔力を集中させ、、今だ!
思いっきりの力で優里奈に向かって光線を放った。
「どうやら、決まったようだな!勝者、遥!」
「大丈夫ですか?優里奈さん」
「嘘、、でしょ。。この私が、負ける、なんて…」
そう言って優里奈は砂漠の上に倒れ込んだ。
俺の光線に当たって倒れない奴はいない。なにせ、思いっきり魔力を込めたからね。
「では、元の世界に戻ろう」
栄の大通りに出たのは、午前2時過ぎだった。
「あちゃー、やってしまった。電車無いじゃん」
「私は優里奈を家に送っていく。遥は跳んで帰ればよかろう。大丈夫。この時間帯だ。誰にも気づかれることは無い」
「優里奈さん、大丈夫ですかね?」
「ただ気絶してるだけだろう。それじゃ、来週の月曜日のテスト返却日、また学校で会おう!」
その後、裕子先生たちと別れた俺は、帰ろうと足に力を集中させていた、その時だった。
後ろで何か気配が。振り向くとそこには裕也がいた。
「お前、なんでこんな時間にこんなところに…」
「あちゃー、気付かれてもうたか…。いやあ、遊びすぎたら終電無くなってしまったんや」
やべえ、危うく裕也に見られるとこだった。
「で、オニババとのデートどうだったん?」
「…見ていたのか?」
「いやぁ、始発まで駅前で待つのもなんなんで、そこら辺歩き回ってたんや。そしたら酔っ払ったあんちゃん抱えた裕子先生と遥君をたまたま見つけてな?」
「ま、始発まで待ちましょか。この辺はサツがウロウロしとるから、補導されてまうで。あっちの路地裏行こうや」
「んで、裕也は誰と遊んでたんだ?お前いつも学校ではクールキャラと言うか、一人じゃん」
「他校の人とか先輩とかや。青山高校の子はガキすぎて相手してられん」
「そういう風に自分で壁作っちゃうから友達出来ないんじゃねーの?まあ、俺も他人の事言えないけど」
「ははは!ご忠告どうも!」
そういえば、楓が言ってたが、裕也って異能力者なんだっけか。
そんな風には見えないけどなぁ。
この際、ここは思い切って聞いてみるか。
「なあ、裕也」
「なんや?」
「この世の中には、科学とかでは解明できない超常現象ってのがあると思うか?」
「どした?急に。まあ、あるんやない?だって、君、そうやろ?」
ぎくッ!もしかして、俺が異能力者ってこと裕也にバレてるのか!?
「ははは!だって遥、不思議ちゃんやん」
なんだ、ただいつもの通りイジッてるだけか。。
「そ、そうか?お前よりは普通だと思うぞ…?」
「そうかもな!俺、よく周りから変わってるねって言われんねん。でもどこが変わってるのか分らん。それはそうと、夏休みのプールのお誘い、行く?」
「え?なんの話だ?」
「うわぁー。お前最低な奴やな!秋山が誘ってくれたやん!ほら、テスト前日の帰りのホームルームのとき!」
「あー、そういえば、、そうだったな」
「あの返事まだしとらんの?ちょっと携帯貸してみ!」
そう言って裕也は俺から無理やり携帯を奪い取り、秋山に『件名・拝啓秋山様 本文・行きますよろしく!』と送信した。
「お前何してんだよ!」
「別にええやん!暇やろ?」
「確かに暇だけどさ、、」
「何が問題なんや?」
「俺、秋山とあんま喋ったことねえ…」
「ははは!実はわいもや…」
俺は怖い。そんな喋ったことも無い、あんま親しくない人に、深夜3時にメールを送ってしまった。
「あ、メールの着信だ!」
「え、こんな時間に?誰から」
「秋山…」
「うわあ、あいつこんな時間まで起きとん?何しとん…」
「いや、栄の真ん中で午前3時にたむろしてる俺らの方が何してんだよってなるだろ」
「とりあえず、メール読むぞ。『ありがとう!遥君来てくれて嬉しい!これでクラス全員参加!』だって、、。」
「え、アイツ、クラスの人全員プールに誘ってんの?」
「らしいな」
「うわー!やってもうたわー!今から不参加に出来ひんかなー!てっきり秋山とか少数だと思ってたんだけどなー!インキャのわい、無事死亡!」
「元気出せよ」
って、なんで俺が裕也を慰めなきゃならんのだ。全く。
そうこうしてるうちに夜が明けた。
裕也とは方向が逆の俺は地下鉄の駅で別れた。
「やべ、今気づいた。俺電車賃ねーわ…」
結局、空を跳んで帰ったのだった…。