河崎爆発ッ!その2
学校に着いた後、とりあえず化学と英語の勉強をしようと教科書を開いていた。
「はー。全然頭に入らねえ」
「ははは!遥は化学も英語も補習か?」
裕也がイジッてきた。無視をかまそうと思ったが、俺は勉強する気は無かったから裕也と会話することにした。
「うるせぇな。お前だって数学のテスト受けてないから補習じゃん」
「ははは!どっちがオニババとデート出来るか勝負やな!」
「っていうか、お前化学と英語出来てたっけ?中間テストの点数微妙だったんじゃ?」
「えー、そうだっけかなあ?覚えてへんわぁ」
そう言って裕也は鞄からジャンプを取り出す。全然勉強する気ないな。
「おいおい、目障りだから俺の前で漫画読むなよな。そういえば、昨日、テストすっぽかして女の子と栄行ったっつうけど、どこの女だよ」
「えー、気になっちゃいますかぁ?遥君。普通にただの女子友やで」
チャイムが鳴った。
「はい皆席に着けぇ。ホームルームを始める!」
「おっと、オニババが入ってきた。んじゃ、遥君テスト頑張ってや~」
なんてのんきな奴なんだ。お前もテストじゃん。そうツッコミたかったが大人しく教科書に目を戻した。
化学と英語のテストは簡単だった。
放課後、俺は楓について何か情報が無いかオニババのところへ行った。
「裕子先生、楓のことについてなんですが」
「本当に楓が異能力者か謎だな。異能力協会に問い合わせてみたが、登録されてないみたいだな。まあ、色々気を付けた方が良いかもしれぬ。昨日、河崎で爆発があっただろ?」
「はい、あれは異能力による爆発でした」
「私の所属してる飛騨会はあの爆発の後緊急会合を開いた」
やっぱり、飛騨会も会合を開いたんだな。ま、それもそうか、あの爆発は異能力者であれば必ず、気付く。
「ところが、だ。爆発を起こした異能力者が何者なのか分からない。不明のままだ。普通、数時間すれば異能力協会からの報告が出るはずなんだがな」
「もし、その異能力者が協会に登録されてない異能力者だったら?」
「それが可能な異能力者がこの世に存在するとしたら…」
「横濱連合」
「場所が場所だけに、ありうる話だ。だから、協会に登録されてない異能力者は誰であれ注意しろ」
参ったな。オニババも俺と同じ考えのようだ。事実、昨日楓も私は横濱連合関係者的なこと言ってたし、、。しかも兵器。
「あの、すみません、最後に一つだけ良いですか?」
「なんだ?」
「横濱連合って噴水族と抗争した後、表舞台から姿を消しましたけど、噴水族はまだ名護屋に」
「やめておけ。遥では無理だ、たとえお前が名護屋の最強クラスの異能力者だとしても、あっちは数が多いからな。シナトラの力では無理だ。噴水の連中は武闘派だからな。でもまあ、外交のつてが無いわけではないが…」
「え、噴水族の知り合いがいらっしゃるんですか?」
「ああ。偶然にも週末、そいつと飲む約束をしているし、一緒に来るか?」
「よろしくお願いします!」
収穫は、噴水族の人と会えることになったぐらいか。はぁ。全然進展無いなぁ。
あ、そういやテスト終わった後携帯の電源を入れなおしてなかった。ポチッ。
うわあ、めっちゃ連絡きてる、修誠から10件越え…。あ、そうだった。修誠達って今河崎で調査してるんだった。
すっかりそのことを忘れていた俺は修誠に電話をかけなおした。
「もしもし?修誠?すまんすまん!携帯切っててさあ」
「会長酷いっすよ!こっちが電話しても全くでないなんて!」
「まあまあ、で、そっちの状況は?」
「爆発の形状からして、すごいパワーっすね。これ、会長よりも強力な異能力者の仕業っすよ!」
俺よりも強いだと?光属性異能力で名護屋最強と謳われる俺よりも?
「攻撃の属性はなんだ?」
「おそらく、闇。河崎の駅前から工場地帯に向かって大きく建物が壊れているから、闇属性の波動攻撃っす!空から波動を市街地に向かって放ったんだと思います」
「わかった。引き続きよろしく頼む!」
「了解っす!」
修誠達からの報告も、進展は【犯人は闇属性】ってだけか。
まあ、しゃーなしか。それに俺がそこまで首突っ込むことも無いしな。でも、横濱連合の仕業だとしたら、奴等が次に襲撃するのは間違いなく名護屋だ。噴水族と抗争した因縁は今も当然残ってるだろう。
「おー、遥やん!テスト出来た~?俺満点だわー」
「あれ、裕也まだ学校残ってたのか。お前確か帰宅部だったよな」
「んー?いやあ、実は定期無くしちゃってさ」
「まじかよ。確か見重から通いだろ?大変だな。金貸そうか?」
「え?通いちゃうで?最近、やっぱ見重から通うの大変だなって思って女の子の家に泊まってる~。で、今は定期無くしたから女の子に迎えに来てもらってるとこなんや」
「マジかよ。高校生で同棲かよ」
「悪い?同意の上やで。お互い16だし合法っしょ!」
さすが裕也、チャラい。ただただチャラい。
「あっそ。んじゃ、俺は先帰るわ」
「お疲れ~」
俺は最近、裕也が友達なのかさえ分らんくなった。アイツが何者なのかさっぱりわからない。自分の事をあまり話さない人間だから、こっちから聞かないと何も答えない。
まあ、そんなのは置いといて俺は学校から帰宅することにした。