異世界の生物か死滅するまで
ディールという世界……
魔物が蠢く剣と魔法の世界に異変が起こった。
人種属…… 人間やエルフ、獣人など体に魔力が漲り能力が解放された。
例えば商人の子供がコップに手を添えるだけでコップに魔法付与される
食事を作る包丁にさえ強化魔法が強制的に付与され、川魚を捌いているだけなのに調理台を一刀両断してしまう
もちろん冒険者や騎士もその異変と自分のパワーアップに誰より早く気がつくと力に酔い痴れ高火力・高レベルの魔法を使い捨てるように使い始めた
人々は強大な力を得た事により、もう魔物に悩む事が無くなるのだと此の日を魔力が溢れた日と名付けた。
――― そんな異変が人々に根付いたある日の事 ……
片田舎にある農村―――
魔力が使い放題になり農民は作業を全て簡単に終わらせる事が出来るようになる……
鍬を持つと自動的に魔力が鍬に移り牛乳をスプーンで混ぜるより安易な力で畑を耕せるようになったのだ
山手に在り水源が確保し難かったこの農村は水魔法のおかげで絶えず水が溢れ子供達は日々の仕事の手伝いから解放され自由に遊び呆けていた。
「あ! スライムだ! 」
「ホントだ! 」
村の13歳と10歳の兄弟が山道を風魔法で体を纏い疾走しているところでスライムを兄が見つけた。
「お兄ちゃん! 」
「ああ! 今度は俺にやらせろよ! 」
兄弟は魔力が溢れた日から魔物を狩る事を遊びにした。
何の魔力の才能もない田舎の子供ですら魔力が溢れた日前なら老練な魔法使いが扱っていたような力を揮えるようになっていた。
兄が両手をスライムに向け魔力を練り上げ魔法のポテンシャルを上げていく。
「すっげ…… 」
弟がその魔力量に目をパチパチをしながら驚く。
「おらぁーーー! サンダーバースト!! 」
叫びながらスライムに手を向けると魔法がスライムを包みながら高速で回転しながら
バリバリバリ…… ドーーーン!
と建物が倒壊するような音をならしながらスライムを雷が打ち付ける
轟々と雷の高温が空気中の水分を蒸発させる匂いと地表を焦がす匂いが広がる――― が、
「―――、 なんで…… 生きてるの? 」
雷を受けたスライムは無傷でプルプルと身体を震わせる
「お兄ちゃん! 」
弟が悲痛な叫び声を上げる
「!! 」
驚きまわりを兄が確認すると、そこら中にスライムがいて囲まれていると理解する。
「チッ! 焦るな! 」
「う…… うん」
兄弟は集まってくるスライム達に様々な魔法攻撃を仕掛ける
それは以前ならワイバーンですら瞬殺できるような魔法……
「なんで! 魔力が溢れた日の前だって棒ででも倒せたスライムがこんなに強いの!? 」
スライムは数匹を倒せたが……
「何匹…… いるんだ…… 」
ぐるりには数1000を超えるスライムが集まりその異様さに弟が泣き出してしまう。
「クソっ! クソっ! 」
兄は魔法をさらに乱撃するが一匹のスライムが足に飛びつく。
顔を青ざめさせ恐怖で声も出ずスライムを凝視するとスライムはまるで剣山のように兄へ向けて体を尖らせる
「ひ…… ひぃっ! ごめんなさい! ごめんなさい! 」
兄は涙を流しながらスライムに謝るがスライムはさらにさらに体を尖らせて兄の身体中の穴に侵入する。
目や口など人間が理解する体の穴だけではない
「痛い! いたいいたいー! いたい! 」
毛穴にまでスライムが侵入しだしたのだ
毛穴を広げながらスライムは兄の体にズルリズルリと入って行くと、溺死した人間のように水を含んだような膨れた皮膚になる
水ぶくれが身体中にあると分かるだろうか?
「いひゃい…… いひゃい…… たすげて…… 」
侵入したスライムを涙として排出するが、その涙となったスライムが翻しまた毛穴に侵入する。
それを見てガチガチと歯を鳴らし恐怖する弟にもスライムが絡みつく……
――― 数十分後そこには兄弟の服と、綺麗に肉を削がれた骨だけが残されていた。
スライム達は兄弟の匂いを辿り農村に向かう……
そこには人間の絶望だけが待っていた。