表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/41

森の中 4

湿った空気の中でけもの道をひたすら進む。マイナスイオンがたっぷりあるようで、息をするのは楽に感じた。

歩いていて気づいたのは、やけに静かだということ。風で揺れる木々のざわめきは聞こえる。しかし動物の鳴き声は聞こえない。

まるで息を潜めて、何かから隠れているように--。


きっと考えすぎだろう。



『湖だ』


例によって静かな湖畔に出た。

水面には波一つ立たない。

率いた女性-ヘレンというらしい-は気付いているのかいないのか、水をすくって飲んでいた。


『毒は無いようだよ。みんなも飲んで、これから頑張るために』


彼女たちは各々水を飲んでいたが、結月はなんだか気味が悪くて飲む気がしなかった。

それはカーリーも同様で、ただ結月の近くに座って水面をじっと見つめていた。


『あなた達は飲まないの?』


不安にしている様子を感じたのだろうか、ヘレンがやって来て腰を下ろした。カーリーが何かを言って、ヘレンは考えるように口元に手をやる。

英語をもっと頑張って勉強しておけばよかった、と本日二度目の後悔。

自分の名前が呼ばれた気がして彼女たちに顔を向けると、身振り手振りで何かを伝えようとしていた。

首を傾げてもう一度、とお願いしようとすると、多くの足音が聞こえてきた。


『なにかしら』

『あたし達をここに連れて来た奴ら?』


ヘレンは立ち上がって女性たちを一箇所に集める。

音は次第に大きくなる。馬の足音に似ていた。

心臓が早く鼓動を打つ。隠れん坊をしているようだ。息を潜めたってどこにも隠れる場所はない。

そして現れたのは馬に乗り、銀色の鎧に身を包んだ人々だった。


『あたしたち、タイムスリップしたの?』


先頭にいた人が頭の鎧を外すと、周りにいた人々も習って外し始めた。

ヘレンが近づいて話しかける。


『あなた達は一体誰?ここはどこ?あたし達をどうするつもり?』


馬から降りた男達は困ったように顔を見合わせた。

嫌な予感がした。

そして口から出てきた言葉は案の定、結月には全く理解できない言語だった。


『.....ごめんなさい、あたし理解できないわ』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ