2章⑨ 三原学園生徒会
正門前で、部長達に向かい執事の様に丁重な挨拶をする者は、髪がブロンド色で瞳が蒼い事が特徴的だった。すると、部長が警戒しつつ問い返した。
「お前は、誰だ? この学園に留学生はいないと聞いていたが、新しい生徒か?」
「これは申し訳ございません。私は、見て分かる通り三原学園の生徒であり、新しく生徒会に入りました、ホアロと申します」
ホアロと名乗る人物は、自己紹介をして再度お辞儀をした。制服は十色学園とは違い、ブレザーではなく学ランの制服であった。
「お前1年生か? 生徒会に新しい奴が入るなんて、あいつがお前を誘ったのか?」
「はい、今年入った新入生です。東堂会長に直接勧誘を受けたんです。今はまだ役職はないですが」
ホアロは部長の問いかけに丁寧に答えた。そして、世界征服部の4人を案内し出す。
「ここで立ち話もなんですから、生徒会室にお越し下さい。東堂会長もお待ちですし」
「ちょっと待って! 他の生徒が全く見当たらないけど、何かイベントでもあるの?」
ホアロの案内前に、彩音が問いかけるとホアロが笑顔で答えた。
「いえ、そう言ったイベントはございません。本日、三原学園は休校日なのです。我々生徒会は、あなた方がいらっしゃいると思い待っていたのです」
「待っていたか……」
ホアロの回答に竜胆が少し引っかかったが、追求する事はなかった。
「それでは、世界征服部の皆様方、私が生徒会室にご案内致しますので、付いてきて下さい」
そう言って歩き出すホアロ。世界征服部の4人はすぐに付いて行かず、竜胆が部長に寄って小声で話す。
「あのホアロっていう奴、怪しいですよ。どうするんです部長」
「とりあえず、付いて行こう。生徒会の連中に合わせてくれるみたいだし。ただ、警戒はしておけ」
その部長の答えに竜胆は頷き、彩音と一空も聞こえており頷いていた。そうして、4人はホアロに付いて行くことにした。
――――――
学園内に入ったホアロと4人だったが、校舎内で本当に誰にも合うことはなく、ただ歩く足音だけが校舎内に響いていた。そしてホアロに付いていった4人は、生徒会室の前に到着した。
「ここが生徒会室です。中で他の方々もお待ちしております」
そう言うと、ホアロは生徒会室のドアを開けて、中に入るように世界征服部の4名に手でジェスチャーをした。それに従い部長が筆頭に生徒会室に入る。
生徒会室は、世界征服部の倍の広さがあり中心にはテーブルがあり、ロッカーや戸棚なども置いてあった。部屋へ入るとテーブルの反対側に三原学園の生徒が4人おり、うち1人だけ椅子に座り、他の3人の生徒は周りに立っていた。そして、世界征服部の4人は手前に用意してあった椅子に腰掛けるように指示され座った。それを確認してから、部長の正面の椅子に座っている人物が口を開いた。
「ようこそ、三原学園へ。初めましての方もいるので自己紹介させていただきます。僕は三原学園生徒会長の東堂大和です。よろしく」
東堂と名乗る生徒会長は、そのまま他の生徒会メンバーを紹介し始める。
「僕の右にいるショートカットの女の子が、桃瀬凛、副会長だ。それで、左にいる髪を後ろで三つ編みにしてる女の子が、双葉のぞみ、書記。その隣で少し身長が低くて、ヘルメットを被っているのが、楯守ミチ、会計。そして、君達の案内をしたのが、サン・ホアロ。生徒会の見習いだ。以上が、三原学園生徒会だ」
そうして、各メンバーの紹介を終えてひと段落ついた所で、部長が東堂に問いただした。
「で、東堂。どうして今まで連絡がつかなかったんだ?」
「そのことですか。手紙にも書いたと思うんですが、【神の名を継ぐ者】と戦闘があって、その後の対処に追われていて連絡が出来なかったんです」
東堂は部長の問いかけに、すぐに言い返すと部長は彩音に渡していた手紙を返してもらう。
「彩音、中は見たか?」
「いえ、見ていません」
「そうか」
すると次に東堂が、部長に対して問いかけた。
「部長さん、今度は僕の方からも、1つ言ってもいいですか?」
部長は急な問いかけに少し驚いたが、頷き東堂の問いかけに耳を傾けた。
「【神の名を継ぐ者】に抗うことをもう、やめませんか?」