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オバケの世界征服  作者: 属-金閣
2章 4月1日~4月4日 三原学園
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2章⑦ 決断と部長への手紙

 

 竜胆と一空の勝負と部長からの衝撃の真実を語ってから1日たった。

 本日から学園の新しい年度の開始日であり学園の生徒が多くいた。初日ということもあり、午前中で授業なども終わり、午後からは部活動が様々な所で行われていた。

 そして、世界征服部の扉前には、彩音がドアを開けると部長がすでにいつも椅子に座っていた。だが、竜胆や一空の姿はなかった。彩音は中に入るとドアを締めて、部長に話しかける。


「部長、昨日の話ですが、やはり一空には、いきなり全てを話し過ぎだと思います。私でさえ徐々に聞いたものをいっきに聞いたらどうなるか……」


 彩音は一空の状態を心配するように部長に進言した。


「彩音は万城のことが心配か。昨日も言ったが、決めたのはあいつ自身だ。私は忠告はしたぞ。それでどうなろうが、私には関係ない」


 部長は冷たく彩音へ答える。


「さすがにそれは、冷た過ぎです。それに、昨日の()()()だって話してないじゃないですか」


 彩音は部長に近寄り小声で話す。


()()()()、まだ言うべきじゃない。それにあれが、なんだったかも不明なんだ。それを万城に伝えてみろ、余計に混乱するぞ。……まぁ、もう来ないかもしれないがな……」


 部長は諦めているように話した。


「……それは、何とも言えませんが……真との勝負後に起こった事は、やはり伝えておくべきでは……」


 彩音は部長に反論したが、部長は首を横に振る。


「あれは、私と彩音だけの秘密としておく。竜胆にも話すな。もちろん万城にもだ。いいな」


 部長は彩音に釘をさす勢いで言い返した。そこで彩音は1つの疑問が出ていた。


「一空は分かりましたが、なぜ真まで言ってはいけないんですか? 問題はないかと思いますが?」

「……とにかく、この話は終わりだ」


 部長は少し沈黙したのち、強制的に話を終わらせた。

 彩音は納得がいかない為、部長に追求しようとした瞬間、部室のドアが開く音がした。その音に気づき彩音は、振り返った。


「えっ!」


 そこにいた人物に少し驚く彩音と同じ様に部長も少し驚いていた。

 部室のドアを開けて立っていたのは、一空だった。


「一空、どうしてここに?」


 彩音からの問いかけに一空は疑問に思い頭を少し右に傾けたが、すぐに返答した。


「どうしてって、俺はここの部員だし部室来ちゃいけないのか?」


 当然のことの様に聞き返す一空に、彩音は目を見開いて何度か瞬きをしていた。そこに部長が一空に話かける。


「よく来たな。昨日の話を聞いてもう来ないんじゃないかと思ってたぞ。あんなの聞いてよく、またここに来たな」


 部長はすこし呆れるように一空に対し伝える。


「まぁ、確かにあんなこと聞いて驚いたり、落ち込んだりして、自分だけじゃ何の整理も出来なかったよ。だから、とりあえずあんた達と、一緒にいて昨日の話が本当かどうか確かめる事にした。独自でやるより、張本人がいるところの方が確かめやすいしな。それに、世界征服もしないといけないし、手伝ってもらえる所はここしなないからな」


 一空の返答に彩音は何とも言えない表情をしており、部長は鼻で笑った。


「な、なんで鼻で笑うんだよ!」

「いや、昨日の事を聞いて、本当か確かめようとするか? 普通なら信じないし、ここへなんて来ないだろ?」


 部長は、少し笑いながら一空に言い返した。


「バカにしてんのか!」

「いいや、そうじゃない。お前がそう決めたのなら納得できるまで、いればいいし、行動すればいい。私は反対などしない。だが、ここにいる以上は部活動はやってもらうぞ」


 一空はそれを聞き、部長を真っ直ぐに見つめて答える。


「あぁ、やってやるよ。だが、命を奪う様な事は絶対にしねぇからな。もし、するよう事があんならあんた達と戦って止めてやるからな!」


 一空は自らの信念を部長と彩音に宣言した。


「私達は基本的には学園を守るだけだ。ただ、命を狙われる、命がかかる場合は状況が変わるがな。にしても、やたらと命について力説するなお前は」

「俺はただ、無意味に命を奪ったりする事が許せないだけだ」


 それを聞き部長は、一空を茶化す事を言う。


「それはいいが。まぁもし、私が敵なら今の素人のお前こそ、無意味に命を差し出しているような奴だと思うがな」


 一空はそれに対しては、何も言い返せなかった。


「とりあえずは、戦闘訓練でもして素人から上がって見せろ。センス自体は良さそうだしな」


 部長は一空に対して助言をすると彩音も同じ様な事を話す。


「確かに、昨日の真との勝負を見る限りではセンスは良さそうだね。部長、一空の戦闘訓練は私が付き合ってもいいですか?」


 彩音の発言に部長は頷く。


「元々、そのつもりだ。彩音、ガッツリしごいてやれよ。ある程度戦えるぐらいにまではしてやれ」

「はい。じゃあ、行こうか一空!」

「え、どこに?」


 そう言って彩音は一空を引っ張って部室を出て行った。部室には、部長1人になり独り言を呟く。


「あいつは凄いな……あんなことを言うとは、思ってもいなかったよ。お前はこうなると思ってたのか?」


 そう誰もいない部室に、問いかけた部長。そして、部長の後方から返答が返って来た。


「いいや、全く」


 部長は椅子を回し窓の外を見ると、そこには閻魔を名乗っていた人物がいた。


「それで、どうするんだこれから?」

「とりあえずは様子見だ。それより、あいつらと最近、連絡が取れなくなったから、会いに行く予定だが、何か知らないか?」


 そう言って部長は机の引き出しを開けた。そこには1通の手紙と裏返しにされている写真たてが入っていた。そこから手紙を取り出し、再び引き出しを閉じた。


「あぁ、奴らか……噂じゃ最近【神の名を継ぐ者】とやったと聞くがな。本当かは知らんが……」

「噂は入ってきている。私の数少ない知り合いだし、今後の事も話し合おうとしていた矢先だったから、少し心配なんだが」


 部長は手紙を手に持って、それを前後に振りながら、話す所に閻魔を名乗る人物が割り込む。


「そうそう、[あの集団]が動いているのは知ってるだろ。お前のとこにも来るかもしれんから気をつけろよ」

「分かってる。……それより頼みがあるんだが」


 部長からの頼み事を聞く前に閻魔を名乗る人物は、持っていた扇子を口元に当てた。


「ほぉ、珍しい。とりあえずは聞いてやろう」

「1つ目は、お前のとこに預けた古臭い奴を呼び戻してくれ。2つ目は、奴らに会いに行くからお前の移動手段を使わせろ」


 閻魔を名乗る人物は、それを聞きため息を漏らした。


「前にも言ったかもしれんが、頼む時はもう少し言い方があると思うんだがな」

「で、やってくれるのか? やらんのか?」


 閻魔を名乗る人物の問いかけには、聞きもせずに閻魔に聞き続けた。


「分かった……1つ目は時間がかかるぞ。それでもいいな」

「頼んだ。2つ目は、行くときに連絡するからそん時に頼む」

「はいはい……じゃ、私は帰るぞ。……たまたま通りかかっただけで、こんななるとは思わなかったわ……」


 閻魔を名乗る人物は、ブツブツと言いながら振り返り、黒いゲートを出現させ入って行った。それを見送ることはせずに、椅子を回転させ部室の方に戻し、机に向かった。


「さて、私も準備するかな」


 そう言って持っていた手紙を上着にしまい、椅子から立ち上がり部室を後にした。


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