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オバケの世界征服  作者: 属-金閣
2章 4月1日~4月4日 三原学園
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2章⑥ 本当の真実

 

「簡単に言えば、お前は奴らに洗脳されてんだ」


 部長は一空に、より分かりやすく直接的に伝え直すと、一空はそれに反論する。


「そんなわけないだろ! そんな変な事された覚えはないぞ!」

「【神の名を継ぐ者】だぞ、何が出来ようと不思議じゃないだろ。それに、おまえ自身がそう言う状態という証明になってる」


 部長は淡々と話し続ける。


「そんなの信じられるか! 彩音もそうなんじゃないのか?」


 一空は彩音に問いかける。


「昔の私も一空と同じだったわ……でも、考えたり調べてみるほど疑問が出てくるの。戦争の発端や起こった場所、新聞やニュースといった情報でも7年前の詳細な情報がないの。ただ、自分達は理解しているだけで何にも大きな記録は残ってないのよ」


 その答えに絶句する、一空。


「それに今まで戦争の話しを聞いたり、聞かれる事がなかったでしょ?」

「っ! ……それは……いやでも」


 一空は彩音の問いかけに反論しようとしたが、彩音の言う通り今までそんな記憶がなかったため、言葉に詰まっていた。


「分かったか? これは嘘でもデタラメでもないんだ」

「そんな……」


 部長と彩音から語られたことに言葉を失う一空。


「そして、これから話すことが、7年前の戦争であった全ての真実だ」


 そう言って、7年前の戦争の真実を話し出した。



 ――――――



 この国では7年前に【神を名を継ぐ者】と[ある集団]とで大きな戦争が起こった。

 結果は、【神を名を継ぐ者】が収めたことになっている。

 そしてこの戦争の発端は、[ある集団]が【神を名を継ぐ者】を、ある日大量虐殺した事が発端だった。


 戦争が起こる前の【神を名を継ぐ者】は、一空の知っている世界を守護する者としての使命を全うしていた。だが、そんな者達に嫉妬や恨みを持つ者達がいた。それが[ある集団]だ。


 そいつらは、ただの人間が神の名を継ぐということに違和感や嫉妬や恨みを持つもので構成されていた。そこから、【神を名を継ぐ者】への大量虐殺計画が行われたんだ。【神を名を継ぐ者】と言っても今の様に大きな力を持っていたわけじゃなかった。人の進化の助けになるような小さな力を持った者達の集まりでしかなかった。


 だが、[ある集団]はそんな事は知らず、勝手に想像し思い込みで大きな力を持っていると思い、計画を実行していた。そこから、戦争に発展していったが、状況は【神を名を継ぐ者】を[ある集団]が一方的に押していた。


 そんな状況で生き残っていた【神を名を継ぐ者】は禁止の術に手を出した。それは、過去に強力な力を受けついだ【神を名を継ぐ者】を呼び出す事だった。現状にその者達がいないのは、人に与えてはいけない力だと、当時の【神を名を継ぐ者】達が判断し受け継ぐ事を辞めたのだった。


 そして、生き残りの【神を名を継ぐ者】達は、その者達を呼び出す事に成功した。呼び出せたのは3人だった。その3人はそれぞれ、〈ゼウス〉〈ハデス〉〈ポセイドン〉の【神を名を継ぐ者】だった。


 そこからは、戦争の状況が一転した。【神を名を継ぐ者】が逆に[ある集団]達を虐殺し始めた。しかも、それを行っていたのは呼び出された3人で全て行っていた。この時既に【神を名を継ぐ者】はこの3人のみとなっていた。残りは使えないと判断してそいつらが消したのだ。そして、3人となった【神を名を継ぐ者】は、次々に力が強い者を呼び出し新しい【神を名を継ぐ者】を作り上げた。


 一方で[ある集団]も対抗する力を用意していたが、【神を名を継ぐ者】に敵う事なく消えていった。そして【神を名を継ぐ者】は敵対勢力の壊滅だけでは終わらず、世界を自らの力で手にしようとした。だが、それは、ある者達によって大きな存在を失う形で失敗したのだ。しかし残りの【神を名を継ぐ者】はそこから、この国の人々に洗脳をかけた。戦争を止めたのは、【神を名を継ぐ者】と言うことを植え付け、自分達の地位を上げ、敵対勢力から身を隠したのだ。


 そして現在、【神を名を継ぐ者】は再び動き始めた。以前よりも戦力も増やしているが、それを知って反乱軍とも言える組織も動いている。今は反乱軍と言える組織と【神を名を継ぐ者】の一部戦力がぶつかり合い、【神を名を継ぐ者】は反乱軍と思わしき箇所に戦闘員などを向かわせて戦わせているんだ。



 ――――――



「これがこの国で起こり続いている出来事と真実だ」


 部長は話しを締める一言を言った。


「ちなみに、私達は反乱軍と言われる組織の一員ではない。向うが、こちらを敵対勢力だと認識して送り込んで来ている奴らから、この学園を守っているだけだ」

「……」


 一空はその話を聞き、黙ってしまっていた。部長はその状態を見て、椅子から立ち上がる。


「まぁ、お前がこれを信じるかは自由だ。一気に話しすぎて、頭が処理できなくて追いついてこれてないだろ。今日はここまでにしよう」


 そう言って去ろうとする部長に一空は疑問を投げかけた。


「あんたは、何でそんなこと知ってんだ? 本当にただの学園理事長かよ?」

「……私は元々[ある集団]の一員で、そこから【神を名を継ぐ者】の世界征服を止めた一員でもあった。……だが、今はこの学園のただの理事長だ」


 そう答えて、保健室から去って行った。一空は、その答えに追求することなく、黙って部長が去って行くのを見ていた。

 開いたカーテンから外の茜色の空が見え、夕日が徐々に沈みまた1日が終わって行くのを感じていた。


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