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オバケの世界征服  作者: 属-金閣
6章 6月24日〜 獣王
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6章⑱ 自分の力の使い方


『ギンッ!』


激しく鉄がぶつかり合った音がその場に響き渡った。



「(ぐぅっ!さっきまでの剣撃より激しい...)」



一空は、東堂が振り抜く剣撃を腕の鎧で何とか防ぎながら後退していた。

東堂の斬撃に隙がなく反撃できず防戦一歩であった。また、一空はゲージを全て使い切っており『Type-Ⅱ』 のまま戦っていた。


そこで一空は脚のバネを最大限に使い、後方へ飛び下がり、東堂との距離を開けた。

だが、その距離も一瞬で詰めてくる東堂。


「っ!」


しかし一空はそれを想定しており、いち早く地面に足を付けそのまま、右腕を突き出した。

その反撃に、東堂は驚く事もなく宙に浮いたまま上半身を右に沈めながら、拳を避けて一空の腹部目掛けて剣を斬り抜いた。


「ぐぅはぁっ!!」


一空はそのまま吹き飛ばされ壁に衝突した。


「ぐぅっ・・・っ!!」


壁にもたれかかった状態で、正面に目を向けると東堂が顔面目掛けて、既に剣を振り抜き始めていた。



『ギィン!!』



咄嗟に両腕を顔の前に出して、東堂が振り抜いた剣を受け止めたが


『ギィリギィリギィリギィリギィリ』


と音を立てながら、徐々に東堂の力に押され始めていた。


「(『Type-Ⅱ』の力でここまで押されるのかっ・・・)」


一空は抑える事でいっぱいいっぱいになっており、東堂の次の攻撃まで考えきれていなかった。

その瞬間、東堂は急に剣を真上へと剃り上げた。


「しまっ・・・!」


それにより、一空の両腕は真上へと上げられてしまい、無防備状態になってしまう。

そのまま東堂は、右足蹴りを腹部に叩き込んだ。


「ぐぅぉっ・・・」


一空は、その場で前のめりになってしまう。

さらに東堂は、その場で左脚を軸に左へ回転し横顔に回し蹴りを叩き込み、吹き飛ばした。


「がぁっ・・・!」


吹き飛ばされた先で一空は、真横にうずくまるように倒れていた。

東堂は、ゆっくりと一空の方へと歩き出した時に、倒れていた一空が『ふらふら』と立ち上がった。



「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・まだまだ、あんなもんでやられてたまるか。」



すると一空は、右拳をつくり腕を勢いよく真横に振りかぶってから右側の空中目掛けて振りぬいた。


『バギィ!』


と硝子にヒビが入るような音が響くと、一空が叩いた空中の箇所にヒビが入っていた。


「っ!」


その光景を見て、東堂は警戒し剣を前へと突き出し構えた。


「まだ切り札はある!」


一空はそう言って、空中にできたヒビをたたき割ると、奥に真っ黒い空間が現れた。そこに右腕を突っ込み何かを掴み引っ張りだした。


『バギィン!』


空中にできた小さな空間を破り出てきたのは、一本の剣であった。



「それは・・・」

「一気に押し切る!」



一空は握った剣を勢いよく斜めに振り下ろすと、斬撃波が東堂目掛け放たれた。

東堂は、剣の幅を広げ防御態勢を取り斬撃波を受け止めたが思った以上の威力があり受け止めきれず後退させられてしまう。


そして、そのまま斬撃波を後ろへと受け流した。そのまま斬撃波は、壁に当たるとその箇所に斬撃の跡が刻まれ、跡より上の壁が地面に倒れた。



「(なんだ、あの剣は・・・)」



東堂が斬撃波を弾いた直接後に、正面を見ると一空が既に踏み込んできており声を上げながら剣を振り下ろしていた。


「はぁぁぁっーー!」

「ぐっ!」


『ギィン!!』


一空が上から振り下ろした剣を、東堂は下から受けるような態勢となっていた。

そして、一空が東堂に話しかけた。


「やっぱり、その剣で吸収できるのは打撃だけみたいですねっ!」

「!・・・それが、分かった所で何だという!」


東堂は、咄嗟に剣の長さと幅を短くし短剣程にし、剣先で一空の剣を外へ流すと同時に自分も体を内側へと移動させた。

そのまま、短剣を右手の逆手で握ったまま一空の首元目掛けて、腕を突き出した。


「!!」


しかし、その短剣は一空の首元に辿り着く前に、一空が左手で剣の刃を握りしめた。


「なっ!!」


そのまま一空は、剣を離さないまま右腕に握った剣をそのまま、右に向かって振りぬいた。


「がぁっ・・・!」


振りぬいた剣は、東堂の横腹部へ直撃し吹き飛ばした。

吹き飛ばされた東堂は、壁に左肩から激突し地面に足を付けた。



「(ぐぅうっ!!・・・油断した。それに今の当たり方は、少しまずい左肩がじんじんと痛む・・・)」



東堂は痛む左肩を後ろにして立ち上がった。


「(一度外したが、もう一度ストラップは装備しておくか。)」


東堂は、左手で一空からは見えないように腰に付けていたストラップを引っ張った。

それによって東堂の外見には、大きな変化はみられなかった。

その一方で、一空は剣を振りぬいた状態で固まっていた。



「(ぐぅぅっ・・・この感覚は、アイツに体を侵食される、乗っ取られる感覚だ・・・)」



一空の握っている右手の剣から何かが伝わり、右腕が強く脈を打っているように見えた。それを何とか止めようと一空はその場で、焦らずに呼吸を整えて流れを抑えていた。


そして、何とか強く脈打つ感覚を抑えた一空に東堂が一瞬で開いていた間を詰めてきた。


「っ!」


それに気付くのが遅れた一空だったが、すぐさま剣を上げ東堂の振りぬいた剣を防いだ。


『ギィン!』


しかし、それは一瞬交わったのち東堂はそのまま振りぬくと、剣を左手に持ち替えた。

そして、剣先を真後ろの斜め下に向けると一気に剣先を伸ばし地面に突き刺さるとそのまま東堂を押し上げ、一空の剣を蹴り押し上げのけ反らせた。


「っう。」


直後、東堂は剣を長さを戻し一瞬で、一空の左側の正面へ移動した。

そして、一空の左腹部を蹴り上げて奥へと飛ばした。


一空は、そのまま地面を3・4転して止まって顔を上げるとそこには、東堂の蹴りが振りぬかれておりそのまま一空の顎下に直撃し、円を描く様に再び飛ばされ壊れかかっていた壁にぶつかり、壁が崩れるのと同時に地面へ落ちた。



「・・・っいっってぇ・・・」



一空は、崩れた瓦礫の上に両手を広げて倒れていたが、意識は失ってはいなかった。

だが、飛ばされ壁にぶつかった衝撃で剣を手放しており、剣が突き刺さった地面が真っ黒な空間が開き『ズブズブ』を沈み始めていた。

そして一空は起き上がろうと腕を前に出した時だった。


「っ!?」


自身の腕のゲージが全て回復している事に気付き、驚いていた。



「(ど、どういことだ?まだ1本目のゲージを使ってから24時間経ってないぞ・・・)」



一空自身、何が起こっているか分かっておらず少し同様していたが、すぐさま切り替えて東堂に意識を向けた。


「(細かい事は今はいい。ゲージが回復したなら、まだ勝ち目はある。)」


すぐさま、一空は今のスタイルを変更しようとしたが思い止まった。


「(待てよ、俺はこのゲージの力をただ装備変更にしか使わなくなっていたが、武器や防具だって自由に出せるんだよな。)」


一空はふと今までのゲージの使い方を振り返って、最近は〈野性〉の力を使いこなす為だけに使っていた事に気付く。


「(〈野性〉の力を使い出してから、それをどう使いこなすかばかり考えていた。元はそう言う使い方はしてなかった。)」


そこに東堂が剣が背に隠れた状態で一瞬で距離を詰めて来た。


「っ!」


一空からは剣の位置が見えていなかったが、直感で剣が真下からの斬りあげと思い、咄嗟に体を左正面を向くようにずらした。

直後、東堂の剣は真下から斬りあがるが、それは空を斬った。


「!」

「(ここで、ゲージを使うならこうだ!)」


すると一空は、左腕を体に引き寄せると一気に拳を振り抜くと空中にヒビが入り、そこに右腕をヒビに突っ込みそこから再び先程まで手にしていた剣を取り出した。


「(また、その剣か・・・)」


それを見た東堂は、咄嗟に距離を取るために後方に飛んだ。

すると、一空は足が付いていない東堂に向けてその剣を振り抜くと斬撃波が放たれた。


だが、東堂は宙で剣先を伸ばしさらに高く宙に上がると、すぐさま剣先を縮めて斬撃波をかわした。



「(この高さならあの幅、長さで振り下ろせる。)」



東堂は剣を真上に上げると、剣先と幅を大きく広げた。それと同時に一空の方を見ると、先程と同様にうずくまるような体勢だった。


「(あの体勢、威力の代償を受けているのだろう。さっきも同じような事があったからな。)」


そして、東堂はそのまま一空目掛けて剣を振り下ろし一空に直撃したと思われた時だった。


『ギィン!!』


と何かに塞がれた音が響いた。



「っ!」



東堂は覗き込むように一空を見ると、振り下ろした剣を自らの剣と、もう一本剣を持っており二本をクロスして振り下ろされた剣を防いでいた。


「ォォオオオラァァ!!」


一空が叫びながら二本の剣を振り上げて、東堂が振り下ろした剣を押し戻した。

そのまま東堂は、剣の状態を元に戻し地面に着地した。



「(いつの間に、剣が二本になった・・・っ!)」



その時、東堂は一空の腕のゲージが元に戻っている事に気付いた。


「(成る程、あのゲージを使って剣を出したのか。それにしても、何故ゲージが戻っているんだ。ひとまず、これ以上ゲージを使われる訳には行かない。)」


すぐさま、東堂は距離を詰めて剣を振り抜いた。



『ガギィン!』



しかし、一空が二本の剣で東堂の斬撃を受け止めた。


「二刀流はやった事がないが、意外といけるな!」


そのまま東堂の剣を押し戻すと、両腕を前でクロスして両腕を体に巻き付け、一気に振りほどいた。

振り抜いた剣先からは、斬撃波がクロス状になって東堂に襲いかかった。


「ぐっ!」


剣を向かってくる斬撃波に突き出して防いだが、威力を完全に押さえられず後方へ吹き飛ばされて壁へと打ち付けられる。



「くそっ・・・オリジナルの方をこれ以上持ってると、また侵食される。もう限界か。」



そう言って一空は右手に握っていた剣を投げ捨てた。

捨てられた剣は、地面に突き刺さると再び真っ黒い空間が地面に現れ、そこへと沈んでいった。


「模倣品だが、オリジナルと同等の威力はあるし、侵食もされない。まぁ、耐久力はあまりないがその前に決着をつける。」


一空は、左手で握っていた剣を右手に持ち替えて構えた。


「来る!」


すると一瞬で目の前に東堂が現れ、剣を振り下ろした。

すぐさま、一空は右手に握った剣で防ごうと突き出すが、その時には既に東堂は目の前から移動して、一空の右側へと移動しており攻撃を防ぐ為に上げた右腕の脇腹目掛けて、剣先を突き刺して来た。



『ガギィン!』



「何っ!」


東堂が突き出した剣先は、一空がゲージによって左腕に出現させた盾によって阻まれた。

両者は、同時に距離を取り後方へ下がった。


「(咄嗟な盾の出現で、イメージ不足で心配したがまだ使えそうだな。)」


一空はチラッと左腕の盾の状態を見てから、体勢を整えた。



「(剣の次は盾か・・・てっきりすぐにでも装備を変更すると思っていたがな、読みが外れたか・・・)」



東堂は、少し息が切れていたがすぐに息を整えて一空への攻撃を再開した。


瞬間移動を駆使し、フェイントと攻撃を織り交ぜながら一空の左右前後へ素早い攻撃を仕掛けた。

一空もゲージを使用して作成した、剣と盾を使い自らの野性的な直感で東堂の攻撃を防ぎながら、反撃をし始めていた。



『ギィン!!』



「ハァァァ!!」


東堂の攻撃を盾で防いだ一空は、押し退けると同時に剣を振り抜き斬撃波を繰り出した。

その時だった。



『ビキィ・・・』



と小さく振るった剣から音が聞こえた。


「(っ!マズイ、そろそろ限界が近いか・・・)」


放たれた斬撃波を東堂は、剣を真下から振り抜き後方へと弾いた。



「(初めより斬撃波の威力が弱くなっているな。先に尽きるのは体力か、それとも武器か・・・)」



そんな事を考える東堂も先程より、息が荒くなっているがそれを悟られないように、何とか息を整えていた。

そして東堂は、逆手で握った剣を左手で持ち替えて強く地面を蹴った。


「(!突っ込んで来る?・・・いや、また目の前での移動があるかもしれない。油断はできない。)」


そして一空は、左腕の盾を前に突き出す体勢を取った。

そこに、一直線で突っ込んで来る東堂はそのまま左腕を後ろに突き出し、剣を振り抜いた。


一空は、その攻撃を盾で防ぎ自らの剣を東堂目掛け振り下ろすが、既にそこに東堂の姿はなく東堂は、一瞬で一空の背後へと移動していた。


背後がガラ空きの一空に東堂は、すぐさま剣を真横に振り抜いたが、一空も反応し剣で防ごうと体ごと捩じった。


「っ!?」


その瞬間、一空の振り抜いた剣は東堂の剣に当たることなく空を斬っていた。

それは一空の反撃が遅かったわけではなく、東堂が剣先を短くし短剣のようにしていたため一空の振るった剣には当たらなかったのだ。


東堂の短剣は、そのまま一空の腹部を切り裂くと思われたがそこに一空の盾が入って来た。



『ギィン!』



と盾に短剣が弾かれる音が響いた瞬間、東堂は一空の盾の変化を見逃さなかった。

東堂は盾に入ったわずかな破損個所目掛け、短剣の刃を押し立て剣先を元に戻しながらそのまま振り抜き始めた。



『ギィィィィィィ!!!』



「!!」


盾のわずかな破損個所から真っ二つに裂けていくのを見て一空は、すぐさま盾を手放したが、伸び始めた東堂の剣によって左腕を負傷してしまう。


「ぐう”ぅ”っ!!」


一空はその場から後方へ退避し、一旦東堂との距離を取った。



「(くっ・・・まさか盾が斬られるなんて・・・)」



一空は、負傷した左腕をかばいながら剣を前にして構えていた。

一方東堂は、振り抜いた状態で動きが止まっており息を整えていた。


それを見た一空は、今までに見せたことのない状態であったためチャンスだと思い一気に踏み込んで剣を振り抜いた。


「っ!」


だが、東堂はその攻撃を剣で受け止めた時だった。



『バギィン!』



「あっ」


一空が小さく声を漏らした。

それは、目の前で握っていた剣が東堂の剣とぶつかった衝撃で折れたことに漏れた声であった。



「(こ、ここで、折れるかー!?)」



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