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オバケの世界征服  作者: 属-金閣
6章 6月24日〜 獣王
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6章⑯ 一空 VS 東堂



「まさか、あんな方法で逃げるとは思わなかったよ。」

「一か八かでしたけどね.....こんなにすぐ追いつくのは想定外ですよ。」



2人は動かず相手から目を離さないでいた。

そして、先に動いたのは一空だった。


「2回も失敗したら、俺も腹をくくりますよ!」


そのまま地面を蹴って、右腕を振りかぶって、東堂目掛けて拳を振り抜いた。

だが、東堂は避ける動作をせずに大剣の状態のまま大剣で、一空の拳を受け止めた。


「うぅぉおおおおおおっ!」

「その程度で、突き破れるか!」


そう言って大剣を押し切って、一空を後退させた。


「くっ...」


東堂は低い姿勢で一空へと距離を詰め、左腕を腹部めがけて突き出した。

一空は咄嗟に両手で防いだが、本命の攻撃は違っていた。


東堂は、その場で右腕を真後ろから円を描く様に出してその手に握った短剣で、一空の脇腹に突き立てた。



「しまっ....」

「放出。」



東堂がそう呟くと短剣から、衝撃波が放たれて一空が吹き飛んでいく。


『ガンゴン!』


飛ばされた先にある薄い壁を突き破って、地面に倒れていた。



「ゴッホッ、ゴホッ....!!」



一空は、短剣を押し付けられた箇所を抑えながらゆっくりと立ち上がった。


「(まさか、あの一瞬で形態を変えてるとは...それに剣で受けた攻撃を吸収でき、放てる事忘れてた....)」


少しよろめきながら立ち上がった一空は、一旦周囲にあった壁の1つに身を潜めた。


「自分の拳を受けた感想はどうだ?見た感じ、なかなかの威力だったみたいだな。」


東堂は、中庭にある周囲の壁を見渡しながら話しかけていた。


「(自分でもビックリの威力だったよ.....)」


一空は、呼吸を整えながら心の中で答えていた。



「何処かに隠れているなら、一気に壊すのが手っ取り早いな。」



そう言って東堂は、右手で握っていた剣を大きく後ろへと移動させた。



「(わざわざ、口に出して言っているのは誘導か。俺が出てくるのを期待してるのか...)」



この時の東堂の行動は一空の考えている通りであった。

しかし、この時東堂は次の行動に移っていた。


「(そこか....)」


何と東堂は、口では攻撃する事を言いながら、剣を地面に突き刺して真上へと伸ばし、一空の位置を把握していたのだった。

そんな事とは思ってもいない一空は、壁に背を付けたまま見えない程度に顔を出して様子を伺っていた。


そして、東堂はそのまま前に体重を乗せて剣が傾きと勢いよく剣を振り上げてそのまま一空めがけて振り下ろした。

大剣の状態で振り下ろした事で、空を切る音が発生し、一空はそんな一瞬の変化に気付き咄嗟に真横に飛び避けた。



『ガゴンッ!!』



大きな破裂音と共に、壁が破壊され飛び散る破片と大剣の衝突した勢いで一部の地面が吹き飛んで辺りは土煙がたっていた。


「(まさか上からだとは....だが、これはチャンスだ!)」


一空は、飛び避けたのち2・3回転して体勢を戻しそのまま大剣が振り下ろされたところ目掛けて突っ込んだ。


「(土煙で確実じゃないが、あの剣を縮めて着地する可能性があるはずだ。)」


そして土煙の中で人影を見つけ突っ込んだ。

だが、その人影は一空の事に気付き大剣から縮めた剣を逆手で握って振り抜いて来た。



「(隙を突いたつもりだろうが、残念だったな。)」



東堂の動きは、一空の行動を予想していたかの様な動きだった。



「っ!」


『ギィンッ!!』



辺りに金属同士がぶつかり合った音が響いた。そのぶつかった衝撃で土煙が晴れ目の前の光景に東堂は驚いた。


「なにっ!?」


そこには、先程と姿が異なる一空がおり、左腕で振り抜いた剣を防いでいた。

東堂に映った一空の姿は、まさに獣であった。

顔全体を獅子の様な鎧で覆われ、背骨が浮き出て金属で覆われ、先には尻尾が現れていた。



「ゲージの出し惜しみは、してられない。」

「その姿は、『Type-Ⅴ』!?」



驚く東堂をよそに、一空は既に大きく息を吸っており勢いよく咆哮を放った。



『ガァァァァァァッッ!!!!!』

「ぐぅっ.....がぁ!!」



一空の放った咆哮を至近距離で防ぐ事なく受けた東堂は、後方に吹き飛ばされた。


『ガンッ!』


と東堂は、壁に打ち付けられた。


「(なっ、何なんだこの頭に響く音はっ!!)」


そのまま咆哮を受け続けてしまい、壁に打ち付けられた状態が続いたが、咆哮の息が途中で切れ東堂は、解放され地面へと倒れた。

一空は、息を整えてすぐさま拳を掲げて東堂に突っ込んだ。

しかし、東堂はすぐさま起き上がり片膝立ち状態ではあったが右側へ回避行動を取った。


『ゴボンッ!』


と一空の拳は地面へとめり込んだ。

すぐさま、避けた東堂の方に視線を向けたがそこに東堂はいなかった。


「っ!?」


すると、一空の真後ろから微かに声が聞こえた。


「....ガラ空きだ。」

「っ!」


咄嗟に一空は自らの尻尾を立てると、そこに東堂の斬撃が振り抜かれた。


『ギィン!』


再び、一空が振り返るがそこには東堂はいなかった。


「(いない....どうなってる?)」


すると次は、右横から突然と東堂の斬撃が襲いかかってきた。


「!」

『ギィン!』


ほんのわずかに目に入った剣撃に対し、右腕で防ぐが傷を負ってしまう。


「(次は右から.....瞬間移動の力でも持っているのか?)」


すると次は、左背後から突っ切る様に斬撃を食らってしまう。


「ぐっぅ!!」


一空は少し前によろつくと、真右から一直線に真左に突き抜けていく様に腹部に斬撃を食らってしまう。


「がはぁっ!!」


初めの斬撃は、野性的直感で何とか対応していたが既に対応出来なくなっていた。


「(全く分からなかった...あの速さ、別のストラップ魔法か?何にしろ、この状況を変えるしかない。)」


そう言って一空は、片腕を振り上げその態勢で止まった。

そこに東堂は、真後ろから突き抜けて行くように飛び出た。


しかし、一空は東堂が近付いて来る事を待っていたかのように、近付いた瞬間に振り上げた腕を地面目掛けて叩きつけた。



『ズンッ!!』

「っ」


物凄い音と共に、一空の周囲の地形が沈んだ。そして、すぐさま振り向き東堂目掛けて拳を振り抜いた。


「っ!」


そこで初めて一空は東堂の違和感に気付いた。

それは握っていた剣が今までの物でなかった事だった。一空は、東堂の攻撃途中ならば打撃攻撃を吸収される事はないと信じ、地面を沈ませ不意をついた攻撃を仕掛けたつもりだった。


だが、東堂はこれまでも想定していた。いや、そうなる事を信じていた顔であった。

そのまま一空の振り抜いた拳は、東堂の腹部へとめり込んだ。

その時の感触は、まさに分厚い壁に拳を叩き込んだ感覚だった。


『ガゴンッ』


鈍い音が周囲に広がる。



「君の野性の勘を信じていたよ、万城君。必ず拳を叩き込んでくれると。」

「ぅっ!!」



そのまま一空は腕を振り抜くと、東堂は殴られた勢いのまま後方へ飛ばされるが、威力は半減していた。


そして東堂は、握っていた剣をその場で離し腹部に忍びこなせていた剣を縮めて取り出した。

東堂は、すぐさま地面を蹴って一空の懐に一瞬で移動し、剣を元の大きさに戻し振り抜いた。



「放出。」

「ぐぅっ!!」



一空の腹部に突きつけられた剣から、自身が振り抜いた拳の威力が一点に放たれた。

そのまま一空は、吹き飛ばされ背中から地面にぶつかるとそのまま後に回転し壁に顔面からぶつかり突き抜けて行く。


そして、その勢いのまま3・4回転して休憩所として作られた部屋に壁を突き破った所で勢いが止まり倒れ込んでいた。



「ガハッ、ガハァ.......ウゥゥ......」



一空は、うつ伏せに倒れていたが両手を地面に付いて立ち上がった。

しかし、すぐさま意識が遠のき始めた。


「(このままじゃ、また暴走する.....今暴走されるわけには行かない!)」


そして一空は、力を振る絞って最後のゲージを使用して姿を『Type-Ⅱ』に変えた。

変えると同時に、そのまま真後ろに倒れて意識を失った。



「ハァ.....ハァ......ハァ......ハァ.....」



一方東堂は、剣で受けた一空の攻撃を放出した状態で、片膝を付いて息切れを起こしていた。


「マズイ.....久しぶりに....使った.....から....配分ミス....した....」


そんな事を呟きながらポケットを『ゴゾゴゾ』して15センチ程の細い筒を取り出して、噛むように口に挟んだ。



『スーーーハァーー.....スーーーハァーー....』



口に挟んだ筒から大きな呼吸音が漏れていた。そのまま数分間続けて、息が整うと筒を外してポケットにしまった。

そして、東堂は足首をめくり上げると脛を守るような装備があり、それに触れると、手元にストラップなって消えた。



「少し体力を回復させないと、これは動けないな。」



そのまま東堂は、剣を地面に突き刺して座り込んだ。ポケットから先程とは別の細い筒を取り出し、それを口に咥えてゆっくりと深呼吸をし始めた。



「(やはりコイツに支払った代償の体で、あのストラップを使うのは難しいな....それと、あれから音がしないと言うことは万城君は、気を失ったか動けないかのどちらかかな。暴走してるとしたら、叫び声が聞こえるだろうけどそれもないから、暴走の線はないな。)」



東堂は、深呼吸しながら周囲の状況から今置かれている状況を判断していた。


「(ひとまず、休んでから回収に行くか....)」


そのまま東堂は、腰を下ろし楽な姿勢をして体力回復を始めた。



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