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オバケの世界征服  作者: 属-金閣
6章 6月24日〜 獣王
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6章⑥ 『Type-Ⅳ』と五源器の衝突



一空の新しい姿『Type-Ⅳ』の蹴りを銃槍を真横にして両手で受け止めている部長が、そこから攻撃を流すように、後退しながら銃槍を斜めして一空の蹴りを受け流した。


『バンッ!』と地面に振り下ろされる間に、部長は2、3メートル距離を取った。

だが、部長の後ろはもう壁であった。

しかし部長は、すぐに一空目掛けて踏み込み、手持ちの銃槍の先端から刃を出現させ振り下ろした。


一空は、部長の動きにすぐさま反応し、右脚を振り下ろした直後から、その脚を軸に部長の攻撃を左脚の蹴りで対応した。


そして『ギンッ!』と鉄同士がぶつかり合った。

部長の刃と一空の左脚は、どちらに傾く事なくその場でぶつかっていたが、部長は姿勢を低くして、銃槍を握っていた力を緩め、一空の蹴りを刃でなぞるようにかわした。



「!」



一空はそのまま勢いよく左脚を振り抜きさせられ、体が左に持っていかれていた。

その体勢だと、一瞬だけ部長の姿を確認できない死角が出来てしまった。

そして部長は、すぐさま先端の刃をしまい銃口を一空に向け引き金を引いた。

だが、今目の前に居たはずの一空が突然目の前から消えてしまう。



「!?」



予想外の事に驚く部長だったが、地面に残った少し焦げた凹みに気付き、上を見上げた。

そこには、宙に飛び上がり部長を飛び越えた超えた一空がいた。

一空は壁に片足を付けて蹴り飛ばして、部長へと突っ込んだ。


そして部長まで一気に距離を詰めて、宙で勢いよく左脚の蹴りを繰り出した。

部長にとっては、一瞬の出来事で振り向いた時には、一空の蹴りが繰り出されており完全に防ぐ事は出来ず、咄嗟に出した片腕で受けてしまう。



「うぅっ!」



力を入れて耐えようとした部長だが、蹴りの威力が想像以上に強く耐えられずに、吹き飛ばされてしまう。

部長は、一度足を地面に付けて速度を減速し、ブレーキをした勢いで宙で後ろに一回転し、銃槍の先端から刃を出して、地面に突き刺しながら両足で勢いを止めた。



「(なんて威力だ...)」



部長が顔を上げると、左側に一空が再び蹴りの体勢に入っているのが視界に入った。



「っん!」



その攻撃に、部長は地面に突き刺した銃槍を抜き両手で盾のようにして構えた。

そこに一空の右足蹴りが、直撃した。

再び、部長は足を地面に付けたまま、吹き飛ばされるが、先程受けた威力よりは弱められたが、20メートル程後方に飛ばされた。

すると部長が、口を開いた。



「その形態は、想定内だったがパワーが思っていたよりあるんだな。」



その発言に一空が反応した。


「想定内だと?」

「お前の今までの〈野性〉の力の使い方から想定は出来ていた。」


部長は、盾のように使っていた銃槍を下ろして話し始めた。



「〈野性〉の力を最初に使えるようにした『Type-Ⅱ』。自身に纏うようにして、身体能力を使える範囲で引き出し、バランスが取れている力だ。だが、〈野性〉の力を全て引き出せる事が出来ず、決め手にかける。」

「....」


「次がパワーに特化した『Type-Ⅲ』。見た目から分かる通り、腕に〈野性〉の力を集中させ『Type-Ⅱ』以上のパワーを引き出した。一方で、防御力とスピードを落とした形態になった。」


「そこから次の形態として、考えられるのが『スピード特化』か『防御特化』に振り切ったものだと想定が出来たと言うわけだ。まぁ、そこまでは良かったが『スピード特化』でそこまでパワーがあるとはな。」



部長は、話終わるとジリジリと脚を広げ始めた。


「ただ速いってだけじゃないのが、『Type-Ⅳ』なんだよ!」


そう言って一空が部長目掛けて走り出し、一瞬で宙へと飛び上がった。

そして、落下し始めると同時に両脚を部長とは逆の方に向け、両脚と足裏から小型のブースターが現れ一空の体を勢いよく押し出した。


一方部長は、一空が走り出したと同時に銃槍を構えていた。その時既に、銃口にはエネルギー弾が溜まり始めていた。

部長は、一空に話している時から徐々に溜め始めており、一空が宙に飛んだ際には、両手で銃槍を構えて、最大限までにエネルギー弾を溜めていた。


一空がこちらに方向を変えた時、部長は引き金を引き、今までに溜めたエネルギー弾を放ち、部長は反動で後ろに押されながら図太いレーザーを放たれた。


そして、部長の放ったレーザーと一空の蹴りがぶつかった。

『ガガガガッ!』とぶつかり合う音が立ちながらどちらの威力も互角で引く事はなかった。



「ハァァァァァァ!!」



一空の両脚からは、先程の小さなブースターが蹴りの威力を高めるように噴射し、レーザーを押し続けていた。

部長も、反動を受けながらも銃槍からレーザーを放ち続けていた。


両者一歩も譲らない状態であったが、均衡はすぐに崩れた。

それは、部長の放ったレーザーの威力が徐々に弱くなり、レーザーの放出限界を迎えていた。


「くっ...」

「オラァァァァ!」


そして一気に一空が攻め込み、『ドゴンッ!』と地面にめり込む威力の蹴りを部長に蹴り込んだが、そこに部長はおらず先程までレーザーを放っていた銃槍に、直撃していた。


「なっ!?」


まさかの状況に驚く一空。辺りは、一空の蹴りの威力で少し煙が立ち込めていた。

次の瞬間、一空の右側から部長が現れ右拳を一空の横顔に叩き込み、吹き飛ばした。


「グゥァッ!!」


一空は背中から地面に落ち、すぐに立ち上がろうとしたが、当たりどころが悪く脳震盪を起こしていた。

立つために片手を地面に付けた状態で、止まっていた。


「うぅぅ....まずい....」


そこに部長が追撃を仕掛け、一空目掛けて拳を叩き込みに突っ込んで来た。

だが、一空は未だに動けずただ見る事しか出来ずにいた。

そして、部長が一空に向けて拳を叩き込もうとした瞬間、部長の目の前に刀が突き出された。


「!?」


咄嗟に部長は、刀を避けるように顔を横に傾けた。それに伴い、拳も一空の顔の真横に打ち付けられた。


「(危なっ...)」


部長は、すぐさまもう片方の手も地面につけると、力強く地面を押し出し、刀を突き出してきた奴をバク転する様に飛び越えた。



「あの突きをかわすか...」



そう呟いたのは、仁だった。


「御神楽、刀使えるようになったのか....」


部長は、横目で仁の方を見て呟いた。

仁は、倒れたまま動けない一空に背を向けて一空に話しかけた。


「さっさと立て、万城!」

「分かって....るよ!!」


そう言って、フラつきながらも立ち上がった一空。

そして、部長も振り返りボクシングの構えの様に両手を前に出した構えを取って呟いた。



「さて、仕切り直しといこうか。」


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