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オバケの世界征服  作者: 属-金閣
5章 5月7日~6月21日 神守護
126/154

5章㉟ 3週間後



神守護(ガーディアン)〉との激闘から3週間が経過していた。


あれから、一空は4日程で完全に怪我を感知していつも通りに学校に通い、元の生活に戻った。仁も大きな怪我もなく今では、元通り仕事をこなしていた。

一方、彩音はあれから1週間学校を休んでいたが次の週の月曜日だけ登校しに来たが、それ以降はまた休んでいる状態だった。

そして部長からも、別れて以降に連絡が何も無い状態だった。




「ふぅ〜」

「何ため息ついてんだ、万城。」


そう言って一空の肩を叩いたのは、同じクラスメイトの梅田だった。


「いや、ちょっとな。」

「ふ〜ん。それより今日も七宮来てないんだな。」


梅田の声と共に、彩音の席の方を見つめた。

すると友達である御門も心配そうに彩音の席を見つめていた。


「御門も、心配してるけど連絡がないらしいぜ。本当にどうしたんだろうな。」

「そうだな....」


一空は、仁から一通り話は聞いていた為、なんとなく彩音が休んでいる理由を察していた。


『キーンコーンカーンコーン!』


学校のチャイムが鳴り響くと、教室に担任の教師が入って来た。

そして、名簿を教卓に置くとクラスに向けて話し始めた。


「今日は、皆に報告がある。今まで七宮が欠席続きで皆も心配していたと思うが、さっき七宮から連絡があった。」


教師の言葉に教室は少し騒ついた。


「七宮は、両親が急に入院した事でその手続きや見舞いで休んでいたそうだ。病院もここから遠いことで、暫く学校を休むと連絡があった。」


その理由に、クラスメイト達は少しホッとしていた。だが、一空はその理由に違和感を感じていた。

だがそのまま、ホームルームが始まり学校の1日が始まった。



--------



授業も終わり放課後になると、一空は部室へと向かって扉を開けて中に入り、ソファーに座った。


「う〜ん...」


そのまま一空は、鞄を机に置いて考え事を始めた。

そこに扉を『ガラ』と開けて仁が入って来た。


「ん、万城。もう来ていたのか。」

「う。あ〜」


一空は、チラッと仁を見るとすぐに壁を見つめて考え事に戻った。


「何だ、気の底抜けた返事...変だぞお前。何かあったのか?」

「あ〜〜うん。それがな...」


そのまま一空は、朝の出来事を仁に話した。



「確かに変な話だし、お前が引っかかっているのも分かるな。」

「だろ〜。」



仁は、一空から話を聞くと腕を組んで話しだした。


「彩音のご両親が入院してるなんて聞いたこともないし、ご両親は7年前の戦争で確か...」

「...」


そこまで言いかけると、少し空気が重くなった。仁がそれ以上のことは、話す事なく別の話に変わった。


「後、ここ数日彩音が暮らしている部屋を訪ねてみたが、全く返事が無かったんだ。だから、部屋には、帰って来てないんだと思う。」

「ふ〜ん......ん?」


一空は仁の話を聞いて、ある事に引っかかった。


「おい、御神楽。何で、彩音の家知ってんだ?それに、数日行ってただ?もしかしてお前.....」

「.....!お前!バッ、バカ!お前が考えているような変な事はしてねぇは!」

「ふ〜ん...俺は、何も言ってないけど、何で変な事だと〜?」


一空は、横目で仁の事をジーっと見ながら問い出した。


「うっ...お前な〜.....はぁ〜.....言っとくがな、やましい気持ちがあったとかでは、ないからな!ないからな!」


仁は、強めに強調して最後の言葉を一空に告げた。


「あ〜はい。はい、はい。分かったから。」


一空はそう言いながら、最後に仁から目をそらしながら小さく乾いた笑いをした。


「俺はな、部長に目を離すなって言われて、彩音の事を心配してるんだよ。あれから、ほとんど連絡も取れないしよ。」


それを聞いて、一空は思い出したかのように仁に質問をした。


「そう言えば、部長からは何か連絡はあったのか?」

「いや、そっちからも連絡はない。こっちからも連絡はしてみたが、繋がらない。」

「そうなのか。」


そう言うと、一空は立ち上がりうーんと背伸びをして、深く息を吐いた。



「悩んでても、何も解決しないよな。今は無闇に探したりせず信じて待つか。」



そのまま扉近くに引っ掛けてあった鍵を掴んで扉に手をかけた所で、振り向いた。


「御神楽、今日も組手しようぜ。地下で待ってから後で来いよ。」


そう言って一空は、部室を後にした。

残った仁は、軽くため息を漏らしてから笑った。



「そうかもな。お前の言う通り、信じて待ってやるのがいいのかもな。にしても...」



仁は部長がいつも座っていた方を見た。


「何処に行ったんだ、あの人は。それに、奴らもすぐに追撃して来るんじゃないかと、警戒していたが、ここまで全く音沙汰がないのも気になる...」


仁は、3週間前に戦闘をした〈神守護(ガーディアン)〉の事も気にしていた。

そして、仁は見えない様に首元からぶら下げていた御守りを引き上げて、中身を手の上に出した。



「後、こっちの方も、もう少し調べないとな...」



手の上には、カラスの破片と紙切れが乗っていた。



--------



場所は、十色学園の地下にある体育館程に広い訓練部屋に変わる。



「ハァ.....ハァ.....ハァ.....」



息を切らしながら、そこには一空と仁がいた。両者は、木刀を持ったまま一定距離離れて立っていた。


「今日は、この位で辞めだ。色々やり過ぎだ、お前も力を使い切って体への負担が大きいだろ。」

「まぁな...だけど、自分の弱点をこのままにしておけるか。前よりは、マシに動けるようになっているが、こんなんじゃダメなんだよ。このままじゃ.....」

「.....」


仁は、ここ最近一空がやたらと特訓している事は分かっていた。何故、そうなっている事も薄々気付いてはいた。


「お前な、最近オーバーワークし過ぎだ。少しは、体を休めろ。ここんとこ、ずっとそんな調子だろ。」

「うぅ....」


一空は、仁の言葉に言い返す事はなかった。



「...その原因、あのファーストって奴に勝てなかったからか?」

「っ!」



仁の発言に、一空は強く反応して体が『ビクッ』となった。それを見た、仁は小さくため息を漏らしてから、一空の方を見つめて話し出した。



「万城、1つ助言だ。」

「っ」


一空は、木刀を下ろし仁の方を真っ直ぐ向いた。



「お前のその力、何の為に使うか決めてるか?もし、まだなら必ず決めておけ。」

「...」


「最近のお前は、敵を倒す事に執着して、強くなろうとしているように見える。...お前は、ただ敵を潰す為に強くなりたいのか?」


一空は自分の片手の平に視線をずらした。


「(そんなんじゃ....俺はただ、アイツとの契約『世界征服』がこのままじゃ、果たせないと感じて.....あんな強い奴がいるなら、俺も強くならないとダメだと....)」


ゆっくりと見つめた手を閉じて握り拳を作った。


「(俺は契約を果たす為に、この力を使うんだ....それで.....いいはずだ....)」


最後に一空は、握った拳を少し緩めていた。

そして少し沈黙が続いた後に、仁が沈黙を破った。



「少し話がズレたな...とりあえず、今日はもうあがって体を休めろ。」



そう言って仁が、入って来た扉に体を向けた時だった。『ガチャ』と扉が開いたのだった。

その音を聞いて、2人は扉の方に視線を向けた。そこに現れた人物に2人は驚いた。


「っ!!」


そこには、部長が立っていたのだった。



「ここにいたのか、お前達。」

「部長!」



2人は、大きな声を出して近付いた。


「いつ帰って来た?それに何で、連絡しても返事がなかったんだ?それに、あの後...」


仁が止まる事なく、質問責めすると部長は仁の額目掛けてデコピンを決めた。


「!いった....」

「一気に色々言うな!」


仁は片手で額を優しく摩った。

そして、仁を強制的に黙らした部長が答えるように話し出した。


「学園に着いたのは、1時間程前だ。連絡が取れなかったのは、通信機が故障してたからだ。」


そう言って部長は、部品が所々取れた通信機を取り出した。


「そうだったのか...」


仁は、それを見て納得したように呟いた。


「とりあえず、お前らに顔を見せに来たんだ。今日は、疲れているからもう帰る。」

「部長、帰る前に少し...」


仁が帰ろうとしている部長を引き止めようとしたが、部長は止まる事なく背を向けて片手を上げて答えた。



「話とかは、月曜日にしてくれ。その時に、私もお前達に話す事もある。とにかく、今日は帰る。」



そのまま部長は、その場を後にした。


「......」


2人は、部長の行動に少し唖然としていたが仁が先に呟いた。


「何か、どっと疲れた...俺も帰るわ。万城、お前もさっさと帰れよ。」

「...あぁ。」


そして、仁も帰って行った。

残った一空は、その場にゆっくりと座り出して仰向けに寝転んだ。


「.....御神楽の奴、何であんな事を...」


一空は、目を瞑って仁にさっき言われた事を思い出す。

そして、最後に小さく呟いた。



「......俺は、何をしてるんだ....」



--------



そこは、大きな部屋で数百人は収容出来る部屋であった。

そんな部屋に、多くの人が集められていた。

周囲で話したりしており、部屋はザワザワしていた。

そこに、扉を開けて3人が入って来てそのまま壇上に上がって行った。


上がって行ったのは、〈神守護(ガーディアン)〉であるフォース、フィフス、シックスの3人であった。集められた人々も、〈神守護(ガーディアン)〉に所属するメンバーであった。

そして、フォースがマイクを使い話し始めた。



「皆、急に集まってもらってすまない。今日は重要な報告があって集まってもらった。」



フォースの発言に、集まった人々はざわつき出した。

すると、集まった人の中から大きく発言した者の声が響いた。


「それで、報告って何ですか?この場に全メンバー集める程の事なんですか?」


その発言に、ざわついて周囲が静かになって壇上に立っているフォースに視線を向けた。

そして、フォースが話し始めた。


「あぁ、全メンバーに関係がある。」

「っ!」


フォースは、少し間をあけてから再び話した。



「...これからは、私がファーストの立ち位置として〈神守護(ガーディアン)〉を率いる。それに際し、まずは序列を再編成する!」



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