表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オバケの世界征服  作者: 属-金閣
5章 5月7日~6月21日 神守護
120/154

5章㉙ それは突然に...



ーー遡る事、数分前



「まさか、こんな展開になるとはな...」


そう呟いたのは、壁にもたれかかる様にして暴走しかけている一空とファーストの戦いを見ていたセカンドだった。



「さて、どちらが先に完全に自我を失うかだな...」



セカンドは仮面の下で、不敵な笑い声を出して戦いを見つめていた。



--------



一空は肩で息をしながら、一歩前へまた一歩前へと踏み出すと、力を振り絞って叫びながらファーストに拳を振りかざしながら突っ込んだ。



「そんな攻げきィッッ!!」



ファーストが迎え撃とうと動き出そうとしたが、体が硬直してしまいその場で止まってしまう。


「なっぁっ!!?」


ファースト自身も何が起こったのかすぐに理解出来ずにいたが、考える前に一空の拳が腹部に直撃し、殴り飛ばされてしまう。

一空は殴った勢いで前に倒れそうになるが、踏ん張って片脚を出した状態で前かがみになった。

ファーストは背中から地面に倒れこんだ。



「(な、何だ...急に体が動かなく.......!)」



数秒地面に倒れている状態だったが、すぐにまた動くようになり立ち上がった。

その時に、自身の鎧がヒビ割れている箇所を見つけた。

その箇所は、人差し指の第一関節程にヒビ割れていた。今までにこんな状態になった事がなかった為、驚いていた。



「(まさか、これが原因......一部でも崩れるとこの状態での完全制御が出来ないという事かっ!?)」



ファーストは、一空の方を見ると一空がすぐさま動く状態でない事を確認すると、右腕に雷を纏い始めた。


「(あの状態なら確実に一撃を叩き込めば、終わる!制御が出来るうちに確実に仕留める!)」


ファーストは、同時に右脚にも雷を纏わせており勢いよくその足で地面を蹴って、一空の目の前まで移動し、雷を纏わせていた右腕を勢いよく顔面目掛けて振り抜いた。


この状況でどんな状態であろうと誰も避けれるはずはないはずだった。更に相手はボロボロで立っているのがやっとの状態でだ。

だが、一空は拳が当たる寸前で右に頭を振ってファーストの攻撃をかわしたのだった。



「なっ!?」



普通に考えればありえない事であったが、一空自身に〈野性〉という未知の力を秘めていた事が影響し、直感的にかわす事が出来たのではと思われる。

一空はかわすのと同時に、左拳をファーストの顔面目掛けて体重を乗せて叩き込んだ。

まさしく、クロスカウンターであった。


「グゥッ...ハァッ...」


ファーストの顔の正面だけの鎧が弾け割れ、2、3歩後ろに後退した。

一空に突っ込んだ勢いも重なり、大きなダメージを受けていた。



「バッ....バカな!何故あの攻撃を避けられるっ!?」



ファーストは顔だけ俯いて、鼻から血を流し、動揺していた。

ほんの1、2秒顔をした後、顔を上げて目に入って来たのは一空が左脚を踏み込んで、右拳を振りかざしていた。


「オォォラァァッ!!!」

「っぁ!」


既にファーストが防御出来る範囲を超えて、一空はファーストが少し起き上がって来た所の腹部目掛けて右拳を叩き込んだ。

そこは、ファーストの鎧がヒビ割れていた箇所であり、そこから鎧を破壊し、そのまま腹部にえぐりこませて、ファーストを吹き飛ばした。



『バンッ!!』



ファーストは背中から壁に叩きつけられ、後頭部も強く壁に打ち、脚からうつ伏せに倒れこんだ。



「ハァ.....ハァ....ハァ....ハァ....」



一空は息を切らしながら、振り抜いた腕をダラっと下にして、顔は俯いていた。

そして、顔を真上に上げてファーストの方を見下ろすように目線を下げた。


ファーストは、うつ伏せのまま全く動かずにいた。頭を強く打ち付けた事もあり、完全に意識を失っている状態だった。



「ハァ.....ハァ....ハァ....ハァ....」



一空は今にも倒れそうな状態でありながら、何とか意識を保ちながら、息を整えようとしていた。

そこに、ゆったりとしたテンポの拍手の音が響き渡った。


「っ!?」


一空は、ゆっくりと音がする方に体を向けると、そこには拍手をしながら近づいて来るセカンドの姿があった。



「呆気ない終わり方だったが、面白い戦いだったよ。」

「...おっ....ハァ....ハァ....まえぁっ.....ハァ....ハァ......」



一空は息を切らしながらも、セカンドがいる事に驚き、掠れた声を出した。

そして、拍手を辞めてセカンドが立ち止まって驚きの一言を一空に放った。



「.....流石は、〈野性〉の力だな。」


「ッ!?」



セカンドから出た言葉に驚きを隠せない一空であったが、声がすぐに出なかった。



「〈ゼウス〉が分け与えた雷の能力が押し切ると思っていたが、やはりその力は7年前から未知の力で魅力的だ。」

「.....7年....ハァ....ハァ.....前...だと....」



すると、セカンドは片手を一空に向けて突き出した。


「今の状態なら取り出すのも簡単だろ。終わったらファーストの分も取り出して行くか...」

「何を...言って.....ハァ...いる....ハァ.....」

「辛くて苦しいだろう......今、ラクにしてやる。」


セカンドの伸ばした手の先から白い粘土状の物が溢れ出て一空に向かって伸び始めた。

その瞬間だった、セカンドの後方から大きな音と共にレーザーが放たれ、レーザーはセカンドの顔の右真横を掠めて奥の壁を破壊し、大きな音が響き渡った。



「......もう来たのか。」



そうセカンドは呟きながら、顔だけ後ろの方を向くとそこには、部長がレーザーを放った銃を構えて立っていた。


「やっと見つけたぞ...」


その後ろには、彩音と仁が立っていた。


「翡翠.....っ!、部長あそこに一空が!」


彩音が一空に気付き声を上げると、セカンドは顔を正面に戻し、一空に白い粘土状の物を勢いよく伸ばした。


「分かってるっ!」


そう言うと、部長はセカンドの背中目掛けて、銃の引き金を引きレーザーを放った。

一直線にレーザーは、セカンドの背中に迫るとセカンドが、体を横にして使っていない片腕を伸ばし手から白い盾を生成し、レーザーを防いだ。


「っ!」

「邪魔は....」


セカンドが呟こうとした時だった、その声に被せる様に真横で声が聞こえた。



「させないか?」

「!?」



セカンドが咄嗟に一空の方を向くと、白い粘土状の物を伸ばしている横に仁が木刀を下から振り上げていた。

木刀は、白い粘土状の物を破壊すると全てが一気に崩れ去った。


「くっ!」


その隙に、仁が一空に近寄ると一空を抱え上げる様にして、仁はその場から離れようとした。


「行かせるかっ!」


セカンドは、体を離れようとしていた仁の方に向け右手をかざした。そして、白い粘土状の物を鋭い槍の様にして勢いよく伸ばした。

だが、それは奥から放たれたレーザーによって破壊されてしまう。


「ぐっ!」


セカンドは、レーザーを放った部長の方に顔を向けた。その間に、仁は一空を連れて部長の方へと後退した。



「ハァ....ハァ...御...神楽ッ.....ハァ....部長...に......ハァ.....彩音......」



一空は少し過呼吸気味に言葉を発した。


「今は何も喋らず、黙って休め。」


部長は、セカンドの方を睨む様に見つめたまま一空に対して発した。



「貴様ら....」



セカンドは、部長達の方に体を向けると、両手を前に突き出した。


「邪魔をするなら、共に連れて行くだけだっ!!」


そうセカンドが叫ぶと、両手から白い粘土状の物を放とうとした時だった。

セカンドの後方で雷が落ちる音が響き渡った。


「!!」


全員がその音のする方を見つめたが、煙だっており何も見えなかった。


「(何だ...?)」


すると煙の中から、雄叫びと共に多くの雷が一点から放出され煙が一気に晴れた。



「ウウゥガァァァァアアアア!!」

「!」



そこにいたのは、ファーストだった。

だが、自我がある様には見えず、呻き声を出しながらうなだれた状態でゆっくりと前に歩き出した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ