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オバケの世界征服  作者: 属-金閣
5章 5月7日~6月21日 神守護
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5章㉔ 2度目の再会と戦闘


彩音とセカンドの間には沈黙が続いていた。

だが、それは彩音が口を開いた事で破られた。



「...貴方、翡翠(ひすい)よね......伍代(ごだい) 翡翠(ひすい)でしょ...」

「.......」



彩音の言葉に未だ沈黙し続けるセカンド。



「額の印に、名前の通りの翡翠色の瞳!...忘れてしまったの?7年前、私に手を差し伸べて救ってくれたのは、貴方よ翡翠!」


「っ....」


その言葉に『ピクッ』と反応をするセカンド。

よく見るとセカンドの瞳には、光がなくボーッとした目で彩音の方を向いているだけだった。

しかし、そこまでは気付かず彩音は問いかけ続けた。



「伍代翡翠!私よ!...七宮彩音よ!」

「.....っ!」



次の彩音の言葉にセカンドは強く反応した。そして口元をゆっくり動かして発言した。



「......あや....ね...さ....ま.....」

「!」



小さい声ではあったが、彩音は聞き逃さずに反応した。


「翡翠!」


彩音がセカンドに向かって手を伸ばし一歩踏み出した時だった。

セカンドの両目から白く濁った液体が溢れ出した。


「!?」


するとセカンドは苦しみ出し、喉元を両手で抑えていると口から勢いよく白く濁った液体を吐き出した。

そのまま地面に四つん這いの態勢になり、苦しみ続けるとその白く濁った液体が、セカンドの顔を覆い出し最後には、元々被っていた仮面へと変わっていった。

彩音は、セカンドに異変が起きた時点で立ち止まってしまい、それを見ている事しか出来なかった。



「...っぁ...ハァー...ハァー...ハァー...」



仮面が戻ったセカンドは、下を向いたまま荒く息を吸って吐いていた。


「...翡翠...」


彩音の言葉にセカンドが顔を上げて呟いた。



「あの一撃で壊れて、再接続までに意外と時間がかかったのは、想定外だった...」



そして、ゆるりと立ち上がってから再度呟いた。


「まだ、この《反逆ノ雷ヲ継グ者》を手放す訳には行かない...」


そのままセカンドはゆっくりと2、3歩後退してから急に振り返って茂みに消えて行った。


「......!っ翡翠...!?」


彩音がセカンドの後を追おうとした時、急に身体が崩れ落ち地面に倒れた。

そして、徐々に意識が薄れゆく中で7年前の日の事を思い出し始めた。



--------



洞窟の中で小さくうずくまっている彩音。

もうこの時には、助けてくれた男の子が食料を探しに出て数日が過ぎており、彩音の意識も朦朧としていた。

すると外から、誰かの声や大きな音が聞こえて来た。


「........」


だが、彩音には聞こえるだけで何か出るほどの体力はなかった。

その後音が止むと、彩音に向かって影が伸びて来て誰かが近付いて来るのが分かった。

そして彩音が、その方に顔を向けた所でその記憶は終わってしまい、彩音は完全に意識を失った。



--------



場面は変わり、閉じ込められていた部屋から脱出した部長は、一本道の通路を歩いていた。



「(まるで迷路だ...さっきから同じ分かれ道が何度も出て来てループしてるみたいだ。そろそろ、壁をぶち壊すか...)」



部長は、既に武器をストラップに戻して続いている道を歩き続けていた。


「(にしても、かなり歩いたが誰もいる気配がないな...)」


そんな事を考えながら歩いていると、3つの分かれ道が現れた。


「はぁ〜...またこれか...」


小さくため息をついて、呟いた。

そして適当に決めた方に歩き出そうとした時だった。

左側の通路から何かが壁にぶつかる音が聞こえて来た。


「!!」


その音は徐々に部長の方に近付いて来た為、部長は後退して出っ張っていた柱に身を隠した。

そして、音を立てながら近付いて来た正体が判明した。


『バンッ』と音を立てて、その人物は分かれ道の真ん中で膝と手をついて倒れた。

そこにいたのは、息切れをしているセカンドだった。



「(アイツは確か......彩音と戦っていた奴....!)」



「...ハァ...ハァ...まだ、全身まで再接続出来てないか...ハァ....ハァ....」



そう呟きながら、震えながら立ち上がって壁に寄りかかりながらそのままゆっくり真っ直ぐ進んで行った。


「......」


それを見送った後に、部長は壁の柱から出てセカンドが歩いて行った方を見つめた。


「(アイツを追えば、何か分かりそうだが....)」


しかし部長は、振り返って小走りでセカンドがやって来た方に向かって行った。



「(それより、アイツがここにいるって事は彩音はどうなった...この先に行けば、会えるはずだ!...アイツもあの状態だったから、彩音が一方的に負けた訳じゃないと思うが...無事だよな、彩音!!)」



部長はそう考えながら、小走りでその通路を走り続けた。



--------



ーー時間は少し遡る。


「オォォォラァッ!!」


そう叫びながら、一空が鉄の剣をファースト目掛けて振り下ろした。

だが、ファーストは軽々と一空の剣を自らの剣で受け止めた。



「馬鹿の一つ覚えか、お前は...」



ファーストは一空の剣を振り払いながら呟いた。

一空は後退して、回り込む様に走り込んで再び剣を振り下ろそうとしていた。


「さっきから同じ事ばかり...何故、あの力を使わない...!」


すると、ファーストの剣に雷が纏い始めた。


「〈雷光(らいこう)〉!」


そう言いながら、目にも止まらぬ速さで剣をアスタリスクを描くように振り抜いた。

そこから雷を纏った斬撃波が放たれた。


「っ!!」


一空は咄嗟に剣を前に出して、斬撃波を受け止めた。


「ぐっぅぅ!!」


何とか押し負けずにいたが、そこに同じ斬撃波が2重でやって来た。


「ぐっ!!......がっぁ...!」


今までギリギリで抑えていたが、それ以上の追撃は防げずに、吹き飛ばされてしまう。

『バゴォーン!』と大きな音を立てて壁に叩きつけられ、土煙が上がった。



「...早くあの力を使え。アレなら、少しは楽しめそうなんだから...」



ファーストは、剣を振り下ろした状態で一空に向かって話しかけた。

すると、土煙の中から立ち上がる人影が見えた。



「...あ〜今の電気でやっと体があったまったかな...」

「......」



一空が、煙の中から抜けて来ながら声を出したが、それに対してファーストは無言のまま

態勢を直していた。

そして一空は、右腕を真横に出して口を開き、それを見てファーストの口元が、少しだけ笑った。



「『Type-Ⅱ』...!」



直後、一空の両腕、脚の装備が大きく変わり獣の腕や脚の様な装備となった。

そして、力一杯右足で地面を蹴ってファースト目掛けて突っ込んだ。

するとファーストが呟いた。


「...待ってたよ、その力を使う時を!」


ファーストは、一空が飛び込んで来ると分かっていたのか両手で雷を纏わせた剣を握り頭の真上で構えていた。

そして、一空が突っ込んでくるのと同時に剣を勢いよく振り下げた。



「〈蛇雷(じゃらい)〉!」



剣から雷が放たれ、それが蛇の様に動きながら素早く一空に近寄り、飛び上がってきた。


「っ!」


寸前で一空は、体をねじる様にして触らずに避けた。

雷は一空を超えて後方へと言ったと思われた。

だが、その雷は地面に着くとすぐに飛び上がって背中から一空を襲った。


「グッァァァ!!」


一空を襲った雷は、一空の体に巻き付くき電気を流していた。

後ろから追うように来ているとは思っていなかった為、一空は避ける事が出来なかった。


「グゥゥゥゥッ....ア”ァァァッ!!」


電気を流された一空はその場で止まってしまい、動けずにいた。

ファーストは、そこに追撃をかけた。

既に剣に雷を纏わせて、片手で剣を握り腕を引いてから勢いよく前に突き出した。



「〈雷萊刃(らいらいは)〉!」



ファーストの剣から雷が草木の様に枝分かれして行き、一空を貫いた。


「ア”ァァァッ!!」


一空の体に数秒間雷が流れ、それが終わると雷は消え去り、一空に巻き付いていた雷も消え前に倒れ込んだ。

一空はそのまま動かずにいた。



「それで終わりか......たわいもない...」



そうファーストが呟き、一瞬だけ一空から目を離した時だった。

一空が倒れた態勢から、両手で体を上げ、右膝を前に曲げてその状態から、体を前に押し出す様にして勢いよく地面を蹴り出した。

そして一空はファーストの顔面目掛けて左腕を、勢いよく前に突き出した。


「っ!」


それに反応が遅れたファーストだったが、右腕を畳み剣を盾の様にして左手でも剣の持ち手を抑えながら右腕で、一空の左拳を受け切った。


「あんなんで、死ぬ奴じゃないよなぁ!」


ファーストは少し笑った口で一空に向かって叫んだ。

すると一空は、更に一歩踏み込んで右腕を振りかぶった。



「お前の攻撃は私には届かん!」



ファーストはそう言うと、一空の左拳を押し返して剣で一空の右腕目掛けて振り下ろした。


「いや!これでお前を吹き飛ばすっ!」


一空はそのまま右腕を勢いよく前に出し始めた。だが、ファーストの振り下ろした剣が雷を纏い出し迫っていた。


「(ふっ、雷を纏わせた私の剣の方が速く、先に届くに決まっているだろ!)」


ファーストの思う通り、雷を纏った剣の方が一空の拳よりも速く届いたが、それを一空の拳が直接剣を受け止めて、動きが止まってしまう。



「!?」



そこから、一空の拳に押し負け始めた。


「(どうなっている!?)」


ファーストはそこから押し返す事が出来ず徐々に徐々に押され、ファーストの顔の近くまで来てしまう。

そこに、一空が何かを呟いた次の瞬間だった。

一空の右腕の装備が膨らみ出し、押し切る力も強くなりファーストが、その勢いに耐えられなり剣が顔に押し付けられた。



「オォォォラァァァァッ!!!」

「ぐっぅぅぅ.....がはぁっ!!」



そのままファーストは、勢いよく吹き飛ばされ壁に打ち付けられた。



「.....見たか、これが『Type-Ⅲ』だ!」


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