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オバケの世界征服  作者: 属-金閣
5章 5月7日~6月21日 神守護
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5章⑰ 部長の信念


一空達に向かって、無言でセカンドが徐々に近づいて来る。

咄嗟に一空と彩音は、ストラップに手を掛けた。すると、セカンドが歩きながら話しかけて来た。


「辞めておけ。ここで戦う気はない。一般人が多くいるからな...」

「なっ...!」


セカンドの発言に驚いたが、ストラップから手を離すことはなかった。

そのまま5メートル手間あたりでセカンドは立ち止まり、話し続けた。


「まぁ、もしそっちが今ここでヤリ始めたいと言うなら仕方ないが...」


そう呟くとセカンドもストラップに片手を掛けた。

すると部長が問い返した。


「ここで戦う気は無いと言う事は、別の場所に連れて行かれて戦うって事か?」

「そんなとこだ。付いて来るのも来ないのも自由だが、来ないならばこの学園も生徒も甚大な被害が出る事になるぞ...」

「貴様...」


セカンドの発言に仁が、睨みつけながら呟いた。



「...分かった。付いて行ってやる。」



部長がセカンドの問いかけに答えた。


「部長!いいんですか?絶対に罠ですよ!」

「そうだ!こんな状況まで作って、襲撃して来ないで、更には付いて来いだと?そんなの俺達をはめる罠があるに決まってんだよ!」


彩音と仁が部長を止めようとしたが、部長は意見を変えなかった。



「私は、ここで戦って関係ない生徒達に危険が及ぶ事は許せない。......この学園は、私が命を懸けてでも守りたい世界なんだ。」

「っ...」



部長の意見も間違っておらず、他者の反論を受け付けない様なオーラを放っており、彩音も仁もそれ以上意見を言う事はなかった。

セカンドは部長の雰囲気を感じ取り、心の中で呟いた。


「(あの人間が《五源器》所有者...確かに雰囲気はあるな...)」


そして、部長がセカンドに問いかけた。


「それで、どこに行けばいい?お前に付いていけばいいのか?」

「あぁ、そうだ。正門へ向かう。」


セカンドはそう言って振り返って、学園の正門へ歩き出した。


「お前ら、準備はしているよな。行くぞ...」


部長はそのままセカンドの後を付いて行った。


「はぁ〜...何処に行くんだか...」

「絶対に何かあるはずよ...油断せずに行きましょう。」

「何があろうと、奴らとの戦闘は避けられないか...」


部長に続き、一空・彩音・仁も歩き出し正門へと向かった。



--------



セカンドと一空達が正門前に到着すると、セカンドが振り向き、後ろに一空達がいる事を確認した。

そして、セカンドは正門に向けて歩き正門を通り抜けた時、そのままセカンドが目の前から消えたのだった。


「!?」


部長を除く3人が驚いていたが、部長は冷静に判断し何が起こったのか理解していた。


「...ただの正門に見えるが、あれはゲートだ。あそこをくぐると、別の場所に移動できるものだ。」

「あれでこの学園に来たってのか...」


そのまま部長が、正門を通り抜けるとセカンド同様に消えてしまう。



「何で、ああも躊躇なく敵の言う通りに出来るんだアイツはよ...」



仁が部長の行動を見て疑問に思った。


「多分、部長は本当にこの学園を守る為に、今すべき事を判断して行動してるんだと思う。」

「部長からそう聞いたのか、彩音?」


仁の問いかけに彩音は、首を横に振った。


「いいえ。私が今まで部長と一緒にいて感じた事を言っただけだよ、仁さん。」

「.....そうか。」


そう言い残し、仁も正門を通り抜けると彩音も後に続いた。

最後に残った一空は、大きく息を吸ってゆっくりと息を吐いた。

そして、正門に向けて右足を前に踏み出して正門を通り抜けた。



--------



一空が正門を通り抜けて目にした光景は、広く何も無い四角部屋だった。

前には先に通り抜けた、部長達がいた。

しかし、一番初めに通り抜けたセカンドの姿は見つからなかった。


「ここは...どこ?」

「何にも無いとこだな...それにアイツもいないぞ。」


すると部長が大きな声で叫んだ。


「何処にいる?さっさと出てこい!」


その後しばらく沈黙が続いたが、いきなり前方の壁の一部が扉の様に開いた。



「あっちに行けって事...?」

「行くぞ。」

「待って下さい、部長。」



仁が先に歩き出した部長を止めた。


「何だ?」

「このままアイツらの言う通りに進むのか?ここでアイツらを待つ方がいいんじゃないか?このまま相手に有利な場所に進む事は無いと思うぞ。」


仁は部長に提案をした。


「...お前の言うことも一理ある。だが、ここまで来た時点で奥に進もうが、ここで待とうが大きな差は無いと思うぞ。」


部長はそう言い残し、奥の扉へと歩き出した。

残りの3人も部長の後を追って奥の扉へと歩き出した。

そして、扉を抜けると更に部屋がありまた奥に扉があった。


「まだ、奥に行けってこと?」

「そう言う事だろ。」


そのまま4人は、扉を抜けるとまた同じ様な部屋がありそれを3回繰り返した後に、薄暗い部屋に辿り着いた。



「今までの部屋と違うな...」

「っ...!やっとお出ましだ...」



部長は何かしらの雰囲気を感じて呟くと、部屋が一気に明るくなった。

4人は急に明るくなった事で、目を手で覆い隠す様にして閉じていたが、ゆっくりと目を開けると奥に3つの人影が見えた。

そこにいたのは、〈神守護(ガーディアン)〉のファースト・セカンド・サードの3人だった。



「ようこそ、粛清対象の皆さん。」

「粛正対象?」



彩音がファーストに対して問い返した。


「おや、お忘れか?俺は君に宣言したはずだが。」

「...」


一空は黙ったまま、ファーストの方を見ていた。


「それで、私達をここまで呼び出したって事は、ここで決着を付けようって意味でいいんだよな。」


部長の問いかけにファーストは頷いた。



「お察しの通り。お前達は、反抗組織の中で急激に目立ち出し危険度もある。それに《五源器》の所有者がいる事から優先的に粛正する対象となった。だから、今から粛正する。」


「何故《五源器》の名前が出て来る?」

「《五源器》は、我らが神に対し危険な武器だと分かっている。そんな物をお前らの様な奴らに所持させる訳にはいかない。我らで管理する!」



ファーストが大きく片腕を横に振って答えた。


「お前らは、神に逆らう奴らを全員排除するつもりか?」

「勿論だ。あの方々が、この世界の平和の為にしている事を邪魔する者は、誰であろうと粛正する!我らは、神が創る平和な世界の為に行動し、神を守る。.......それが、〈神守護(ガーディアン)〉だ。」


ファーストの発言に部長がゆっくりと話し出した。



「お前にそう言う信念があるように、私にも私の世界を守る信念がある。どんな障害だろうと私の信念を折る訳には行かない!」

「お前の守る世界が何であろうと、お前が神に逆らっている時点で、そんなものを守る価値はない!」

「お前らに、それを決める権利はない!」

「俺達でなく、神が絶対だ!その神に逆らう奴らなどに自由などない!」



ファーストがそう告げた瞬間、一空・彩音・仁のそれぞれの足元が開いた。



「なっ!?」



3人はそのまま足元に空いた穴に落下して行った。落下するとすぐに穴は閉じてしまう。


「お前ら!...貴様!」


部長が片手で腰元のストラップを引っ張り、銃口をファーストに向けて引き金を引いてレーザーを放った。

だが、放たれたレーザーはファーストの胸を通り抜けて奥の壁に激突した。


「!?...通り抜けた?」

「よく出来てるだろ、このホログラム。それがお前の《五源器》か...」


ファーストがそう言うと、隣のセカンドとサードの姿が消えた。


「元々、この場に俺達は誰一人としていない。お前は、この場で仲間が粛正されるとこを観ていろ。」


部屋の上空に大きなビジョンが出現した。



「全てが終わったら、最後はお前だ...」



ファーストはそう言ってその場から消えた。


「まさか、こんな形で分断されるとは...みんな...」


部長は上空のビジョンを見つめて呟いた。



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