5章⑪ 革命者
「あれは...」
一空がゴーグルが手にしていた双剣を見て呟いた。
「確か、フォースって奴が使った武器だったはず...何でこんなとこに...」
「アイツらは、あれが目的だったのね...」
一空と彩音は、物陰に隠れながら覗きながら小声で話していた。
すると、ロクトルがゴーグルに話しかけた。
「ゴーグル、後もう1つの伝える事があるの。」
「何だ?」
すると、ロクトルは入り口近くの物陰を指差して言葉を発した。
「そこに隠れて、私達の行動を見てた奴らがいたの。もう隠れてても無駄だよ。」
「!」
一空と彩音は、いきなりの事に驚き動く事が出来なかった。
「まさか、見られていたとは...隠れてないで早く出てこい。」
ゴーグルが急かす様に声をかけた。
だが、それでも一空と彩音は出てこなかった。
一空と彩音は、隠れながらこの後どうするかを焦りながら話していた。
「ヤバイ、見つかってるぞ!素直に出るか?...いやいや、流石にそれはないか...」
「ひとまず、攻撃される前に逃げるしかないんじゃない。」
そんな事を話していると、真横に氷人形が現れ攻撃してきた。
「うわぁっ!」
一空と彩音は攻撃を避けて、ゴーグル達の前に出た。
それを見てゴーグルが呟いた。
「お前らは...」
すると咄嗟に一空が話し始めた。
「...いや〜途中で道に迷ってしまって。ウロウロしてたらあなた達を見つけたんですよ〜」
一空は引きつった顔を作って話しており、それを見て口が塞がらない彩音。
「(な、何て分かりやすい嘘を......)」
そして、一空の言葉を聞いたイフトが思い出したかの様にいきなり声を出した。
「金髪に眼鏡...あっ!確かお前落ちてきた一般人の中にいた奴か。」
イフトの発言に便乗する様に、一空は相槌を打った。
だが、ゴーグルはイフトの言葉に流される事なく冷徹に判断を下した。
「それが、本当だろうと嘘だろうと関係ないな。結局見られてしまったんだ、一緒に連れて行くか、ここで殺すしかないな...」
「えっ...」
ゴーグルの言葉に一空と彩音は小さく呟いた。
その直後だった。一空と彩音の後方から声が聞こえて来た。
「まさか、ここにいるとはな...」
その声に、一空と彩音が振り返るとそこにいたのはセカンドだった。
「(コイツは......セカンド!)」
セカンドは、部屋の中に入って来て一空と彩音は道を開ける様に離れた。
するとセカンドが、彩音の方を少しだけ向いて呟いた。
「一般人までここに......さっさと外に出てろ。」
だが、彩音はすぐに下がらず少しだけセカンドの仮面を見つめていた。
「彩音...何してんだ...とりあえずこの状況に便乗して逃げるぞ...」
そこに一空が彩音に近づいて来て小声で呟いて引っ張る様に扉の近くまで下がった。
「あっ...うん...」
そのまま一空と彩音は、部屋の扉まで下がった。
「さて、次には逃がさんぞ...侵入者共!」
セカンドは、そう言って勢いよく突っ込んでいき持っていた槍を突き出した。
「氷人形!」
ゴーグルは、すぐさま近くの氷人形に指示を出し、セカンドに攻撃させた。
だが、セカンドはその場で回転し襲って来る氷人形を槍で胴体から真っ二つにした。
「くっ!」
そこから再びセカンドは、ゴーグルに向かって槍を突き出した。
ゴーグルは咄嗟に手に握っていた双剣で受け流すとその双剣が砕け散った。
「なっ!?」
その光景に、ゴーグル達が驚いていたがセカンドは全く動揺せずに、真横にいたイフトを蹴り飛ばした。
「がはっ!」
イフトは壁まで飛ばされて、壁に叩きつけられて大きな音が部屋に響き渡った。
セカンドは、そこからもう片方の手に握っていた槍をロクトル目掛けて突き出した。
しかし、その攻撃をゴーグルが腕を突き上げてロクトルの前に氷の壁を作り上げた。
氷の壁はセカンドの槍を飲み込む様に作られ
たのでセカンドは、槍から手を離して一旦距離を取った。
「ロクトル、無事か?」
「うん、何とか...でも、イフトが...」
ロクトルがイフトの心配をしたが、イフトが飛んで行った壁の方から瓦礫を吹き飛ばしてイフトが出てきた。
「クソッ!」
「あっちも大丈夫そうだ...それより、この《五源器》が折れた事だ。...まさか偽物だったとは。」
ゴーグルは、刃の折れた双剣を強く握ってセカンドを睨んだ。
「普通に考えて、本物をこんなとこに置くわけないだろ。形だけで判断してるから騙されるんだ。」
セカンドが睨むゴーグルに対して話すと、近くにあった薙刀を掴み取ってゴーグルとロクトルに向かって突っ込んだ。
「おら!」
ロクトルが叫ぶと散らばっていた瓦礫を腕に纏わせ殴りかかった。
そこにゴーグルが手をかざすると、その腕が氷でコーティングされた。
「それで強化したつもりか...」
セカンドはそう呟くと、槍で氷の拳を受け流し氷の腕の横に回り込んだ。
そこで、薙刀を真上に上げて振り降ろすと氷の腕を叩き斬った。
「!」
そのままセカンドは、氷の腕を切り裂いて最後に槍を投げつけた。
ゴーグルはロクトルを腕で抱えて、真横に飛んで避けた。
だがすぐにゴーグルの目の前にセカンドが現れてロクトル両手を枷にはめて壁に叩きつけた。
「嘘!?」
「コイツ!」
ゴーグルは、両手の折れた双剣に氷を纏わせ氷の刃を作ってセカンド目掛けて降りかかった。
すると、セカンドはゴーグルの攻撃を防ぎながら後退していくと、真後ろからイフトが殴りかかって来た。
「っ!」
しかし、セカンドは見えていたかの様に、その場にしゃがんでかわして、再び距離を取った。
「(何で今のが避けられんだ!)」
イフトは心でそう思いながら、セカンドの正面に立ち構えてゴーグルに話しかけた。
「今のうちに、ロクトルを。」
「分かってる。」
ゴーグルはロクトルの元に戻ると、ロクトルの手の枷を凍らせて壊して助け出した。
「ありがとう...」
そして、イフトの元に集まるゴーグルとロクトル。
「こっから逃げるとしても、アイツをどうにかしねぇといけねぇぞ、分かってるだろゴーグル。」
「...くっ、やるしかないか...ここで捕まるよりかはマシだ...」
「やるの、ゴーグル?」
ロクトルの問いかけに、ゆっくりと頷くゴーグル。
「奴らの仲間が来る前にさっさとやるぞ!」
「いいな、奴と戦う為じゃなく、逃げる為だからな!」
ゴーグルがそう釘をさすと、3人は目を隠していた物に手をかけて外そうとした時だった。
部屋の横の壁が勢いよく崩れた。
「!?」
その場にいた全員がその方を見つめると、1人の人物が入って来た。
その人物は、顔に龍の仮面を付けていた。
「お前ら、何しようとしてんだ?」
その姿と声に反応したのは、侵入者の3人だった。
3人は目を隠していた物から手をすぐに離した。
するとセカンドが、龍の仮面をつけた奴に問いかけた。
「また侵入者か...何者だお前!」
その問いかけに、龍の仮面を付けた者が答えた。
「革命者」