5章⑩ 侵入者達の目的
サードの後ろには、同じ〈神守護〉だと思われる人物を数人引き連れていた。
サード自身は、戦闘した時のまま武装をしていた。
そして、ウィンは〈神守護〉を見つけると顔だけ後ろを振り向き、ツアー参加者達に話しかけた。
「私の役目はここまです。あちらの方々の方へ行って下さい。」
ツアー参加者達は、ウィンの言葉通りすぐに〈神守護〉の方へと向かい保護された。
「何故、一般人と一緒にいたんだ?」
「それは、私が決めた事なので...」
サードの問いかけにウィンは、それ以上は答えなかった。
「まぁいい......後はお前を捕らえるだけだ!」
そう言ってサードは、右腕の扇型の刃をウィン目掛けて飛ばした。
するとウィンは、両腕を上から振り下ろすと、風が上から強く吹き、扇型の刃を地面に叩きつけた。
しかし、サードはウィン目掛けて突っ込んで来ていた。
ウィンは咄嗟に、片腕を後ろに伸ばし手の形を爪を立てる様にして、サード目掛けて押し出した。
すると鉄砲玉の様な風が吹いて、サードは後ろに押されてしまう。
「やっぱり、アンタとは相性が悪そうだ...」
サードがそう呟くとウィンがそれに対して話した。
「逆に私は、貴方に対しては相性が良さそうですね。」
「...あんまり調子に乗るなよ、侵入者が!」
サードは左腕の扇型の刃を地面に勢いよく叩きつけると、ウィンに向かって斬撃波が放たれた。
だが、ウィンは軽々と横に避けた。
「そんな攻撃も出来るんですね...」
「舐めやがって......」
サードは小さく呟くと、腰元にぶら下げていた黒い箱のストラップを引き抜いた。
「?」
ウィンはそのまま観察し続けた。
サードの目の前には、黒い長方形の箱が浮いていた。
そしてサードが、呟いた。
「外装解放...」
すると目の前の黒い長方形の箱がパズルのピースの様に地面に落ちた。
それを見てサードが、もう一度呟いた。
「外装装着!」
そして、黒いパーツがサードの装備していた箇所を飲み込む様に黒い鎧の装備へと変わった。
「さぁ、続きをしようか...」
サードはそう呟き、ゆっくりウィンに向かって歩き出した。
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「彩音...これはもしかするけど...」
「うっ...」
一空の問いかけに彩音は困った様な声を出していた。
「迷った...よな?」
「...うん。見失ったし、何となくで道を決めていたら、何処だが分からなくなった...」
「ですよね〜」
そして一空と彩音は軽くため息を漏らした。
ゴーグル達の後を追って来ていた一空と彩音だったが、途中から道が複雑になりすぐにゴーグル達を見失っていた。
「どうすんだ、これから...」
「止まってても仕方ないから、とりあえず歩き続けようか。」
「そうだな。」
そう言って一空と彩音は、歩き出した。
「にっしても、どんだけデカいんだここは?」
「アリの巣の様に入り組んでいるよね。元々私達が見せられていた箇所は偽物で、こっちが本当の拠点かもしれないね...」
そう話しながら、辺りを見回しながら歩いていると、『ガンッ』と大きな音が聞こえて来た。
「!」
そこから3回続いて聞こえて来た音を頼りに一空と彩音は、音がする方に向かった。
そしてその場所を見つけると、一空と彩音は壁に隠れながら覗き込んだ。
「あれは...」
そこにいたのは、とある扉に向かって攻撃をしている氷人形だった。
「壊そうとしているのか?」
「あそこに目的の物があるんじゃないかな。」
小声で2人が話していると、氷人形のとこにゴーグル達がやって来た。
「下がれ。」
ゴーグルが命令すると氷人形は、後ろに下がって待機した。
そして代わりにイフトが扉の前に立って、片手に炎を纏った。
「おらぁっ!」
イフトが叫びながら扉を殴ると、扉は部屋の中へと吹っ飛んで行った。
「大した扉じゃなかったな...」
イフトは少し残念そうに呟いた。
「そう思うのは、お前だけだ。」
ゴーグルがイフトの横を通りながら話して、部屋の中へと入って行った。
ロクトルは、イフトの横に立って呟いた。
「普通はあんな事出来ないから。」
「いや、お前は出来るだろ。」
イフトはロクトルに反論しながら、一緒に部屋に入って行った。
その後を追って氷人形も部屋の中へと入った。
「彩音、行くんだろ。」
一空が彩音に問いかけると、軽く頷き2人はゴーグル達が入って行った扉の横まで移動して中を覗いた。
そこには、数多くの武器や書籍が置いてあった。
一空達は、ゴーグル達に気付かれないように部屋に入り物陰に隠れた。
ゴーグル達は、部屋の中心で立ち止まった。
「さて、ロクトル頼んだ。」
「オッケー!」
ロクトルは、片膝をついて片手を地面に置いて目を閉じた。
そして数秒後に目を『パッ』と開いてと呟いた。
「見つけた...」
ロクトルは立ち上がり、部屋の奥へと歩いて行き壁の前に立ってイフトを呼んだ。
「ここ、壊して。」
「はいよ。」
軽く返事をしてイフトは、ロクトルが指差した壁を破壊するとそこには、双剣が隠される様に置かれていた。
それを見つけて、ゴーグルが手を伸ばして手に握り取り出して呟いた。
「見つけたぞ...《五源器》の1つ、生殺しの双剣...」