0章 終わりのプロローグ
ドーン! ドゴーーン!! と、響き渡る大きな音。
そして勢いよく燃え上がる炎。
周りを見回すと半壊しているビル群に、大きな瓦礫やヒビ割れた地面。
元は立派な街だった所も、今では廃れた街と化していた。
そんな中で激しくぶつかり合う2つの影があった。
「うぉおおおおおーー!!」
1人は大きく叫びながら、拳を握り相手へと殴り掛かる。
もう1人の拳とぶつかり合った反動で、殴り掛かった1人は地上へ落ちる。
もう片方は、空中に留まったまま落下したもう1人を見下ろしていた。
すると、空中の者が地上の者へ言葉を発した。
「なぜ、お前は神の邪魔をするのだ? ただ私は、この世界の為に世界を統べたいだけなのだよ」
空中にいる者は地上にいる者に問いかけた。
一方、地上にいる者は、腰にぶら下げていた剣のストラップの紐を勢いよく引っ張った。
すると、先ほどのストラップが剣へと変わり、地上にいる者が剣を空中にいる者に突き出した。
「今のが、噂のストラップ魔法か……」
「そんなに【神の名を継いだ】奴が偉いのかよ。お前はただ、その力を振りかざしこの世界を支配したいだけだろ!」
「それの何が悪い? 私は〈ゼウス〉の名を継いだのだぞ。神としてこの世界を統べる為に、敵対者に対して力を振りかざすことは、当然のことだろう」
その言葉に地上の者は顔を歪めた。
「お前は【神の名を継いだ】だけで、本当の神じゃない! それにこの世界は神様のもんでもねぇ!」
地上の者は空中にいる〈ゼウス〉と名乗る者に反論した。
「ふふふ……ただの人間の弱者が、神の決定に反論するとは身の程をわきまえろ! 今の私は〈ゼウス〉の力と人ごときが創り出した、あの〔4つの力〕を遂に手に入れたのだからな!」
〈ゼウス〉を名乗る者はこらえきれず高らかに笑う。
地上の者はそれを聞き小さく呟く。
「それがなんだ……そんなの分かってここに立ってんだ。あいつ等が命かけて繋げた道を、途切れさせるわけにはいかない。俺の命をかけて、お前を引きずり落とす」
そうして剣を構える地上の者。
それを見て、〈ゼウス〉を名乗る者は両手を大きく広げた。
「まさか知らない訳ないだろう? 〔4つの力〕〈野性〉・〈破壊〉・〈創造〉・〈復元〉の前では、何をしても無駄だ! 正しく私は、完全なる神になったのだ!」
〈ゼウス〉を名乗る者は、地上の者に〔4つの力〕を高らかに言うと自らを神と宣言した。
だが、そんな事に怯むことなく剣を構えたまま〈ゼウス〉を名乗る者を睨みつける地上の者。
「何だ、神に対してその目はッ!!」
〈ゼウス〉を名乗る者は、片腕を前に出して地上の者目掛けて振り下ろした。
すると、上空から地上へと雷の雨が降り注いだ。
だが、地上の者は握った剣で跳ね返し、除けながら、雷を避け〈ゼウス〉を名乗る者へと走り出す。
「うろちょろと」
そう呟くと〈ゼウス〉を名乗る者は、両手に渦巻いた真っ黒い球体を出現させ、地上の者目掛けて1つずつ投げた。
その球は、地上に近付くと急激に巨大化すると、一瞬で辺りの物を刈り取って消えた。
「これは、確か〈破壊〉の力……」
地上の者は、球体から一旦に距離を取るために、後方へ勢いよく飛んで下がった。
すると、〈ゼウス〉を名乗る者は、片腕を下から上に振り上げた。
直後、地上の者の足場から地鳴りがし、地面が急に反り上がり、地上の者は宙へと押し上げられてしまう。
「っ!!」
「〈創造〉の力は、一番体との相性がいい」
〈ゼウス〉を名乗る者は、宙に浮いた地上の者目掛けて、両腕を広げて目の前で、両手で押し潰す動作を行う。
「!?」
突然、宙に浮いた地上の者目掛け、両端に建っていたビルから瓦礫が塊を作り、押し潰す様に一直線に向かって行った。
「オラッ!!」
地上の者は、真上目掛けて握っていた剣を何度か振り抜くと、斬撃波が真上に放たれる。
すると、その反動で落下し、瓦礫に押し潰される事なく地上へ降りる。
だが、地上に降りた瞬間に次の異変に気付く。
「ッ! ……この感じは!」
直後、両隣に黒い球体が出現した。
「呑まれろ」
〈ゼウス〉を名乗る者は、地上の者に被せる様に向けた手を一気に握りつぶした。
それと同時に、2つの黒い球体が肥大化し合わさると、一瞬で周囲が呑み込まれ地面ごと削り取った。そして地上の者も、それに呑み込まれた。
と、思われたが呑み込まれた場所に空間の穴が開き、そこから地上の者が現れた。
「備えあれば憂いなしって奴か……まさか、アイツの発明品に救われるとはな」
そして、地上の者が手に握っていた、ストラップにヒビが入り粉々に壊れた。
「さっきは、〈復元〉の力ってやつか?」
そして、〈ゼウス〉を名乗る者と対峙し、何かを覚悟し小さく呟いた。
「……一命一封」
そう呟いた直後に地面を強く蹴ると、一瞬で空中にいる〈ゼウス〉を名乗る者の目の前へ移動した。
「何!? 神が認識できなかっただと!?」
その言葉の直後、周囲を強い光が覆った。
その後、大きな戦闘音は消えると夕立が降ると、その場一帯の炎が消え辺りは静寂に包まれていた。
その日の夜、4つの光が各地へと飛ぶ所が多くの人々に確認された。
この大きな戦争の結末は後に、違う形で語り継がれることになるのだった。
そして、その戦争から7年の時が経った。
――――――
時は桜の花が開く、3月末。
ある少年が急ぎ足で、とある場所へと向かっていた。
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