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リバーサルストーリー  作者: まーれ
6/6

逸らす恐怖に迫りくる制裁

「ん…」


 目を開けると、見慣れないところにいた。

 木の板を並べてる天井。俺の部屋ではない。起きてもまだ意識が少し朦朧としており、寝違えたのか分からないが後頭部が痛い。何が起こっているのか分からないままだが、取り敢えず俺は起き上がった。


「起きた」

「なんで楓も寝ていたんだよ…」


 俺の右隣にはレイナがまだ寝ているが、それはまだ理解できる。そのまた右隣はなぜか楓も横になっており、俺が起き上がったタイミングを見計らったのか、楓も俺と同じタイミングで起き上がったのに悪意を感じた。


「なんか2人とも気持ちよく寝てるから私も…寝たくなっちゃった」


 どこからどう切り返せば分からない答えに、俺は少し困惑した。でも、なぜか楓を見ると後頭部が疼く。何かあったのだろうか?

 俺はともかく、楓が言った通り寝ているレイナを見ると、


「すやぁ…」


 寝てまで言う寝息を立てて、気持ちよく寝ていた。見た目に反して癖が一つも二つも強い。まぁ、可愛らしいから萌えるポイントでもあるかもしれない。


「まぁ、元気に寝ててよかったわ」


 楓が起き上がって、和室から出ようとしたその時だった。


「楓ー、物を使って凪殿を1発KOさせるのは反則なのだー」


 ……思い出した。レイナの寝言アシストで。

 後頭部が疼く原因が今分かった。

 俺はあいつに凶器攻撃で失神KOされんだ。

 

「あはははは……」

「…楓……冷や汗が丸見えじゃねぇか…」

「ご…ごめんなさい!ただお姫様抱っこしてるのが羨ましくて…つい!」


 嫉妬してしまったと…。その気持ちはよく分からないが、楓は俺を凶器攻撃した理由を自白した。


「レイナが言ってることただの寝言なんだが…」

「え?」


 レイナ自身が幽体離脱していた時に俺が殴られるシーンを見てしまったのか、なんにせよ偶然過ぎて未だに信じられない。

 楓はレイナの方を向いた。

 未だに「すやぁ…」と寝息をたてるのではなく、《《言い》》ながら寝ている。


「まぁ…正直に自白したことだし、不器用な所も直せばいいし、後…なんもかも暴力に頼るんじゃねぇぞ」

「う…」

「まぁ…正直に言ったし。あの時楓が手を引いてくれなきゃ、俺は今こうしていられなかったし、生きる希望も失ってたかもしれない。だから…さっきの事はもう忘れよう」


 正直、楓が俺の右腕を引っ張らなければらずっと引きこもってたかもしれない。

 あいつらの恐怖に怯えて。


「…グスッ」

「あれ…?」


 俺が楓に本当の意味で悪いことをした記憶はどこを探してもないのに、なぜか楓の頬から涙の粒が滴れた。


「あの…その…なんだっけ……遅れたけど、助けてくれてありがとな」

「私は…方凪を理不尽に傷つけたのに…何で?何でなの?」


 確かに理不尽かもしれない。けど、それを差し引いて余りある程の感謝がある。


「……」

「方凪…タオルケット借りていい」

「ほら…」


 俺はさっきまで掛けていたタオルケットを楓に渡した。

 そのまましばらく、泣き止むことはなかった。

  

 

 ※



 「それじゃあ、後は楓とレイナをよろしくお願いします」

 「うぃ、じゃーな。って、まてい。お前こんな夜に一人出歩くのは危険だから俺がお前ん連れてってやるから、ちょっと待っとけ」

 「あざーす」


 この後、俺はこの喫茶店から少し離れた車庫にある黒のサイドカー付きの大型バイクに乗った。

 レイナを2度もダウンさせた灼熱の日光を浴びさせる太陽は、いつの間にか夜空を照らす月が熱気を帯びたアスファルト達をクールダウンさせていた。

 午後8時。黒に染まった空間で太陽は暴れることはできない。

 

 今日の出来事で1人で外に出歩くのは危険と感じてくれたとっつあんは、俺を乗せて愛車のバイクで夜の住宅街のど真ん中を突っ切った。

 正直近所迷惑なんだろうけど、「昼が車なら夜はバイク」という謎の理念を持ったとっつあんに今しばらく我慢してください。


 ※


「ここでいいか?」

「うん」


 家の前までバイクに乗せてもらって帰って来た。住宅街の道路を通るから近所迷惑だったと思う。


「それじゃな…お前も楓を泣かすとはなかなかやるな」

「な…なぜそのことを…」


 と言った瞬間、とっつぁんはバイクのエンジンを吹かし、かなりの加速で夜の住宅街をあっという間に突っ切った。

 いい歳して近所迷惑《空吹かし》なんてしたくもないが、あの加速力を見てしまうとつい大型バイクに憧れてしまう。

 そんなことを思いながらも、俺は家の玄関の扉を開いた。


「ただいまー」

「はい、おかえりー」


 リビングの方から巫穂の声がした。

 素直に『はい、おかえりー』なんて言うことは珍しい気がすると同時に、何か悪い予感がする。

 靴を脱いで上がろうとした瞬間、リビングからとんでもない姿をした巫穂が現れた。

 ワイルドな深紅のレンズのサングラス、父さんのサングラスをかけ、指の第二関節まで覆うレザーの手袋、そして何故かバニーガール御用達のうさ耳をかけ、UZIモデルガンの銃口を俺に向けてきた巫穂がやってきた。


「ちょ…今から戦いに行くの?」


 と言った矢先、銃口からBB弾が俺に向いて飛んできた。


「痛い痛い痛い痛い!!」


 顔、腕、脚、素肌丸出しのとこに何発も当たり、玄関という逃げ場のない場所にいる俺は受け止めるしかなかった。


「BB弾を人に当てるのはサバゲーだけだろうが!」

「あぁん?外に出たくないと言いながら結局外に出て夜まで遊ぶ奴に言われる筋合いはねぇーよ!」


 普段とは違い、裏の人に近づいたその口調に俺は戦慄した。


「だけども!普通そこまでする?」

「巫穂を一人ほっといて、どれだけ心配したか、あんだけぐったりして帰って来て結局外に出てるから自殺願望でもあったのかと思ったし」


 よく考えてみると、口は悪いが巫穂の言っていることは普通のことだ。あれだけ精神を傷つけられたのに、それを忘れて外に出ること自体おかしなことだ。


「おい、俺を病んでるキャラにすんな」


 巫穂に言われて自覚したものの、やはり俺の人権を保つためには否定するしかない。


「うるせぇ!だから外に出たくないっててめぇ言ってただろーが!M870(モデルガン)でもぶち込んでやろか!!」

「まじでやめて!人に向けるのは!!」


 ましてやあれ変わったショットガンだ。

 普通はBB弾は1発ずつ発射されるけど、あれは本家の散弾と同じ、数発同時にばらまく仕様のモデルガンだ。

 ほぼ同時に当たるから痛みも倍になる。

 ゲームでもこの距離でまとも喰らうと一発で即死するレベルを、今のまま当てられるともの凄い苦痛だ。 


「ごめんなさい」


 俺は巫穂に頭を下げることを選んだ。

 すると、サングラスを外す音がした。


「よし。じゃあ、今日はこれで許そうか。それじゃあ、兄。アイス買ってきた?」

「…え?」


 どう考えてもアイスを買える状況じゃなかったはずなのに、いきなり頼まれてもないアイスをおねだりした巫穂がもう悪魔にしか見えなくなった。


「買ってきた?」

「…買って…ない」

「あらそう」


 場が凍りついたかと思えば、巫穂は再びサングラスをかけ、UZIの銃口を俺に向けて微笑みながら乱射してきた。

 しかしこの展開が読めた俺は、急いで玄関の扉を開きなんとかノーダメージで乗り切ることができた。


「あー…やばい。アイス買ってこよ…」


 巫穂の欲しい物に対する執念はレイナの甘いものが欲しい執念よりか、何倍も強いような気がする。

 それにしても、何故俺に対してだけこんな目に遭わないといけないのか、身内はともかく、他人に対しては可愛げな表情で接っしている。

(そうか…これを内弁慶って言うんだ)

 14、5年近く過ごしてやっとそれらしい表現に辿り着いた。でも「内弁慶やめろ」と言ってもやめないのは目に見えている。



 ※



「はぁ…」


 俺は深くため息をして、街頭の照らす白い光を頼りにコンビニを目指して歩いた。

 とっつあんのバイクに乗った時と比較すると少し蒸し暑いが、日中に比べて苦しくはない。

 様々な生物が落ちつくこの時間帯。だが、今日見せられた悪夢の影響か、早く帰りたいと言う心理が働き、歩くペース次第に速くなっていった。そして気づいた。


「自転車で行けば良かった」と。


 引き返すのも面倒だった俺は、そのまま早歩きでコンビニに向かうという選択をした。後悔はない。

 タケルの家から左に進んだ突き当たりには逆夜さかや台公園という変わった名前の公園がある。この住宅街の地名とは全く関係のない名前だ。


「小さい時夜こっそり抜けてここで女の子と遊んでたんだよな…」


 人気のない、ただ明治時代にある古風なデザインの白い電灯が静かに灯っており、蛾などの様々な虫をおびき寄せていた。だが、この電灯を見るたびに過去に遭遇した記憶の一部が蘇る。

 あれはまだ、6歳の時だった。

 腰まである、黒くてくせ毛一つない艶やかな髪をした女の子と遊んだ覚えがある。

 でも名前は思い出せない。顔も。

 だけどここで遊んだという記憶がある。

 黒いゴスロリのような服を着ていたはずだ。

 今となっては不思議あいまいだけど、いい思い出だったのは感じている。

 思い出したい。あの子の名前も顔も。

 でも、もう会えないだろうと心の中では思ってた。


「無理だろな…キャリーオーバーしている宝くじ1等を当てるより難しいはずだからなぁ…少なくとも近所の子じゃないし」


 不思議で濃密な時間をさらに思い出したくても、これ以上は思い出せない。あの子は覚えているのだろうか、今何をしているのか。

 頭上を照らす満月に向かって嘆いても返ってくる答えは「分からない」という無言。

 俺はそのまま左に進み、コンビニに向かって歩き始めた。


 ※


「ありがとうございましたー」

 俺は巫穂の大好きなあずきアイスと、みかん味のかき氷を買った。

 みかんかき氷はあと一つしかなかったのでつい買ってしまったが、それは俺の分として食べようと思う。

「さて…帰るか」

 俺は家に向かって歩き始めた。


 帰り道はコンビニまで来た道をそのまま戻るから、公園の前を通るのは避けられなかった。


「あれ…?」


 さっきとは違い、何か起こりそうな気配を感じてるのが後頭部から脊髄にかけて重苦しく感じる空気に俺は思わず立ち止まってしまった。

 よく見ると公園内の街灯に引き寄せられていた虫たちがいない。

 それどころか、どこかの学校のセーラー服を着ている黒髪の少女が電灯の上に両足のつま先だけで立っていた。しかも、震えることなく。


「誰だ…?」


 気配を殺してあの子に気づかれないようにずっと見ていた。だが、少女が体をこちら側に向けようとした瞬間、俺は公園の周りを囲う茂みに身を伏せた。

(やばい…気付かれたかも…)

 少女が気づいていないことをただひたすら願っていた。


 様子を見る前にちらっと夜空を見たその時だった。


 神々しく光る輪の一部が俺の視界を通過した。


「なんだあれは!」


 目にしたことのない不思議な光景に、思わず立ち上がってしまった。


「あっ!」


 気づかれる。

 そう思って公園の方向に素早く視点を向けたが、電灯の上にはだれもいなかった。


「凪殿…そこで何をしてる?」


 さらに真後ろ背後から声がして、ばっと振り返ると、そこにはなぜかレイナがいた。

 俺がレイナと出会ったときと同じ、クールな表情だった。


「レイナ!もう大丈夫なのか…?」

「楓が処置をしてくれたおかげで今は大丈夫なのだ。あの日差しには私の精神力メンタルも抉られる。あのろくでもない暑さはどれだけ訓練しようと、私じゃどうにもならんのだ。なにより白い肌が焼かれるからのう」

「そっか…まぁ、無理すんなよ」


 本日2回目の病み上がりなのに、何故か楓のいる喫茶店からここまで来ることが不思議なのだが、聞かないことにした。


「了解した。ところで凪殿、何を買ってきたのだ?」

「あぁ、アイスだよ。あずきとみかん味の…っておい」

「駄目だ駄目だあれは凪殿の自腹で買ったものそれをねだろうなんてなんて失礼な我慢しろ私でもみかん…みかん味のアイス食べてみたい食べてみたいのだあぁぁ駄目だ欲望にまけるな私ぃぃぃ」


 やっぱりレイナも執念が半端じゃない。内容が違えど、好きな物に対する執念が半端じゃない。

 アイス見せた瞬間、レイナは自分との戦いに入っていた。

 とんでもない早口で自分に暗示かけていても欲丸出しのレイナはこういう時は異様に強くなるんだろう。今にも欲しがりそうな自分を抑えることに必死になっている。俺からするともう見るに耐えない。


 ※


「はむっ……おいしい。シャリシャリ感とみかんの味の絶妙なコラボ。べりーぐっどなのだ」


 いい食レポありがとう。

 俺の代わりに食ってくれてありがとう……じゃないけど、レイナがおいしく食べたのならそれはそれでよかった。

 俺とレイナは逆夜台公園の入ってすぐ右にあるにベンチに座った。

 レイナがミカン味のかき氷を食べる速度は異様に速く、気づけばもう完食していた。


「これで魔力が少し回復したのだ…」

「え?」


 みかん味のかき氷食っただけなのに、あれのどこが魔力を回復力するアイテムなのかが理解できなかった。


「あぁ、そうか。凪殿は魔法を知らないのだったな。魔力を使うときは神経を集中させなければならないのだ。集中できてないと魔法が安定しない。発動しないのがほとんどなのだが、稀に暴発するのだ。強い日差しによる体力の消耗とかは魔力の消耗にもなるから、適度に回復させないといけない。会得マスターしている魔法はそんなに消費はしないが新技などの普段しないことは集中できてないとかなりの確率で失敗に終わる。魔力の細やかな充填は大切なのだ。その為に自分の好きなものを摂取するのだ」


 突然始まった魔法の説明の半分以上は俺に全く縁のないことで、正直に言うと最後

 の二言だけで良かった気がした。


「なるほど…集中力=魔力のコントロールとか…。なんかあまり分からないけど、魔法扱うのも大変だなぁ」


 休憩や気分転換リフレッシュしないとパフォーマンスが低下するスポーツ選手みたいに魔法も体力や心の状態で左右されるなのだろうか?

 そう考えると、この世界の全スポーツのメンタルの要素と魔法の要素が似ていのだろう。

(体力と魔力は一心同体だろうけど、魔力量はどうなんだろ?ゲームでよくあるHPの隣にあるMPやSPみたいなものなんだろうか?)

 そんなこと考えたって、俺自身が魔法を使えるわけないから考えるだけ無駄だった。


「んで、レイナは何をしにここに来たんだ?」

「それは…」


 レイナはちらっと公園の出入り口を見た。

 その誘導視線に連られて俺もレイナと同じ方向を見ると、黒いオーラを纏っているかのような化け…訂正、楓が立っていた。


「レイナちゃーん」

「あれだ!…その…失礼する!」

「何で!?」


 レイナは全力で反対側の出入り口に向かってダッシュした。


「こら!待ちなさーい!私のプリン食った罪絶対許さないからねー!」

「ぶっ!」


 まるでアニメのような展開で追いかけっこが始まっていたことに思わず笑ってしまった。


「古っ…」

「何が古かったの?」

「え??」


 気が付くとベンチに座ってる俺の背後に楓はいた。俺が笑っていたときに楓を視界から外したのが分からない

 見ると楓も少しだけ黒い微笑みを浮かべていた。


「何が古かったのって言ってるのよ」

「いや、古くないです。とても面白かったです…」


 バカ正直な回答をしてしまったことを後悔した。もう少し機嫌を良くするような回答が出来たんじゃないかと思った。


「じゃあ、そのあずきアイスをくれたら許してあげる」

「いやーこれはー妹の分で…」


 これは譲れない。あの凶暴な妹様の貢ぎ物だから!


「え?」


 その瞬間、楓は俺の手をつかんだ。


「冷たっ…!!」


 明らかにこの季節とは思えない、真冬の氷水に10分浸けた後のような冷たい手で捕まれた。

 感覚神経が脊髄を通る時にはもう冬が来たのかと勘違いしていまい、身体の震えてきた。


「買い直せばいいじゃん。ここから近いんだし」

「わ…わかったよ…持っていきな…」


 そう言うと、俺の手を掴んでいた楓の右手を離して


「ありがとう」


 今まで見た中での最高の笑顔だった。

 だが、楓はあずきアイスを持ち帰らずその場で食った。

 自分の体温を意図的に下げられるなら、アイスも解けないだろうと思っていたのだが、こんなことを下手に言ってしまうと、次はあの手で俺の背中を触られるかもしれない。そう考えてしまうと触られてもないのに悪寒がした。

 だが、そんなことを忘れる衝撃的な風景がもう一つ。


「楓…靴は?」

「面倒だからそのまま来たわ」


 理由が単純すぎて何も言えない。

 足の裏が気になるものの、平気そうな顔をしている楓を見ると、どうやら傷一つ付いていないと言い切れるくらい、気にする素振りも見せなかった。流石にこのまま自分の部屋に入ったりしないだろうけど。


「じゃあね。あずきアイス美味しかったよ」


 楓は俺にパッケージと木の棒だけを渡し、来ていたであろう道をそのまま戻ってどこかに行った。

 レイナを追いかけるようなこともしなかったし、追いかけるつもりもないのか分からない。能力で何とか見つけようとしているからこそ、焦る必要も無いかもしれないが。


「それにしても220円損したぁ…またコンビニ行かないかんのか…にしても…楓とレイナは随分と遠いところまで来たなぁ」


 早くしないと巫穂がまたお怒りになる。だからこそ俺は、急いでコンビニに向かわねばならなかった。


 ※


 泣く泣くもう一度行くことになったコンビニで、あずきアイスと自分用にポップコーンを買って帰路に向かった。

 今度は一切寄り道せず、早歩きでまっすぐ家に戻った。巫穂にあずきアイスをあげる前に自分の部屋に行って、ポップコーンだけを置き、そのあと巫穂の好きなあずきアイスが入っているコンビニに袋と一緒にあげた。


「なんか、あずきアイスの割に袋がでかいんだけど…」


 ミスをしてしまった。あずきアイスの何倍も大きいの面積の商品だから、必然的にレジ袋も大きくなる。あずきアイス単体で持って来るだけ良かったのに。


「まぁいいや。ありがとね」


 大きさの違いを気にすることなく、巫穂はレジ袋からあずきアイスを取り出して冷凍庫の中に入れる。

 新たな尋問イベントが起こらないことに俺は正直安堵した。


 激動の8月1日が終わる。

 でもプロローグはまだ終わっていない。  

 あの2人をどうにかするまで終わらないのだから。


 

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