僕はトカゲさんの下僕らしい
[失礼なヤツだな。喚び出しといて、それかよ。]
現れて早々にトカゲさんに説教受けてます。
しかも正座させられてます。
[んで、何の用で喚び出した?敵か?バトルか?闘いか?]
舌をチョロチョロ出して、頭を左右に動かして、周りを見てるトカゲさん。
この姿を見てるだけなら、可愛いんだけど。
「いえっ、あのっ。。。。」
言ったら、怒るだろうな。言いたくないな。
[さっさと言え!]
言わなくても怒ってるよ。
「言っても怒らない?」
もう怒ってるけど、これ以上の怒りを買うのはヤバイ気がする。
[さっさと言えと言っている。]
ヤバイ雰囲気がプンプンする。噴火前だ。爆発寸前だ。
「えっと。。。自分が誰か分からないんです。
だから。。。えっと、そう!旅に出ようと思ったんです。それで頼りになる人?に助けてもらおうと思って。。。」
口から出任せを並べ立てて、恐る恐る顔を上げると
[そうか、頼りになる。。。そうだな。オレ様がアイツらより強いしな。分かってるじゃないか。そう言う事なら早く言え。
その辺のモンスターなら、オレ様が倒してやる。安心しろ。]
何だかトカゲさんの機嫌が急上昇してる。
色々と思うところはあるけど、触らぬ神に祟りなし。スルーしよう。そうしよう。
[おいっ、行くなら早い方がいい。さっさと行くぞ。]
張り切ってるトカゲさんは、僕の頭の上に乗っかって、頭を小さな前足でペシペシと叩く。
叩かれても痛くも何ともないし、トカゲさん小さいから僕でも倒せそうだけど、何故か逆らっちゃダメな気がする。
何でだろう?
痛くなくても、これ以上叩かれるのはイヤ。
さっさと準備して出掛けよう。
家に戻って、タンスの近くに掛かっていたカバンに下着や服を詰め込んで、キッチンにあった硬そうなパン。
小さめの斧と大きめのナイフをそれぞれ持つ。
準備といっても部屋の中には、その位しか物がない。
がらんとした部屋を見渡すけど特に感慨深い訳でもなく、あっさりとしたものだ。
僕は、いったい何者なんだろ?
「火トカゲさん、お待たせ。行けるよ。」
頭の上に声を掛けるって、何だか不思議。
[何もないんだな。]
呆れてる?トカゲさんに呆れられた?
まぁ、何にしても早く準備が終わったんだし、いいんじゃないかな。