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くっころの騎士団と枢軸の魔術師  作者: Tand0
Saga 5: くっころの騎士団と枢軸の魔術師
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くっころの女騎士と強大な魔物(くまもと/いばら木(後編

 女騎士はブロードソードを振りかぶり、一瞬で間合いを詰めると魔術師に斬りかかった。

 武闘派ならばいざしらず、たかが魔術師にかわせるような剣戟ではない!

 と、女騎士はそう信じて疑わない。


「とった!」


 剣の先端が魔術師の首の皮一枚を薄く斬ったとき、しかしそれ以上斬ることはできず、女騎士は手を硬直させざるを得ない状況に陥ってしまう。

 森の周囲の木から、突然ツタのようなものが飛び出し女騎士の手足を拘束したからだ。


「な、何だこれは」


「≪奇拳≫茨城(イバラキ)」それは四十八都道符拳が一つ。

「イバラ『ギ』ではなくて、イバラ『キ』なのです。『木』だよ間違えないでね。『木』だからー。この前茨城賢人にすんげー怒られたのです」


 魔術師は高らかに答え、妖狐が補足する。

 それは木が周囲にあれば茨を発芽させて敵を阻む魔の触手。


 女騎士を拘束したものは正確にはツタではなく茨であった。

 その茨はうにょうにょといやらしく蠢き、女騎士のプレートメールを剥いでいく。


「さぁ、これからどうするか分かるかね?」

「どうなるのだろうねぇ?」


 両手を挙げたままの2人は面白そうに笑った。

 女騎士はその様子に身震いする。

 まさか、このまま自分の身に何かしようというのだろうか。

 だが、女騎士にはまだ切り札があった。


「くっ……、殺せ」


 女騎士の主君から頂いたキーワード。

 そのキーワードにより召喚された庭師(おにわばん)により既に5人以上の女騎士が助けられたという。


 ――しかし、何もおきなかった。


「あ――はははは――」


 目の前の魔術師が突然笑い出す。


「何が可笑しいっ!」

「何が可笑しいって、なぁヨーコ。うちの嫁さんの騎士団はなんでこんなにポンコツばかりなのか?」

「否定はできないのです。僕のマスター、今を頭抱えていますのです」


 女騎士にとって聞き捨てならない会話をする2人。


(うちの嫁さんの騎士団? 僕のマスター? そういえば主君は最近婚姻を発表した。そして主君は一体の魔族を使い魔としていると聞く。するとまさか二人は……、他の騎士を助けた『とある魔術師というのは』……)


「なぁ、ヨーコ。うちの嫁さんに許可取ってくれないか。彼女にはちょっといろいろ俺の欲求のはけ口になって欲しいのだが」


「えーっと、好きにしろ、って僕のマスターが」


 なにやらマズイせりふを続ける2人。

 女騎士は自分の顔が朱に染まっていくのを感じる。


「よーし、じゃぁヨーコ。こいつくすぐりまくれ!」


「えー、やだぁー。なんかべとべとしそぉ」


 気づくと女騎士は茨から臭いニオイと共に何か粘性の高いねばねばした、柔らかい豆のようなものを塗りつけられていくのを感じた。

 このニオイ、こういうのが好きな人は好きかもしれないが、女騎士はどうにも慣れないものだ。


 ――解説しよう! ちなみに本編とはまったく関係ないのだが、茨城県名物の食い物としてweb検索の上位に来る有名なものは『水戸ナット○』である!


「……ふーん。とりあえずヨーコ、ストレス発散はやめておいて、こいつはここに置いといて行こっかー」


「じゃぁねーん」


 魔術師と妖狐は森から離れた。


「ちょっ、ちょっと待ってぇぇぇ、これ解いていってよぉぉぉ。助けてぇぇー」


 他の騎士が現場に到着するまでの2時間、女騎士は地獄を味わうことになった。

[お断り] ねばねばしたものは、この後スタッフが美味しく頂きました。

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