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くっころの騎士団と枢軸の魔術師  作者: Tand0
Saga 6: やせいの王女さまが現れた!
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エクスカリバー(かがわ(後編①

 うどん達がまるで触手のようにもぞもぞと動き、エクスカリバー王国軍を絡めとっていく。


 それは四十八都道符拳が一つ。うどん拳(かがわけん)


「これまでは『うどん拳? うどんを選ぶなんて小学生までだよね(笑)』のようにやや自嘲ぎみに語られてきた名前であるが、これから大手を振って、前を見て、いまここに我は高らかに唄う。うどん拳(かがわけん)と!」

「うわ。オーカってば、観光協会のまわしものなのです」


 などと魔術師が馬鹿なことを言っている間にうどんは成長し、地に足が付き、ついにうどんが咆哮する。まるでクトゥルフ神話のように。


「愛にきてうどーん」

「愛にきてうどーん」

「愛にきてうどーん」

「……」


 いまやうどんと呼ぶにはいささか蛇足ぎみなうどんがまさにエクスカリバー王国軍を飲み尽くさんとばかりに飲み込んでいく。


「く、って、撤退だー。このままではたかがうどんに全滅してしまうぞ」

「まて、まだ我らには聖剣エクスカリバーがある!」

「だがここで使ってしまってはキャンベルクワ攻略が!」

「攻略もへったくれもあるか! ここで敗北だけでなく全滅でもしたら今度はこっちが攻められるぞ。ポーラニア戦役を忘れたか」

「えぇぃ! 抜くからな!」


 混乱するエクスカリバー王国軍の中にあって、その混乱を抑えようと、王国が騎士サー・アーサー・チュートリアは自らの腰にある聖剣エクスカリバーを抜いた。


 そして天高く掲げる。魔力の光の粒子が現れ、それらが剣に向けて収束していく。

 そこへせまりくるうどんの影。アニメータが映像化したら絶対に死者がでそうなほどうにょうにょするうどんの群れ。


「私が大切に思うものを守ってください――エクスカリバー!」


 ついに解き放たれた聖剣が、圧倒的な金色の魔力を放ちながら振りぬかれる。

 聖剣エクスカリバーは正面に立ちはだかる全てをなぎ払う攻城兵器。立ちはだかるものはその聖なる(レーザー)によってすべて切り払われるのだ。

 その聖なる(レーザー)によってぶちぶちと千切れていくうどん。


 だが良く考えて欲しい。


 ただ長いだけのうどんと、適切な長さで切られたうどん。どちらが美味いのかと。

 より美味しくなったうどんは、適度な水分で光り輝きながら一瞬のうちにエクスカリバー王国軍全てを飲み込んでいくのであった。


「き、きゃー。いやぁぁぁー」


 盛大にうどんをぶっ掛けられ気絶するサー・アーサー・チュートリア。うどん達は攻撃されたことにより、より念入りに襲っているようだ――



 一面に光り輝くうどんの銀世界。


「しかしこれ、どうしようかね?」


 白濁した白にマミれ、気絶しているエクスカリバー王国軍の捕虜化は駐留軍に任せ、魔術師と妖狐はナタリーと共に駐留軍の本陣に戻っていた。


「魔術師殿。先ほどはご苦労さまでした。ところでこの術はいつ頃解けるのですかな?」

「さぁ? ヨーコわかる?」

「スタッフがおいしく食べられるくらいで、読者から非難も来ない賞味期限だから、もって1日くらいかなぁ。ブロンズゴーレムが4時間くらいだったからもっと速いかも」

「しかし、食べるにしてもうどんだけでは難しいですな」


 突っ込み所満載の会話を広げる魔術師やヴォルケイノ中将であったが、そんなとき、ちょうど都合よく兵士の一人が報告をあげてくる。


「ヴォルケイノ中将! 申し上げます」

「なんだね。参謀」

「井戸が! 井戸の水がうどん用のおつゆと化しております!」

「うむ。これでうどんがおいしく食べられるな!」

「おいしいのです!」


 ヴォルケイノ中将はその報を聞いてうなずいた。

 妖孤は常に笑顔だ。


「いや、そういうことではなくて」

「お椀はあるのかね。掬って喰うには他にも箸が必要だろう」

「考えるところそっちですか?」

「ははは。すぐに切実な話題になると思うぜ。だって、おいしく食べるスタッフは我々なのだから――」

「く――」


 見渡す限りのうどんの群れ――。

 スタッフ (駐留軍)の兵士はため息を付くのであった。

うどんはこの後スタッフがおいしく頂きました。

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