急転(なら/しが/ぎふ(そろそろ終われ
ズシーン。
ズシーン。
ズシーン。
まるで地震のような振動が地下牢獄に響き渡る。
「何事だ!」
オジ・サーマキーノが叫ぶ。
報告がすぐさま地上の騎士から来た。
「たたた、大変です! 巨大なゴーレムが1体。このソドムトゴモラの地に向かってきております!」
「なんだとぉ!」
慌ててオジ・サーマキーノが地上に戻り、そして目撃する。
「何だあのブロンズゴーレムは!」
それは銅でできた像だ。略して銅像である。
「ふっ。四十八都道符が一つ。奈良拳だ」
はるか上空で魔術師がほくそ笑んだが、当然地上の人間の誰も気づくことはない。
奈良といえば大仏。大仏といえば巨大な像。
あの巨大なゴーレムが動きだせばまさにガン○ムに匹敵する破壊力を持つであろう。
そんなまるで奈良の代名詞たる大仏のようなブロンズゴーレムがいま! 聳え立つ!
頭にはまるでシカの角のような突起物。ブロンズゴーレムはそれを誇らしく掲げる。
その固体名。
それは戦闘くん!
ぱー、ぱっぱらぱー、ぱらぱらー。ぱーぱぱーぱーぱーぱーらーぱー、ぱーぱぱーぱーぱーぱーらーぱー、ぱっぱらぱぁー♪
群馬拳と同じように、まるでアーカンソー王国の馬を競争させる国営企業が、各馬ゲートインする中スタート直前に掛けるようなファンファーレがどこからともなく鳴り響く。
「ゆけ! 戦闘くん!」魔術師が攻めたてる。
「――だいぶ攻めていますわね。大丈夫なのかしら」サクラは呆れ顔だ。
そのブロンズゴーレムは、まるでシカせんべいを持っている観光客を見つけた奈良公園のシカのように、強靭な速度で鳳凰騎士団の本部にパンチをお見舞いする。が、しかしそれは、強靭な魔方結界陣により阻まれた。
逆に、攻撃するたびに戦闘くんの身体が軋んでいるのが分かる。
指など潰れそうだ。
「なんとぉ――、我が四十八都道符拳を歯牙にも掛けられないなどありえないだろう」
「さすがは私のヨーコ。やりますわね」
「ならばぁぁ。魅せてやろうじゃないか。ヨーコも東京都拳で使った拳戟魔術の極地というものをぉぉ! くらぇ連続打撃! 滋賀拳!」
戦闘君の腕がきらきらと銀色にきらめく。
滋賀の中心である琵琶の湖が凝縮されていくような、圧倒的な水属性の魔力が戦闘くんの身を包み、光を反射して銀色に見せているのだ。
そして顔もまるで大仏のような仏頂面から、まるで滋賀拳彦根市を代表するマスコットのような愛くるしい仏頂面に変化し、より凄みをましていく。
収束した水属性は圧倒的な勢いで魔法結界陣に襲い狂った。
しかし、まだ攻撃力は足りていないようだ。
「でもあと少しっぽい?」
「叩くたびにヒビが入っているようだねぇ」
いまならあのキーワードを言えば妖狐だけは救出できるだろう。
だが、それでは牢獄に囚われたくノ一は助けられない。
魔方陣の完全なる破壊が必要とされていた。
「まだ足りないのであればぁぁ! ブロンズゴーレムを怒らせればいい! さぁ、義憤に駆られるがいい! 戦闘くん!!」
不意に、あの優しそうな戦闘くんの目が怪しく真っ赤に燃える。
そして轟叫ぶコブシ。
それは四十八都道符が一つ。岐阜拳。
東海三県の中では世界的に有名な自動車企業がある愛知、日本的に有名な旧与党政治家がオーナのデパートがある三重などと比較して、恵那○ワンダーランドくらいしか見るべき遊園地がなく、いまいちパッとしない岐阜が、義憤に駆られてついに注目の脚光を浴び、そのチカラを発現する。
現出した威容の光によって魔法結界陣はついに破られ、戦闘くんは鳳凰騎士団本拠地内に存在する建物を次々と破壊していった――




