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くっころの騎士団と枢軸の魔術師  作者: Tand0
Saga 5: くっころの騎士団と枢軸の魔術師
13/52

くっころの柔肌砦(ぐんま(後編

「だんな、何か来ましたぜ?」


 エアーズの岩砦の中で、アーカンソー方面を監視しているルーミートの歩哨が告げる。


「何だあれは。魔術師に、あの妖気は魔物か? 種類は女狐だろうか?」


「まずは上層部リノール様へ報告。矢は仕掛けられるか?」


「無理です。距離が遠すぎます!」


「おい、何か詠唱しているぞ」


「なに? お前、あの距離の詠唱が聞こえるのか?」


 その距離約1km。到底矢を放てるような距離でもなければ、声が聞こえるような距離でもない。


「聞くまでもない。ヤツラの上空を見てみろ! 分からないのか?」


 何か踊るように舞う魔術師、手から発せられる光が、光束の曲線を描いて走り空に向かって魔方陣を描いていく。その大きさはおよそ1km。とんでもない魔力量だ。


「あれは一体……」

「まずいぞ、あんなもので攻撃されたらひとたまりもない、軍を差し向けて潰しにいかないと……」

「まて、魔方陣の上になにか出てきたぞ!」

「あれはまさか! 禁術の空中庭園じゃないのか――」


 密林で覆われた大地が天空の魔方陣の上に乗っかかる。

 しばらくすると、そこから何か点のようなものが染み出すように落ちてきた。

 1つ、2つ、3つ。

 それはわらわらと再現なく出現し、ぼとぼとと大地に落ちていった。


「≪秘境≫グンマー」


 物理的には聞こえないはずの声。

 確かに歩哨はそんな言葉を聴いた。


 その黒い点。それは馬だ。

 群れつつエアーズの岩砦に大量に突進して来たことによりそれが発覚する。


 ぱー、ぱっぱらぱー、ぱらぱらー。ぱーぱぱーぱーぱーぱーらーぱー、ぱーぱぱーぱーぱーぱーらーぱー、ぱっぱらぱぁー♪


 まるでアーカンソー王国国営の馬を競争させる会社が、各馬ゲートインする中スタート直前に掛けるようなファンファーレがどこからともなく鳴り響く。


 群れたる馬。それは四十八都道符拳が一つ。群馬拳(ぐんまけん)


「おい、あれが薔薇騎士団か? どうみても男だろうが!」

「しかし、何だあの馬の群れは!? ふざけるのもいい加減にしろ」


 各馬一斉にスタートを始める。

 GATEは開けられたのだ。


 ヒヒーん。パカラッ。パカラッ。カオッポカッポ。パカラッパカラッ。パカラッ。

 ヒヒーん。パカラッ。ヒヒーん。パカラッ。カオッポカッポ。

 パカラッ。ヒヒーン。うまーん。パカラッ。ヒヒーん。


 馬たちは馬らしく強靭な蹄の音を上げ、暴れ馬らしい猛々しい鳴き声をあげた。

 その先頭を走るのは、白銀のトタンで全身を覆う狂騒馬群。

 それはまるで、アーカンソー王国国営の馬を競争させる会社が作成したバカゲーに登場するメカなハリボテのような馬であった。


「大丈夫だ、第一防衛線には有刺鉄線が張ってあるから――。なんだとぉぉ」


 その馬たちは生体であるにも係わらず、有刺鉄線などものともせずにぶっちぎりの独走をきめてきた。

 そして頭を回転させながら次々と岩壁に突撃する。群れた馬は有刺鉄線と同じく、その岩肌を柔肌のように蹂躙し破壊、駆け抜けていく。それはまさに暴れ馬。


 その貴重な馬がたくさん群れている。

 つまり群馬(ぐんま)である。


 大小の爆発が交錯する。


 砦中がルーミートの肉塊と化す悲鳴の海と、大量の馬の嘶きに彩られて――

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