ところで何でそんな事を聞くのよ?
「ねえ泰子、ところで何でそんな事を聞くのよ?」とベットの上で暇をもてあそんでいる泰子に真美子は尋ねた。実は真美子は全身タイツに興味があり、出来れば試してみたいという願望があった。だから泰子も興味があるというのなら、初めての”同志”を見つけたことになるはずだった。
しかし泰子は両親のあの晩の姿の意味を知りたかっただけだから、興味よりも真相を知りたいという身持ちの方が強かった。しかし親友の真美子とはいえ両親があの姿で一緒に夫婦の寝室にいたことなど、言い出せるはずもなかった。そこで友人に話すため脚色をすることにした。
「実はねえ、パパの部屋にあった古い雑誌にそのような姿を写した写真があったの。片方はピンクでもう片方がブラックをしていたのよ。それでピンクの方が女の人のようで、もう一人が男の人のようだったのよ。それでね、二人が一緒に立っていたのだけど男女がそのような格好をする意味が判らなかったのよ。あまりに恥ずかしい気持ちがして、すぐ本を閉じたので本文を読んでいないけど、今入院中なのであの時の写真の意味が気になっているのよ」
やはり泰子は両親がそんな姿を夜していたとは、どうしてもいえなかった。もしかすると友人の一人が言った「男女の秘め事」や「夜の夫婦生活」など、ちょっと大人になりたい女の子が興味を持つことのひとつかもしれないけど、あの姿は想像することも難しかったからだ。
しばらく真美子は考えた後、次のような事をいいだした。「そうねえ、あなただってレオタードに憧れているでしょ? それと同じようにあの衣装も憧れる何かがあるということかしら? 」