ゼンシンタイツてなんなのよ
「これが全身タイツなのよ」といって真美子はスマホを操作して画像を呼び出してくれた。その画像には色とりどりに彩られた人型のようなものが写っていた。みんな影絵のようになっていたが、その中には生身の人間が着こんでいるという。
「泰子、ほら小学校の時に一緒に見たプリティーガーディアンのぬいぐるみショーであったじゃないの? あの時二人で舞台裏に忍び込んだ時に、スーツアクトレスの人に怒られたじゃないの? あの時あの人が着ていた肌色のレオタードのようにそれを全身に纏うというものなのだそうよ」と昔話を持ち出してきた。
あの時、プリティーガーディアンのピンクガールに会いたくて舞台裏に忍び込んだけど、たまたま着替えをしているお姉さんを見てしまったことがあった。そのとき着ぐるみのアンダーとして身体にぴったりと張り付いた衣装の事だと思い出した。
「それで、このワールドペディアというサイトによれば、全身タイツとは全身を覆うことができる、オールインワンのレオタード風の衣類とあるのよ。さらには顔部分も覆われた全身タイツで覆う、あるいは着飾るような性的嗜好もあるそうなということだって。まあ女装する趣味があるようにわざわざ顔すら見えないような衣装をわざわざ着るのが楽しいという人がいるみたいだね」などと真美子は「全身タイツ」に関することを色々と教えてくれた。
ベットの上で泰子はあの晩両親が着ていた衣装は全身タイツということがわかった。しかし新たな疑問も浮かんできた。あの晩両親はそれを着て何をしていたのだというだろうか? ということだった。それに性的嗜好の意味が判らなかった。だいたい異性に恋心を抱いても告白したこともましては付き合ったこともないのに、その先に何があるのか泰子はしるはずもなかった。それに全身タイツを着てなにかいいことがあるのか自体が疑問だった。
そう考えると思わず「ゼンシンタイツてなんなのよ! 一体もう! 」と口にしてしまった。それには真美子は驚くしか出来なかった。