泰ちゃん、あれはね
内心、美智代は娘がゼンタイに興味を持ったことが嬉しかった。最初にゼンタイに興味を持ったのは自分だし、それが切っ掛けで現在の夫と結ばれ、娘と息子を授かったのだ。いわばゼンタイは彼女にとってラッキーアイテムだった。
しかし、まだ高校生の娘・泰子を「ゼンタイデビュー」させることには抵抗感があった。やはり娘には普通の女の子になってほしかったからだ。だが、自分の中にあるゼンシンタイツの神というかの声は「娘にも洗礼を受けさせろ」と叫んでいた。今がチャンスとばかりに。
それに私と夫のゼンタイ姿を見られている! あの日は久しぶりに二人でゼンタイを着て触れ合っていたのだ。あの感覚だけは何歳になっても失いたくはなかった。その時、泰子は分け入ってしまったのだ。
こうなったら娘にもゼンタイを着せてやりたくなった。まだ15歳だが早ければ早いほどいいのではないかなと考えていた。娘への返答は決まった!
「泰ちゃんあれはね、パパとママのお気に入りの衣装なのよ。もし興味があるのなら退院したらあなたにも着せてあげるわよ」と少し嬉しそうな表情で答えた。泰子もゼンタイが着れる事が嬉しくて仕方なかった。




