表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/26

3話 裏切り勇者とアラクネ

この物語には、人によっては嫌悪感を抱く可能性のある人外娘が登場する可能性があります。

自己責任においてお読みください。

※昆虫類など


また、お使いの作者は変態という名の『紳士』です。


ご安心してお読みください。

シアに殴られた。


キチンと一部始終を見ていたのに・・・。

まぁ、スリャとメリザンドの満足そうな顔と、2人がシアの目の前でこれ見よがしにケフィアを舐めていれば不機嫌にもなるか。

その怒りに任せて俺を殴った後、シアは怒り心頭といった感じでどこかへ行ってしまった。


痛む頬を押さえながら女騎士の下へと歩いていく。

他の者はスリャとメリザンドへ命令し、すでに全員縛って女騎士の後ろへ転がしてある。


「これはこれは、お久しぶりです。上級騎士殿。王都でのパーティー以来ですね」


そう声をかけつつ近づくと、女騎士の顔が明らかに強張るのが見えた。


「やはり貴様だったか!この化け物共を使役しこの辺りの商人を襲い回っていたのは・・・裏切りの勇者め!」


笑ってしまう。

何が裏切りだ。


「裏切りねぇ?俺が命がけで魔王を倒し、帰ってきた祝いの席で毒を盛ったのはお前等だろう?」

「貴様が謀反を企てている証拠があったからだ!」

「謀反?ただ単に彼女達と暮らすための村を興そうとしていただけじゃないか?」

「それが人間に対しての裏切りだと言うのだ!魔物と暮らすだと?ふざけるな!」

「それだよ、それ。お前等は物事を一方的にしか判断しない。息が詰まる上に嫌気が差す。だから彼女達と静かに暮らそうとしていただけなのになぁ」

「貴様ぁ!それでも勇者か!」


「それに、俺を元の世界に帰す方法なんて無かったんだろ?」


その言葉に女騎士が言葉に詰まる。

事実だからだ。


「ああ、あともう一つ・・・また勇者を召喚しようとしてるんだって?」

「な、何故・・・それを・・・」

「何、あれから3年も経つんだ。親しい友人も出来てね。調べる方法など幾らでもあるさ」


そう言いつつ、スリャとメリザンドを見る。

口を噤んだ女騎士を一瞥しそのままスリャとメリザンドを呼ぶ。

口では威勢が良いが暴れる気配を見せないという事は、先程の戦闘でこの女騎士の心は完全に折れているようだ。


「これからお前達の名前と所属を聞き出す。正直に答えた方が良いぞ?」

怪訝そうな顔をしている捕虜達へ笑いかける。


「お前等の所属している所へ身代金を請求するためだ。身代金さえ払ってもらえれば解放するが、もし払われなかった場合は・・・な?だから正直に答えたほうが身のためと言っている」


勿論その身分に応じた金額だ。

先程軽く確認したが、そこらに転がっている冒険者は良くてもCランク相当でしかない。


これでは1人頭銀貨50~金貨1枚程取るのが限度だろう。

商人の所属していた商業組合はそこそこ大きな組織だったはずなので、金貨10枚は取れそうだ。

そして一番の大物である女騎士は、王国でも限られた上級騎士の1人。

金貨にして100枚以上が見込める。


「も、もし支払われなかった場合はどうなるんだ?」


震える声で質問したのは、シアを厭らしい目で見ていたあの男だ。


「何だ、察しが悪いな。こうなるんだよ」


そう言いながら男の腹に剣を突き刺した。

即死などしないよう臓器を避けるように突き出した剣は、男の身体から大きな出血を引き起こす。

これで良し、シアに色目どころかあんな厭らしい目をした報いを受けろ。


「な、何をする!それでも勇者か!」

「悪いね、あんな事があったものですっかりと人間嫌いになってるんだ。では、これから聞き取りを開始する」


スリャとメリザンドへ雑用と男の治療を押し付け、俺は布のかかった馬車へと歩いていく。

そのまま男を死なせても良かったが、金の方が大事だ。

シアへの厭らしい目は先程の一撃で許してやろう。


布を取り払うと、そこから出てきたのは巨大な蜘蛛だった。

正確には蜘蛛の頭部にあたる部分から、女性の腰から上が生えている。


アラクネと呼ばれる魔物だ。


「外が騒がしいと思ったら、もう着いたの?それで貴方は誰?私を買った人かしら?」

「いいや、君の母親に頼まれてね。助けに来た者だよ」

「母が?母は無事なの!?」

「ああ、無事だ。危ないところだったがギリギリ助ける事が出来た。今は俺の街で傷を癒しているよ」

それを聞いたアラクネはポロポロと涙を流す。


聞いた話によると、彼女は母と2人静かに暮らしていたのだが人間の魔物狩りにあい、母親に逃がされたらしい。

だが逃げ切れず捕まってしまった。

母親のほうは逃げながらも冒険者達と戦い、傷ついていたところを偶然俺達が助けたと言うわけだ。


彼女がどこに連れ去られたのかが解らなかったため、スリャとメリザンドに動いてもらい今日この道を通る事を知る事が出来た、という訳だ。

アラクネを覆っている檻を剣の一振りで断ち切ると、家臣が主に対して行うように恭しく手を差し出す。


「お嬢様、お手をどうぞ。我等が街までご案内致しましょう」


アラクネはその手を見ながらオロオロしていたが、意を決するように息を吐き出すと、俺の手を取りニッコリと笑った。


改めてその顔を見ると、絹糸のような赤い髪に目、鼻、口とバランスの良い配置をされた顔立ちをしている。

人間に近い深紅の瞳をしていて、それ以外にも眉にあたる部分に2対の赤い宝石のような小さな目、瞳部分と鼻の間にも1対の同じ目がついている。

犬歯部分からは、唇をはみ出して大きく細い牙が飛び出していた。

アント族と同じように、顔及び身体前面部から蜘蛛の腹部を超えて出糸突起までが肌色の肉感的な作りをしており、胸も大きく突き出している。

これもアント族と同じだが、柔らかい胸には乳首と呼ばれる部分がついていない。

卵生のため母乳で育てる必要が無いからだろうか。対照的にその他の部分は蜘蛛特有の甲殻に覆われているが、アント族等の昆虫類よりも柔らかい造りをしているため、光を反射すると艶めかしい質感が感じられた。

人間部分に1対の腕、下半身の蜘蛛部分に3対の脚を持ちその大きな身体を支えている。

その人間と蜘蛛の境目には、人間の女性と変わらない器官があった。


生えてないんだな・・・。


まぁ、何を言いたいかというと・・・正直堪らない。


「私の名前はアラマユ・アニザラ・ダラス。どうぞ、アラマユとお呼びください」

「アラマユ、良い名前だな。俺の名前はナオエだ」


握っていた手を引き、檻から外へと連れ出す。


「ああ、そうそう。お腹は空いてないか?希望があるなら食事を用意しよう。なんなら、あそこにいる人間でも構わないがね」


そう言いつつ捕虜達を指差すと、一様に皆怯えたような顔をする。

あの女騎士と商人以外なら1人減ったところで問題は無い。


「すみませんナオエさん。私達の種族はアラクネ族でも特殊で、蜜などの甘露を中心に食べるのです。肉類も食べますが、あくまで非常事態のみですね」

「へぇ、珍しいな。じゃあ街まで戻って食事を用意させようか」


実際にミツアリと共生し蜜を食べる蜘蛛もいるのだ。

珍しいがありえない訳じゃない。


王都への身代金請求などの雑事は街へ戻ってからが本番だ。

馬車へ捕虜全員を詰め込むと、俺達は街へ帰った。


ちなみに、シアは先に帰って不貞寝していた。

機嫌を直すために、後日しっかりと相手をする事を約束する。


・・・1日で済めば良いが。

今回アレ方面の表現が控えめだったため、次回はR-15の限界に挑戦?です。

消された場合はマイルド修正して上げ直しします。


どのくらいの表現が許されるのだろうか・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ