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人類保全  作者: wwaabb
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第46話 次工程

船は流され続けている。


止まらない。


自分たちで動いていないのに、位置だけが変わる。


航田が言う。


「速度、出てないです」


理央が即座に補足する。


「相対速度ゼロ近傍、維持」


矛盾はそのまま。


だが。


慣れてきている。


充が言う。


「推進、触られてます」


ノズル二番。


28%。


さらに落ちる。


26%。


ゆっくり。


確実に。


「他も来ますね」


理央が画面を切り替える。


分岐流。


増えている。


0.0005%。


0.0006%。


細かく。


細かく。


分かれていく。


「……数が増えてます」


理央が言う。


一本ではない。


複数。


それぞれ違う方向。


違う深さ。


氷室が壁を見る。


ライトを当てる。


「こっちもです」


表面に細かい変化。


線。


点。


ごくわずか。


だが増えている。


「削ってるだけじゃない」


氷室が言う。


「見てる」


棚橋が言う。


「細かく?」


氷室が頷く。


「場所変えてる」


理央がログを読む。


・処理段階:搬送


その下。


更新。


・状態:計測中


沈黙。


航田が言う。


「検査の次ですね」


充が言う。


「何を見てるんですか」


理央は答えない。


分からない。


だが。


一つだけ確かなことがある。


「均一じゃない」


理央が言う。


画面を指す。


船体の分布。


温度。


応力。


電位。


ばらついている。


「全部違う」


充が言う。


「当たり前です」


「当たり前じゃない」


理央が言う。


「向こうにとっては」


沈黙。


氷室が言う。


「なら」


壁を叩く。


コン。


「揃える」


誰も否定しない。


のどかが言う。


「心拍、揃ってます」


0.02Hz。


五十秒。


「生体もです」


充が言う。


「電源も揃えられてます」


理央が言う。


「構造も」


全部。


揃えられている。


航田が小さく言う。


「整えてる」


黒川が言う。


「最適化だ」


短い。


理央の画面。


更新。


・状態:計測中

・目的:均質化


空気が止まる。


棚橋が言う。


「均質化って」


充が言う。


「バラつき消す」


氷室が言う。


「削る」


誰も笑わない。


理央が続ける。


・適用対象:局所構造


航田が言う。


「局所って」


理央が画面を拡大する。


船。


その周囲。


完全に囲まれている。


「ここです」


沈黙。


充が言う。


「俺たちか」


誰も否定しない。


そのとき。


船体が、わずかに沈む。


重力。


0.98。


0.96。


のどかが言う。


「来てます」


心拍がずれる。


そして。


戻る。


0.02Hz。


完全一致。


航田が言う。


「調整されてる」


黒川が言う。


「試されてる」


違う言葉。


だが。


同じ意味。


理央の画面。


さらに更新。


・処理段階:搬送

・状態:計測中

・目的:均質化



その下。


新しい項目。


・次工程:適用


全員が止まる。


棚橋が言う。


「適用って」


氷室が言う。


「やるってことだ」


黒川が言う。


「来るな」


短い。


だが。


遅い。


理央の画面。


・進行率:22%


上がっている。


止まらない。


船は流されている。


検査は終わりかけている。


次は。


実行だ。

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