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人類保全  作者: wwaabb
39/49

第40話 分類

装置は、変わらない。


0.02Hz。


五十秒。


流れは安定している。


ただ。


分岐は、消えない。


理央が言う。


「分岐流、継続しています」


画面には細い線。


主流から外れたエネルギー。


方向は変わらない。


船。


充が言う。


「増えてます」


理央がうなずく。


「0.0003%から、0.00035%へ」


誤差ではない。


だが。


急激でもない。


ゆっくり。


増えている。


航田が言う。


「こっちに来てますね」


主語はない。


だが、全員理解する。


氷室が内部から言う。


「表面温度、上がってます」


リングの内壁。


ほんのわずか。


+0.02℃。


棚橋が言う。


「これ、充電じゃないですよね」


誰も答えない。


理央が新しい画面を出す。


「別ログです」


黒川が見る。


見慣れない形式。


数値ではない。


区切り。


階層。


フラグ。


「何だそれ」


黒川。


理央が言う。


「分かりません」


正直だ。


「ただ」




「更新されています」


ログが増えている。


・入力:有効

・同期:成立


そして。


新しい行。



・対象:未定義



誰も喋らない。


さらに。


もう一行。


ゆっくり。


追加される。


・対象:再評価


充が言う。


「再評価?」


理央が言う。


「分類処理です」


氷室が言う。


「分類って」


少し間。


「何の」


理央は答えない。


答えられない。


そのとき。


船体振動が、わずかに変わる。


0.02Hz。


だが。


振幅が少しだけ増える。


のどかが言う。


「心拍、上がってます」


全員ではない。


一部。


ランダム。


航田が言う。


「……嫌な感じ」


理央が画面を指す。


「ここ」


分岐流。


さらに細く分かれる。


一本ではない。


二本。


三本。


「増えています」


充が計算する。


「総量は変わってません」


「分配が変わってる」


黒川が言う。


「目的は」


理央が答える。


「不明です」


だが。


全員、分かっている。


これは。


ただのエネルギー供給ではない。


航田が小さく言う。


「調べてる」


誰も否定しない。


理央がログを追う。


更新。


さらに一行。


・応答:取得中


氷室が言う。


「応答って」


黒川が言う。


「誰の」




沈黙。




そのとき。


航田が動く。


操縦桿に触れる。


ほんの少し。


姿勢を変える。


分岐流が、動く。


追従する。


全員が凍る。


航田が言う。


「……ついてくる」


理央が即座に重ねる。


「方向一致」


「遅延、0.3秒未満」


充が言う。


「追跡です」


棚橋が言う。


「やばくないですか」


黒川が言う。


「まだ判断しない」


短い。


だが強い。



航田が手を離す。


姿勢を戻す。



分岐流も、戻る。



理央が言う。


「確定です」




「対象は、船です」


ログが更新される。


・対象:未定義

・状態:追跡中


その下に。


さらに一行。




・分類:進行中




誰も動かない。


人類は、いま。


理解しようとしている。


だが。


向こうは。


すでに。


処理している。




分類。




それは。


名前を付けることだ。


そして。


名前を付けられたものは。


もう。


対象になる。


黒川が言う。


「続ける」


誰も異論は出さない。


装置は静かに動く。


周期は変わらない。


だが。


その中で。


確実に。


何かが進んでいる。


人類はまだ。


観測しているつもりでいる。


だが。


もう。


観測される側に入っている。

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