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第2話 7人
説明会の部屋には、七人しかいなかった。
本来は十人分あるはずの席が、三つ空いている。
だが、そのことを誰も話題にしない。
年齢も、経歴も、ばらばらだ。
前に立った担当者は、会社名だけを名乗った。
誰もが知っている国内企業だ。
説明は淡々としている。
危険性はある。
帰還は前提としない。
ただし、支援は可能な限り継続する。
通信は届く限り維持し、
解析も可能な範囲で続ける。
誰かが手を挙げた。
「途中で、計画が変わることもありますか?」
担当者は少し考えてから答えた。
「十分にありえます」
「未知が多い。現場で判断していただく場面もあります」
休憩時間。
七人は、ぎこちなく言葉を交わした。
誰も夢を語らない。
誰も使命を口にしない。
「転職が、うまくいかなくて」
「家に戻る理由がなくなって」
「仕事が一区切りついたから」
理由はどれも曖昧だ。
共通しているのは、
今の生活に強い未練がないことだった。
一人だけ、少し違う男がいた。
「正直、報酬ですね」
誰も否定しなかった。
黒川は、全員を一度だけ見回した。
英雄はいない。
専門家もいない。
それでいいと思えた。




