配信者と遭遇
冒険者ギルドを出て、歩くこと15分
(うーん……冒険者ギルドとダンジョンってそこそこ離れてるんだなぁ……不便っていうほどではないけど)
ダンジョンについて発した第一声は……
「なんというか……過疎ってる?」
なぜなら余りにも人が少なすぎるからだ。多くの冒険者はこんな初心者ダンジョン中にとどまらない。収入が少なくなるからである。
「まあ、いいか。入ろっと」
そして、最初に出てきたのは、様々なゲームなどで出てくる雑魚キャラ。スライムである。
「へぇ……こっちの世界のスライムは敵対してるのか……あっちの世界は温厚な魔物だったのに……まあいいか♪」
「アイスショット!!」
レイが使うのは見た目から分かるように氷魔法。アイスショットとは、細かく、鋭い氷の粒を作成し、相手に飛ばす魔法である。使ってみると、スライムは余裕で貫通。ついでにその後ろの壁にも傷を付けるレベルの威力である。今のままでも十分すぎるほど強いのだが……
(やっぱり、威力ががた落ちしてるな……)
転生の影響か、普段は使っていない魔力を使っているからか、あまり馴染まない。
(たくさん使って慣れるしかなさそうだ)
そして、スライムの魔石を、持ってきたリュックに入れ、歩き始める。次に遭遇したのは3体のゴブリンだった。レイは恐れずまっすぐ進む。無論、ゴブリンもおそいかかって来るが
「アイスシールド」
氷の盾によって防がれる
(う~ん……やっぱり強度が落ちてるな……前だったら魔王の攻撃を少し耐えることはできたのに……)
ゴブリン程度では傷一つつかないのだが、やはり出してみた感覚だと、オーガやミノタウロスの攻撃を10回程度耐えられれば良いほうだとレイは考える。
(うん。落ち込んでても仕方ない。練習して、魔力を増やすのと慣らすのを同時にやっていこう)
その時、遠くから……正確には入口の前に続く通路のほうからドゴン、ドゴンという大きな音が響いてくる。目の前のゴブリンをアイスショットで倒し、魔石を回収。その後、様子を見に行くため走り始め、しばらくすると、遠くで爆発が起こる
「あっつ!?」
かなり離れているのにもかかわらず燃やされていると錯覚するほどの熱波がレイを襲う
(体が魔力に馴染んでいれば……これぐらい中和できるのに……やっぱまだまだだな……)
そんなことを考えながら全力で駆ける。そして、角を曲がると、血まみれになった3人と、尻もちをついて上を見上げガタガタと震えている女性がいた。
「あの………大丈夫ですか?」
そう声をかけながら近づく。
「あ、だ、だめ……来ちゃ……だめ……」
「大丈夫ですよ。近くに魔物もいなさそうですし」
そう言いながら、近づいてその女性の様態を見る。
(一応打ち身だけかな? ならすぐに他の三人の治療を……)
そこまで考えた時、悪寒が走った。このままで居るのはまずい、と。
「アイスシールドっ!!」
レイは振り返りながら氷の盾を作成する。キィィンという音が鳴り響き、氷の盾が両刃斧を受け止めていた
「赤い……ミノタウロス!?」
「逃げて……こいつは相手にしちゃいけない……早く……逃げて……」
「あなた達を置いて……逃げるわけないでしょ!! シールドバッシュ!!」
レイが盾を使い、ミノタウロスを攻撃する。その結果、ミノタウロスの巨体が数メートル吹っ飛ぶ。
「アイスウォール!」
氷の壁を作り、ミノタウロスを隔離する。しかし、それも、すぐに突破されると思われた。
「今のうちに回復しますね」
レイは懐から、ポーションを取り出し、三人にサッとかける。すると、全ての傷がふさがり、無傷の状態となった
「あれ……助かったんだ……」
「腕が元に戻ってる……これ本当にポーションか?」
「ええ、ポーションですよ☆ エリクサーです! あれ?」
そこまで、言って、視界の端に何かが流れて行ってるのに気づく
「文字……? まさか……配信!?」
〝あ、気づいた〟
〝ありがとー……推しが死んだら立ち直れないところだったよぉ……〟
〝えっと、ブラッドミノタウロスはどうするの?〟
〝確かに、まだあっちで暴れてるな〟
「えっと……え、えっと……そうですね……? でも、あと数分かな持っても……」
〝この不慣れ感いいねぇ〟
〝やっぱ新人の配信が一番おもしろんや〟
「こら! コメント欄のみんな!? まだこの子は配信者じゃないの! 変なこと言わないで上げて!?」
〝ごめんごめんwww〟
〝感謝の気持ちが抑えられなくて、つい、ね?〟
「あ、突破されます」
「早く、入口に戻ろう! 部隊が待ってるみたいだし、この魔物の対処は任せよう!」
明梨はそう言って、走り出す。その後ろにみんなが続く。しかし、
「フローズン」
足元が凍り、滑って転んでしまう。
「「「きゃ!?」」」
「いって……」
振り向くと微笑を浮かべるレイが立っていた。
「ごめんなさいね。どうせ走っても追いつかれるので……皆さんだけは逃げてくださいね」
「まって!?」
4人の足元の氷が斜めになり、勢いよく滑り始める。
「配信対象を変更! 対象をあの少年に!!」
『配信対象を変更しました』
こうしてレイとブラッドミノタウロスとの戦いは全世界に公開されることとなった
補足①
配信カメラはテレビのカメラを小さくしてプロペラを付けたものだと思ってください!そして、文字は、浮いてるタブレットに書かれていると思ってください!
補足②
レイが地面を凍らせたのは、自分が囮になる時に、4人が戻ってくることを防ぐためです。スピードが出てしまえば、戻ることは絶対に無理ですから!




