配信後、家でのハプニング
「変身!」
変身をしたのち、レイは家へと帰った
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「勇! お帰り!! 大丈夫だったの!?」
「ただいま。何とか大丈夫だったよ。すぐに避難したし」
「そう? 今元気そうだし、本当っぽいわね」
「ま、近いうちにまたダンジョン潜るつもりだけど」
「大丈夫なのかしら? ダンジョンでイレギュラーが起きたら? また強い敵が現れたら? お母さん、心配で心配で……」
「母さん。冒険者なんだからそれぐらい覚悟してる。僕はやりたいからやる、それだけ。」
「……そう……」
「? どうかした?」
勇の母は、うつむいて何かを考え始めた
「やっぱり……そう……なのかな……?」
「? どうかしたの?」
「勇……あなた……本当に勇?」
そう問いかけられ、レイの鼓動は早くなる
(どういうこと? 気づかれた? いやそんなわけない......よな? ってことは女の勘。母の勘か……)
「何を言ってるの。僕は勇だよ。詳しいことは何も分からないけどね」
「じゃあ、どこに行ってたのよ。」
「……ダンジョンだよ」
「そうね。知ってるわ。でも、帰ってくるの遅いじゃない。ダンジョンが封鎖されてから2時間近くたってるのよ」
「……」
「それに、あなたレイについて何も話さないじゃない」
「!?」
そのことについて触れられ、レイは動揺が顔に出てしまう。それがまずかった
「やっぱり……確信はなかったけどやっぱりそうなのね」
「気づいてたの?」
「いえ、気づいていたというより、そうなんじゃないか?って思っただけね」
「凄いね。やっぱり母って凄いんだ……」
「さあ、話してもらうわよ。あなたは誰? どういう目的で勇の体に入ったの?」
「分かった。全部話すよ……」
そうして、レイは前世のことから神との会話まで説明する
「そう……あなたは勇の体に入ってるけど、勇じゃないのね……」
「そうだね。詳しいことは何も分からない。この子の魂がどうなったのか、とかね」
「どういう意味……?」
「そのまんまの意味だよ。魂は体が死んだとき輪廻の輪に組み込まれもう一度体をもらう。ただ、今の状況は体が死ぬ前に僕の魂が入った。つまり?」
「勇は……生きてる?」
「ん~、違うかな。多分この体の中に入ってる……いや一つの体には一つの魂しか入れないから正確にいうと融合、みたいなことしてるのかもね」
『正解だよ』
「!? だ、誰?」
『あ、どーも。レイを転生させた偉大なる神です☆』
「なーにが偉大だ!! 一番の戦犯じゃねぇか!!」
『……話を戻すよ……勇の魂はレイと合体してる。勇はレイだし、レイは勇だ。これは間違いない。ただ、さっきレイが言っていたように一つの体には一つの魂……正確には一つの自我しかいられないんだ。だから、意志の強いものが残り、意志の弱いものが消える。勇が消えるのは時間の問題だろうね』
「そんな……それじゃあ……」
『でも、まだ生きてる』
「え? でもそれじゃあ矛盾が……」
「言っていた矛盾ってこれも含まれているのか……」
『そうだね。だからこちらとしては早いうちに対処したいんだけど、何も言わずに消すのもどうかと思ってね』
「でも、意味ないじゃない。もう会うことはできないんだから……」
『いや、会えるよ』
「え?」
『レイが体の主導権を渡せばね』
「やっぱりか……体の主導権は意志の強いものが握るんだ。渡すのも奪うのもできる。実際、精神生命体である悪魔とかは乗っ取るときにこれをやっている」
『悪魔ねぇ……下級の悪魔なら余裕で対処できるけど、悪魔の王となると、厳しいのよねぇ……配下の天使たちは……下級の悪魔とぎりぎり、勝てる……かなぁ?って感じね』
「話をずらすな。そんなことより、勇に主導権を渡すよ」
「本当にやってくれるのね」
「もちろん…………お母さん」
元気な感じの話し方から穏やかな話し方に変わる
「勇!!」
「たくさん心配かけちゃったね。ずっと、話したかった。」
「私もよ、勇」
「でもね、感謝してるんだよ。こうしてもう一度お母さんと話すことができたんだから。」
「どういうこと? レイが勇の体に入ったから勇は消えちゃうんじゃないの?」
「ううん、本当なら死んでたんだ。僕。でも、体が死ぬ前にレイの魂が入ってきて保護されたから無事だったんだ」
「そうだったのね……これから、勇はどうなるの……? 一緒にいられないのかしら……」
「そうだなぁ……きっと話すことはもうできないだろうね。でも、レイは僕だ。だって魂が含まれてるからね。だからあまり気にすることは無いよ。」
「そう……分かったわ……じゃあね。勇」
「じゃあね、お母さん。今まで、ありがと」
「もういいかな?」
勇の話し方からレイの話し方へと切り替わる。レイが体の主導権を取り戻したのだ。
『納得してくれたかい?』
「ええ……もし、こうなってなかったら、勇は目覚めることはなかったし、話すこともできなかったのだもの。感謝はするけど責めたりはしないわ。」
『そうか。ならよかった。……そろそろ接続を切らないと他の神にばれて面倒くさくなるな……それじゃ』
「それで、ああ~………」
「いつも通り母さんでいいわ」
「それじゃあ、母さん、お願いがあるんだ。このことは誰にも言わないで欲しい。」
「分かってるわよ。誰にも言わないわ。父さんには言ってもいいのよね?」
「うん。それは大丈夫。家族だし」
「自我も記憶も違うけれど魂は勇のも入ってるんだもの、つまりレイは私達の子供だってことね!」
「そう言ってくれるとありがたいよ」
そう話しているときに扉が開いて、父親が入ってきた
「ただいま。」
「「おかえり」」
「それはそうとして明梨ちゃんの配信見たか!? レイって子すごいな。ブラッドミノタウロスを単独撃破しちゃってよ!」
「あ〜、そのことなんだけどね?」
そう言って母親はさっき起きたことを父親に話す
「マジで?」
「マジよ」
「本当に?」
「本当よ」
「うちの子がいなくなって、レイになってんの?」
「まぁ……大まかに言えばそうね。勇は居るわ。レイの中にね」
「スゥ……分かった。」
「父さんも理解が速いね?」
「母さんがそんな嘘つくはずがないからな……ちょっと、レイに戻ってもらってもいい?」
「え? いいけど」
レイは変身を解除し、青目青髪の少年の姿になる
「本当に……レイなのか!!」
父親は何故か興奮したように声を荒げた
「えっと、どうしたの?」
「サイン貰ってもいいか?」
「ええ!?」
父親はレイにサインをしてもらおうとする
「ちょっと、あなた!? 何を言ってるの?」
「だって、あのブラッドミノタウロスを単独撃破した新人冒険者のサインだぞ? 将来高値がつくに決まってるさ。それにレイが他の人に書かなかったら唯一のサインになるわけだ!!」
「確かに……そうね」
「え、え?」
「じゃあ、私にも書いてちょうだい☆」
「ハイ、ワカリマシタ」
そうして、レイは2人にサインをすることになったのだった
(なんでこうなる?)




