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ヤエー!初めての帰宅困難  作者: 砂糖水色


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5話 タカシ

タカシ


 

俺はぶっちゃけキャンプはさほど好きではない。

アウトドア全般は好きだ、特に釣り。車中泊をしながら、あちこち行って釣りをするのが俺にとって最高の休日だ。

登山、カヤック、スキー等も好きではあるのだが、正直キャンプはイマイチだ。

設営、撤収の手間、キャンプ道具を揃えるコスパの悪さ。

高級なテントやギアを揃え、高級なランタンをズラーっと並べて悦に入る連中を見ると、

「大人が無駄遣い自慢かよ」と、すら思ってしまう。

もちろん、こんな事お客さんには口が裂けても言えないが。

だが、ここでの仕事は楽しい。

前の仕事で現役でいることに限界を感じ、辞めようかと思ってたところ、元々知り合いだったこのキャンプ場のオーナーにバイトでもと声を掛けられた。

三十手前に新しい事に挑戦してみたい気持ちもあったし、場所もそう遠くないのでふたつ返事で引き受けた。

キャンプ場での業務は基本的に忙しい。

チェックイン業務、売店の商品の管理、キャンプ場の整備、掃除。やる事は無限にある。

キャンプ場には色々な人が来る。

トイレに虫が居るだけでも文句を言う客もいるし、ルールを守らない客も、呑みすぎて騒いでしまう客もいる。

クレームにうんざりさせられる事もあるが、やりがいを凄く感じる仕事だ。

今のところ職場での人間関係はとても良好だ。と思う。

今日はミキさんの知人が来ると言っていた。

 キャンプ場に来るのは、ほとんどが男性かファミリーなので、当然そう思っていたら、学生としか思えない女子が二名、しかもバイクで現れた。

チェックインしてしばらくしてからミキさんと巡回がてら見に行く。

背の低い方の女子がテキパキと設営をしている。

キャンプギアも防寒対策もそれなりに揃っているようにみえる。どうやらただの初心者では無いようだ。

まだ陽が出ているので、気温10度近くあるとは思うが、夜は5度以下まで下がる可能性がある。あまり軽装だとキャンプ場でのキャンプといえど、命懸けになってしまう可能性があるのだ。

俺は今日泊まりでキャンプ場に在中するので、トラブルは避けて欲しい。

それから一旦管理棟に戻り、2人がチェックイン時に購入した薪二束を持って行く。

ミキさんに頼まれ仕方なくだ。

薪を渡し、少し談笑しているとミキさんにお使いを頼まれた。

本当に人使いが荒い。

まぁ、行くんだけどね。

最近ミキさんをデートに誘っているのだが暖簾に腕押し、豆腐にかすがい、糠に釘。

まったく手応えは無い。

ミキさんの息子の凪は俺に懐いてるし、俺と遊びたがっているらしいからチャンスはありそうな物だが。

「息子が出来ると彼氏とか欲しく無くなるんだよね。息子が可愛い過ぎて」

と五歳の息子がいる姉が言っていた。

実際凪はめっちゃ可愛い。

まぁ、急いでも仕方ないので、石の上にも三年、継続は力なり、急がば回れ。気長に攻略したいと思っている。

 

その後少し話をした後困った事があったら管理棟に来てねと2人に伝え、仕事に戻った。

キャンプ場のSNSを更新したり、売店の対応、チェックイン作業等いつも通りこなしていく。

日が暮れて、チェックインの受け付けが終わり、俺以外のスタッフが全員帰宅すると、急に静かな職場になる。

この時間に事務仕事をするのは嫌いではない。

こう落ち着いた雰囲気の中に身を置くというのは良いとは思うのだが、自分でキャンプをすると考えると、準備設営と撤収、帰宅後の片付け等手間が多い。

だが、あんな若い女の子でも神奈川からこんな山奥までキャンプしに来るんだから、何か俺には分かっていをない魅力があるんだろう。

今度グランピングでも行ってみようかな?と少し思う。

今晩はクレームはトラブル等がなければ良いのだが。

スマホから嫌な音が鳴ったのはそれからほんの一時間後だった。






 

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