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ヤエー!初めての帰宅困難  作者: 砂糖水色


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13話 憧れのキャンプ場


 

コンビニで飲むヨーグルトにストローを指していると、電話が鳴った。

隣で晴ちゃんは隣でアメリカンドッグにケチャップだけをかけようと苦心している。

公衆電話からだ。こんな表示があるのかと思いつつ電話に出てみる。

「彩?大丈夫なの?晴ちゃんは無事?」

いきなり母の声が飛び込んできた。落ち着け母よ。聞きたいのはこちらだ。と、思ったが普通に返答する。

「大丈夫こっちは大したことなかった。

母さんそっちは大丈夫?アキラは怪我とかしてない?」

あぁー良かったと母から安堵の声が漏れる。

「大丈夫、大丈夫。私もアキラもけがは無いよ。

家が停電して、食器棚が倒れたり家の中は大変だけど。

今お兄ちゃんと剛君が来てくれて棚とか直してくれてる。」

お兄ちゃんは晴ちゃんの父の事で剛君は晴ちゃんの弟(中三)だ。こういう時近くに親戚がいるというのはありがたい。

「市役所の公衆電話が使えるって聞いて一人で来たのよ。2時間も並んだのよ!」

母は少し誇らしげだ。

「そういえば、お兄ちゃんから伝言で、可能だったら水とガスボンベ買ってきて欲しいって。」

…私今山梨なんだけど。しかもバイクで。コンビニ行ってきて位気軽な感じでお使いを頼まれた。

「まーこっちは無事だから、水と電気止まってるけど、数日中には復帰するでしょ。

ウチも周りの家も倒れたりはしてないから大丈夫よ。

余震が怖いけど。

彩、晴ちゃんと無理しないように帰ってきなさい。

急がなくて大丈夫だから。

どーせ明日は学校ないわよ。

ほら、公衆電話後ろ並んでるから切るわね。

こっちは心配しなくていいから。」

ほとんど一方的に言いたい事だけ言って切られてしまった。

晴ちゃんがこちらを覗き込んでいる。内容を伝えると安堵の表情をみせた。

大きな地震だったけど、そこまで大きな被害は出ていないのかもしれない。

ライフラインの問題はありそうだけど。

関東大震災までの感じではなさそうだ。

ほっとすると同時に少し元気が出た。

普段から仲は良いと思うが家族とは不思議だなと感じ、帰ったら母にちゃんと相談しようと思った。

とりあえず今日はほったらかせまで10キロほどだ。

私は設営に役に立たないので申し訳ないがこんな時でも温泉は楽しみだ。

ぶどう園の間を走り抜けていくと、周囲の景色がだんだん寂しくなってくる。収穫が終わったぶどう棚が静かに並んでいる。


 晴ちゃんが

「もうちょっとだよ頑張ろー」

 と私と自信の乗っているカブに言う。

晴ちゃんは上り坂やきついカープの度に「ウォォ」だの「キャー」だの騒ぎながら運転する。

とても楽しそうだ。

100ccしかないカブは上り坂が大変そうで、ブロロロと新聞配達よろしくエンジンが頑張っている音がする。

私のバイクは250ccあるので全然楽だ。

カープの前に車間距離を空けておかないと晴ちゃんにぶつかりそうになってしまう。

坂を登り続けると大きな公園の横を通り過ぎ、更に少し登るとほったらかし温泉の看板が左手に現れ、その奥にキャンプ場があった。

砂利の敷かれた駐車場をゆっくりと進み並べてバイクを止める。

周りを見ると目の前に受け付けカウンターがあり、左手には薪の販売、右には売店があるようだ。

後ろには古い大きな観光バスが停まっていて、その横には自転車が中空に吊り下げられている。映画のETっぽい。

ヘルメットを、バイクのミラーに掛け2人で受け付けに行く。

現金で宿泊代を支払うと財布の中身が1万円以下になってしまった。

あぁ、晴ちゃんにご飯の材料代も支払わなければならない。

説明を受けたあと、土の細い道を走り指定された区画に向かう。

晴ちゃんは何度か来た事があるようで、迷う事もなく到着する。

今日はオートサイトなので、バイクを指定された区画の中に停められる。

キャンプサイトは素晴らしい眺めだった。

景観を良くするため、段々に区画が整備されていてどこのサイトからでも甲府盆地、更にその奥に富士山を眺める事が出来る。

私たちは中段位の一番奥の区画だった。

隣は今の所空いているようだ。

ココは…凄くいい眺めだ。本当に。まるで大自然の特等席だ。

ものすごく贅沢なキャンプな気がする。

数年前にアニメで見て一度は来てみたかった場所だ。

周りを見れば上段や下段でちらほら人が設営している人がいる。

こんな時でもこれだけの人がキャンプをするのだな。

と不思議に思った。むしろ普段は予約が取れないので、いつもは全ての区画がいっぱいな筈だ。

「さ、ちゃっちゃと設営しちゃおう。」

と、晴ちゃんが伸びをしながら言う。

晴ちゃんはキャンプ場にいると、いつもより少しテンションが高い。

私は役に立たないと思うけど。と、少し暗い気分になる。

結果的には昨日よりは役に立ったように思う。

辛うじて椅子を一つとテーブルを組み立てる事が出来た。その間に晴ちゃんは他のものをあっという間に設営してしまったのだが。

晴ちゃんは年下なのに、色々な事が出来る。

私は看護実習でも要領が悪く、応用がきかなくて、何度か怒られた事がある。きっと晴ちゃんなら看護実習でも上手くやるのだろう。 

椅子に座り、2人で暖かい紅茶を飲む。

「この景色を前にキャンプをするのは贅沢だなぁ。」

と呟くと

「お風呂からの景色もいいよぉ〜おすすめです!」

と教えてくれた。晴ちゃんはいつも明るくてほっとする。

夜に入りに行く予定だ。

とりあえず休憩してからキャンプ場を散策する事になった。

いよいよ温玉揚げが食べられるはずだ。

この後2人で歩いてキャンプ場をゆっくりと散策して楽しんだ。

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