『釣鐘草』
春から夏にかけて咲く植物で、小さな釣鐘のような形をした花を『釣鐘草』と呼ぶ。別名で風鈴草とも言うそうだ。どちらも音を連想させる呼び名だが、実際には音は鳴らない。けれども、想像をふくらませることによって、ひょっとしたらこんな世界があるのかも知れないと思って書いた作品。
うつむくように咲く君は
慎ましさと可憐さを
今でもずっと秘めている
心地良い風に誘われても
微笑んだまま首を振り
美しい色の羽をした
小鳥に告白されたとて
君は決してなびかない
君の名前は釣鐘草
心はいつも誠実で
運命の訪れを待っている
月夜とともに現れる
蛍が知らせにやってくる
釣鐘草に飛び込んで
君の心を照らすとき
君は初めて鳴らすだろう
笑顔に溢れたその顔で
幸福の鐘を鳴らすのだ
たとえ命が尽きるとも
想いを遂げた今ならば
光が闇にのまれても
君は鐘を鳴らすだろう
蛍とともにあらん限りは
~了~
(注)この作品はタコアシのものです。
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最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。
この作品は、以前投稿した『胡蝶の翅』という詩と
同時期に書いた作品で、自然に目を向けて書いた
連作です。他にもありますが、それはまた後日。