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08. 誹謗中傷について

 誰だって悪口を言われれば傷つく。

 現代社会では容易に匿名で人を傷つけることが可能になった。


「馬鹿だろお前」

「お前の演技めっちゃ下手だったわ」

「お前、生きてる意味あるの?」

「なんで○○と付き合ってんの? 早く別れてよ」

「人として最低。もう一生表に出てこないで」


 一度知ってしまえば、知らなかったことにすることはできない。

 それらを見た瞬間に、心は傷つくだろう。

 突然、心にナイフを突き刺され血がどっとあふれだす。そして涙があふれ出る。


 知らないでいればどれだけ心が楽になったであろう。SNSやニュースを徹底的に遮断して見ないようにすれば、どれだけ心が楽になるだろうか。

 それらを見ないようにすれば、もはや敵は存在しないのと同じである。まさに無敵である。いともたやすく明鏡止水の境地に達することができるだろう。

 しかし現代社会では、仕事上、自分自身を発信するためのツールとしてSNSを使用したり、世界を揺るがすような出来事もあり、それらを完全に遮断することはなかなか難しい。自分がどう思われているかを知りたくてつい検索してしまったりもするだろう。マスコミ関係などの職に就く人にとっては、世の中の情報には常に敏感でいなければならないし。よほど自分のやりたいこと、夢中になれるものがない限り、現代社会ではメディア、ネットから離れ続けることは困難だろう。三大欲求と同じくらいに世間の出来事に対する欲求は大きいのだから。


 誹謗中傷する人間をなくすことはおそらくできないだろう。

 こちらが歯をむき出しにして反抗すれば、かえって火に油を注ぐ結果をもたらすだけである。星火燎原の如く燃え広がればその先に待つのは破滅である。終わらない応酬。激しい怒りにより、心身ともに疲れ果てていく。それに対して相手はますます盛んになっていく。


 誹謗中傷にあった時こそ、自分自身を省みる絶好の機会だ。

 過去の自分を思い出してみよう。

 知らないうちに誰かを傷つけたことがなかったか。

 傷つけたつもりがなくても、言葉によっては無意識に相手を傷つけていることもある。相手はずっとそのことで思い悩んでいるかもしれない。


 心の中で誰かを貶したことがなかったか。

 心の中で誰かを見下して、上に立とうとしたことがなかったか。

 お店などで素っ気ない態度や傲慢な態度をとったことがなかったか。


 そのツケは必ずどこかで払うことになる。

 その報いは必ずどこかで受けることになる。


 そして今後一切、自分が他人を誹謗中傷しないという保証はどこにもない。

 将来、どこかで誰かの陰口を叩くかもしれない。

 自分が知らないところで誹謗中傷者になっていないか気をつけることもできる。

 そこで、あなただけは誰よりも優しくいなさい。

 そして誰よりも寛容でありなさい。

 過ちを犯さない人間など存在しない。


 受けている恩恵を当たり前なものだと思ってはいけない。

 良い反応だけが返ってくるのを当たり前だと思ってはいけない。

 悪いところも時にはしっかり受け止めて、自分自身を省みる機会にしよう。

 清濁併せ呑む精神が大切である。

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