序文 心の問題と幾何学
心の問題は幾何学の問題に似ている。
シンプルでとても簡単そうに見える。しかしいざ解こうとしてみると、これが意外と難しい。ただ眺めているだけではなかなか解法が浮かんでこない。
簡単だと思っていたのに悪戦苦闘する。そして結局解けず降参する。
解答を見てみると、「そういう考え方があったのか!」と目から鱗が落ちる。
一本の補助線を引いてみたり、対象の図形を回転させてみるだけで鮮やかに解けてしまう。
ほんの少し、見方、考え方を変えることによって今まで解けなかった問題があっという間に解けるようになる。
考え方次第だ。常に対象への見方、考え方を転換せよ。それによって問題は容易に解かれる。
私はあなたに一つの補助線を提示したい。違う見方を与えたい。それによって少しでも生きるのが楽になったり、心に安らぎを覚えられればこれほど嬉しいことはない。
このエッセイに書かれてあることはあくまで私の解き方であり、私の思考法である。万人に普遍的に通用するものでは決してない。それを誤解してはならない。そういう意味では、このエッセイ集は「私の心の問題解法集」と言っても良いだろう。(中には解法と言えない物も含まれているが……)
なので私の解法を見て、
「こういう解き方もあるんだ!(こういう考え方もあるんだ!)」
と思う人もいれば、
「いや、私はそうは思わない。私はこう思う!」
と考える人もいる。
あなたは間違っていない。どれも正しい。
心の問題の解き方は決して一つではない。人の数だけ答えがある。私の解法はあくまで無限にある中の一つにすぎない。私は一つの解法を提示するにすぎない。世の中にはたくさんの心の問題の解き方があり、その中で自分にあった解き方を見つけることが大切である。
心のラングレーの問題を解く。私のエッセイがその手助けになれれば幸いである。