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【白銀の黒帝:5】英雄と魔大陸  作者: 八木恵
3章:英雄学園編
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食堂にきた来客

ある日の夜、閉店間近の食堂に、身長195CMで堅いのしっかりした短髪焦げ茶であご髭を生やした貫禄のある30代半ばの男が1人で来店する。


「まだ、開いてるか?」

「いらっしゃいませ。 ええ、営業中です。 お1人であれば、カウンターか、テーブルにご案内しますが。 どちらにいたします?」

「カウンターで頼む」といい、カールがカウンターに案内する。


客は、まばらであるが、まだ飲んでいる者もいる。

「うちの若いもんが、ここのエールが上手いっていうんで、やっと来たんだ。 エールと、フライドポテトっていうのとピザくれ」とカウンターの席に座りながらいう。

「畏まりました」といい注文をうけるカール。


エールを運ぶと、男は一気にのみ、「うめーな。 おかわり」といい、エールの追加を頼むのだった。

「お待ち」といってフライドポテトを出し、数分後にピザを厨房から直接だすのだった。

豪快に食べながら、エールを呑む男である。

男以外の他の客が居なくなり、リンがドアの看板を”Close”にするのだった。


「んで、フリークス家、いや『雷神の斧』の団長さんが何のようだ?」と、厨房から俺がタバコに火を付け一服していう。

「やっぱ知ってたか。 始めまして、俺はガス・フリークス、現ギルドマスターのケネス・フリークスの弟です。 今日は、黒帝の縁者様に会いにきただけです。」

「10分待ってろ」といい、厨房に入り賄いを作り、カール、リンに3人分もたせ事務所へ行かせる。


俺は自分の分とエールを数本もち隣に座り、つまみにソーセージとポテトをだす。

「いつ気づいたんだ? あ、敬語はいらねーから。 似合わねよ」と俺がエールを飲みながらいう。

「あー、兄貴が墓に不死鳥マークのエールと小樽みつけてな、フローシアのおっさんに聞いたら、魔道国家、元学園都市かここに『ボブの食堂』を探せってなってな。 それでだ。」

 

そういや、前来た時に、ダグラスが、代々黒帝ファンだっていってたな。。と思い出していた俺だった。 


「お前ら、ストーカーかよ」と苦笑いする。

「んで、オーダーは、ポテトとピザってことか?」 俺は質問しつつも、これはアーサーの好物だ。 これもきっと、フローシア家からの入れ知恵かもな。。と俺はいまだに苦笑いしている。


「ああ、その通りだ。 それに、ギルドに来なくなっちまったからな。 まぁ、あれは昔のバカ女のせいだって、兄貴が嘆いてるよ。」

「まぁーな。 面倒ごとに巻き込まれたくねーんだ。」

「そうか。 黒帝の縁者の古の盟約も、今も王都のギルド、フローシア家、王家にはで語り継がれている。 だがな、今の王家には力がねぇ。 ただの飾りだ。 魔大陸へは人間の侵略だって知っているのもすくねぇ。 実際、魔道国家はフローシア家は、反対してる、王国は国王が反対してるんで、形式は中立だが、5大貴族は賛成。 マクレーン大公は王国にとどまっていて、反対してる。 竜騎士が出ないのもその理由だ。  マクレーン大公曰く、竜が行こうとしないっていう話もあるがな。


 ギルドは中立だが、反対だ。 商業国家の実権を握ってんのが、オールディス大公とラムゼイ大公だ。 ラムゼイ大公と聖国が手を組んで魔大陸へ進行しようとしてるんだ。 オールディス大公も今や名ばかりさ。 んで、やつらがここに学園を作ったもんだから、俺は監視も含めここに拠点を作っている。」と語るのだった。


「人間も相変わらずだな。 んで、魔族の奴隷は?」

「ほとんどが、商業国家だ。 聖国は、人間至上主義だな。 迷宮都市にいる魔族の奴隷は、商業国家に拠点がある奴らか、聖国に拠点がある奴らと、馬鹿な傭兵団達だな。

 俺んとこと、王都拠点の『白帝の盾』、魔道国家拠点の『蒼穹の星』は奴隷を認めてねぇ。 王国も表は奴隷を認めてねーが、裏で貴族が妾にして隠してる。 魔力ほしさにな。」


「そうか。 相変わらず貴族は腐ってんな。 俺はただの傍観者だ。 今んところ何かしに来たわけじゃねーよ。 異物になるのか、そーじゃないのかな。 お前らも例の奴らの監視だろ? こっちも似たようなもんだ」とニヤリと笑う。


「ああ、聖国がやらかしてるからな。 今んところ俺らでなんとかするさ。」といって笑うがガス

「そーしてくれ、まぁ、客として来る時は相手するさ。 おめぇー、いい奴だかんな」と俺はニヤリと笑う。

「ありがとな。 そうそう、兄貴からの伝言で、あの女の失態以降、ギルド本部のマスターは、代々フリークス家でかつ男になった。 まぁ、なんかギルドに用があるときは、遠慮なく言ってほしいらしい。 気が向いたらでとも言ってる。」

「了解。 まぁ、考えとく」


ガスが会計をして帰る時に「うまいエールを呑みに来させてもらうよ。 ありがとな」といって帰っていった。


ガスは、実は緊張していた。 黒帝の縁者は代々語り継がれている最強だ。 見た目はそんな風ににはみえないが、醸し出す雰囲気からは強者というのがわかる。 そして、会話するとこれまた伝承通り、面白い。 それに酒も食事もうまいときた。 この日からガスは何気に常連となるのであった。


ガスが帰ったあと、俺はリンとカールと話す。

「相変わらず、フローシア家は俺フリークらしいぞ。 今日きたのは、ジルの子孫だ。 いい奴だよ。 睨んだ通りだ。 聖国が鍵を握ってる。 当分動きはねぇーが、傍観だな。」

「うん、でも墓においた不死鳥ブランドできづくとはな。 まぁ、ある意味わざとだったし。」

「ああ、まーな。」

「さぁ、時間はかかりますが、人間はどうするのでしょうね」とニヤリ笑うカール。

「だな。」といい、俺はエールを呑むのであった。

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