ダンテ、英雄学園1年目の授業でダンジョンへ 後編
無事5階層まで到着したダンテ達3人が、迷宮都市に戻ったのは夕方だった。
ギルドに行き魔石を換金して3人で分配したあと食堂へ向かう。
食堂は、満席ではないが既に半分以上は埋まっていた。
ダンテがドアを開けると、カールが「あ、ダンテですか。 おかえりなさい」
「クラスメイトが来たいっていうから連れてきた。 テーブルある?」
「奥でいいなら、空いてますよ」とうリンが案内する。
なぜか、ぼーっとしている2人をダンテは連れてテーブルの席に座らせる。
「俺 着替えてくるから、これメニューな」と言って、ダンテは一度テーブルから離れるのだった。
「レン、なぁ、食堂っていうからおっさんとおばさんかと思ったら、美男美女で、美女のほうは、俺らよりちょっと年上っぽくないか?」と小声でいう。
「うん、僕も思ってた。 道楽とかいってたし、想像とちがったよ。 とりあえずメニューみよう」といってメニューを開くレン。
レンの手が止まり、そしてパラパラめくりだして「ど、どういうこと。」と言い始めるのだった。
ちょう水の配膳のためにテーブルにきていたカールがレンの様子をみて「どうしました?」と声をかけるのだった。
「メニューにあるのが、全て僕の故郷のばかりで、ぐす、ままさか食べれるなんてって思わなくて」と泣き出してしまった。
「そうなんですか。 東国出身ですか? でも、こちらのメニューは、当店のシェフが東国の古い伝聞や古書から再現したので、東国でも今はない料理ばかりなんですがね。」と少し訝しい表情になる。
すると、ダンテが着替えて戻ってきて「決まった? カールさん、俺 ハンバーグでライス大盛り。 あと、チーズのせて」
「何それ、俺も。 レン、泣いてないで、何にすんだよ」
「しょ生姜焼き定食ってできますか?」
「ランチのメニューですが頼みますね。」といって厨房へ向かうカールだった。
「ねぇ、ダンテの保護者ってどんな人なの? 」
「うーん、シュンさんはシュンさんなんだよな。 ただ、極度の女嫌い、人付き合いも嫌いだな。 興味がある事以外はしない めんどくさがり屋。 趣味は読書。 だが、すげー人だな。」
そんなダンテの説明に、レンもジェフも頭がはてなだ。
「さっき案内してくれた女性な、リンさんというんだけど、シュンさんの奥さんだから。 シュンさんが触れる唯一の女性なんだ。」
「そのシュンさんとリンさんって幾つなんだ? リンさん、俺らより少し年上にしか見えないし。」
「確か19歳だ。 両方ともな。」
「若いのに、隠居生活って、謎すぎるー」とぼやくジェフだった。
「人はいろいろだろ。」といい、だなと納得するのであった。
そうこうする内に食事が配膳され「「うますぎる」」の叫びとともに黙々と食べる3人だった。 レンは涙を流しながら、「米がー こめーー」と何度もいい鬱陶しい、というかかなり気色悪いのであった。
食後は、リンがサービスのデザートを出し更に感動する2人。 が、寮へ戻らないといけない2人は、あまり長居もせず会計を済ませお礼をいって帰っていくのであった。
◇◇◇
閉店後、賄いを食べるシュン達とダンテは一緒にエールを呑みながら今日の事を話し合う。
「異世界って、地球だな。 平和で争いがねぇってことは、日本か。 にしても、今日連れてきた2人はまともっぽいな。 魔力の質は悪くね。 その勇者って奴が、今日みてーな奴だといいんだがな。」
「ですね。 」と苦笑しているカール。
「接触の機会がないもんで。 レンが、彼らを避けてるんで」
「はぁー、嫌な予感しかしねぇー。 お花畑がぁ。」といい、俺はタバコの火を付けて一服する。
「まだ、派手な動きはねーんだ。 ダンテも急ぐ必要はねぇ。 傍観に徹するぞ。」
「カール、次の休暇ん時」
「ええ、わかってますとも あそこの地下ですね。」というのであった。 さすが、カールは察しするのが早い。
「ダンテ、学園の休暇って1ヶ月なんだってな。 お前、その間どうすんだ? 俺ら、その間戻んなきゃいけねーんだが」
「できれば、魔大陸に帰りたい。 」
「んじゃぁ、送ってやるよ」というのだった。 といっても、3ヶ月以上先の話である。。