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封筒

作者: KIRA

私の体験談。


私は探偵の仕事をやり出して2年目の頃、ある70歳のおばあさんから依頼がありました。


依頼内容は人探しです。


主人が徘徊をするそうで、今朝いつもなら帰って来るのに帰ってこないと、警察にも通報済みで、探偵の力を借りたいとの事でネットを見ていたら私の事務所のホームページでなんでも受け持ちますと言うフレーズで連絡をしてくれたそうです。


当時の私も仕事にハングリーだったので仕事だ入ったぞ!て気持ちで早速伺いに行きました。


ご自宅へ伺うといきなりおばあさんから200万円の入った封筒を渡され、受けてくれるだけで前金として受け取ってと言われ、私は契約もしてませんし、話を先ず聞かないとって言ってもおばあさんからしつこくとにかく受け取って欲しい話はそれからだと言われ、まだ新米の自分にとってはその意味がわかりませんでした。


そこからの流れは通常の調査をし、旦那様がいつもどの通りに行くのか、どこに立ち寄るのかをその足取りを辿る調査から始めました。私は昔から触れたものの匂いや、その時の光や風の流れで気を辿り見つけるのが得意でした。


能力という人もいるが私にとってはそれが普通の環境でした。変なものを見たりするのもあるので。


しかしこの調査では何故か辿り着けないのです。

調査を始めて、2週間…3週間…1ヶ月…最悪でした。おばあさんを訪ね、今回はなにもできないと伝えようとご自宅へ前金を持って返そうと伺いました。


するとそのおばあさんの家に辿り着けないのです。


教えてもらった通りの住所を何度もその付近で調査もしてるので間違えるはずがないのに。


とりあえず封筒に書いてある電話番号へ電話しようと封筒の中を確認したら中からは髪の毛の束が入っていて、ついうっかり落としました(投げ捨てた)


私は鳥肌が立ち、その場を去るとその夜におばあさんから電話がきて、


"前金、落としましたよ"と言われました。慌てて電話を切り、事務所のカーテンを閉めて、私はまたとんでもないものと関わってしまったと思い、昔から大事にしていた御札入の袋を握りしめひたすら唱えました。


南無妙法蓮華経…南無妙法蓮華経…南無妙法蓮華経…南無妙法蓮華経…南無妙法蓮華経…南無妙法蓮華経…南無妙法蓮華経…と。


すると肩の重みが無くなり、スっと楽になりました。


それから2日が立った頃に警察から電話があり、あの時のおばあさんの件で御家族の方から私に話があるとの事で、嫌々…伺うことになり、お会いした所、実はおばあさんが行方不明だったとそこで聞かされたのです。


旦那様からはそのお詫びになぜか現金の入った封筒を渡されました。私をじっと見る旦那様の目は私になにがあったのかを察しているようでした。


一言


"ご迷惑おかけしました"とだけ。


その意味が今の私にはよく理解できました。

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